つつじに朝露が降りてきみを思い出す
薔薇ではないというきみのため
野のなかにかすむ公園に
   ....


あなたの
愛とはなにか
あなたの愛は鏡だ
鏡面の清潔さ涼やかさ
嘘などおよそない明らかさだ
朝の訪れの濁りのない晴朗だ
夏の真昼の陽炎立つ地平への
いちどきりの望みの率直さだ
 ....
ひざからしたはスネだらけ
ひざからうえはモモだらけ
スモモモモモモモモノウチ
スモモモモモモモモノウチ
かたからつづいてウデだらけ
かたからつたってワキだらけ
ウキウキ スルノモ イマノ  ....
せかいちず

うえ


こども






たおれている

なみだ

とめること

できない
ひとつ

ひとり

ひみつのじかん



ふたつ

ふたり

ふんわり じかん



みっつ

みんなで

みかづきのよる


よっつ

よっぱらって ....
こども と ころも

どっちがかるい?

タイヤ と ダイヤ

どっちがかたい?

おとこ と おとな は まったくちがい

おんな と あんな と むこうをみてる

おんな  ....
らっきょ  の  め

らっきょ  の  かわ

らっきょのしん

らくあればくあり

とはいうけれど

らくてんてきにいきていこう

おれはなんにもかわらない

らっきょ ....
朝露の広野に向けて旅立ちし若者の背は広くたくまし


船出その時刻せまりて早鐘の心臓打てりつよき若者
感電し
若さの涙
ほとばしる


くちびるに
血のにじむぶん
発熱す


木星を
過ぎて厚着の
銀河行


若さとは
過剰なる事
栗の花
山で私は王だった
空腹であれば栃の実も胡桃もたらふく食い
腹が満たされれば落葉松の林をそぞろに歩き
潅木の寝台で眠りをむさぼった
ときに山腹に出ると
谷を挟んでむこうに山稜はうねうねと続き
 ....
ある土地
最も重要な事件の起きた土地であり
最も重要な時間が流れた
ある土地の名

ある時代
名の付いた時代
不幸と幸福が仲良く住み着いた
誰もが知る時代

貧血の草茫々と黒い家並 ....
?

逃げる父
母は捨てた
兄は堕ちた
姉は隠した
子どもは愛されている?


?

高い水草の生える湿地帯で生まれた男や女は
高い水草の生える湿地帯で外を向いて車座になった
 ....
母と父のものではない
母のものは
真昼に閉じた雨空
滑空する白色の鳥が堕ちる
その日から母と父は憎みあう者になる
母の影 が覆いつくす湿地帯
母は湿地帯に詩集を隠す
母の影 が覆いつくす ....
墓地へ駆けてゆく
姉を二階の窓から見た
学校の制服を隠したのを
姉のほこり臭い制服
血の付いた便器にしゃがんだ
汗のにじむ掌で鈍く赤い
姉の隠し持つ勾玉
汗のにじむ掌で鈍く赤い
血の付 ....
耳の後ろが赤く膨れ上がり
朝焼けのように
蕁麻疹が広がる
意味の分からない
恐怖をかんじる
湿地帯の高い草の中で
白い水鳥の環視の中で
叔母は叫び声をあげる
白い水鳥の環視の中で
湿 ....
兄は無口になる
暗さが増してくるこの頃
筋肉を持て余し
内部の膨張を持て余し
彼岸花の咲く川べりは
自転車を押して入る
鷺が落ちるように飛ぶ濡れた地帯
自転車を押して入る
彼岸花の咲く ....
(父、父、父、と泣く声が聞こえるがあれは誰の声か)
(息子か、ならば過去からの声か)
(父か、冥界の声か)
父は失踪をくわだてた
湿地帯の臭気が漂う家族から
父の体臭が漂う家から
父が「赤 ....
湿気と暑熱が凝り固まるジャングルの奥
そのはば広の葉の重なりを覗きたまえ
黒く蠢くものこそ無数の毛虫
黙々と食べ累々たる糞を垂れる

糞は山となりジャングルとなる
すなわちジャングルとは彼 ....
わたしが蝶であるなら
世界が剥き出す筋肉の紫の静脈の盛り上がりを
ペロリと舐める
その時の世界の激しい快感を 想像出来る

わたしが蝶であるなら
世界が秘めている恥部 その柔らかく熱い粘膜 ....
荷を負う人々の足
裸足の足裏に小石のむごく食い込む
しかし頓着はない
人々が見上げているのは一羽の鷹

苦役に口を開き
前後の者を探す目は黄色い
荷の重さは刻一刻と変わり
頭上に日はな ....
机から滴り落ちる水
机には陶器の水差し
水差しの中に一匹の金魚
ブロンズのように沈む

誰も覗かない部屋の誰も触らない机
その上の誰が置いたのか分からない水差し
金魚は目を閉じて永遠にひ ....
歳経てその泥亀が石となったのは三世紀の事であった
アレクサンドロス大王がしばし馬を休めてチグリス川に憩うた時
その亀は大王の右足の傷を認めたのであった
亀はたちどころに卜し、大王の死の近い事を知 ....
隠さなければいけない過去
隠されてしまう過去
脂汗が流れるときだ
見付かってしまうポートレート

今朝わたしは一匹の蛾を発見した
それは見事な蛾だ
たれもみつけられない たれもくれやしな ....
焼けた石の上を滑らかにすべる水銀
光ったかと見えてそこにはない
それは一匹のトカゲ
生き物である事を頑なに拒否する

草むらに放られたまま忘れられたナイフ
発見からまぬがれる殺人事件の凶器 ....
はじまろうとする
あらゆる終りに贈る
季節たちの語りは終わった
わたしたちは手をはなし
時間のものがたりではなく
空間のものがたりをつくる
これからわたしはここ以外をめざし
ここ以外の土 ....
北斗七星をはじめて見たのは
最近のことだ
ぼくが少年期を過ごした街は
空が区切られて
オリオンの三ツ星しか知らなかった
きみの家にいそいで
枯草の道を歩いているときだ
眼前にあらわれたの ....
ぼちぼち夜空も透明になってゆく
そんなことを考えながら歩く
田舎の道は
陽射しの衰えを感じさせない。
秋風に道を失ったのではない
私はただコスモス咲くなかを
君を訪ねるのだ。
コスモスと ....
そして
ぼくたちの夏休みも終わった
教室はまだきのうまでの空気をつつんで
静かだ

季節が変わるんじゃない
ぼくたちが変わるだけだ
そう言ったのはいつだったか
きみはまだ来ていない
 ....
小さな部屋のなかで
きみもぼくも呼吸をしない
重く密度の濃い空気が
きみとぼくの屍体を葬る厚い土だ
ぼくたちはお互いを知らない
だれかが気まぐれに部屋をのぞくが
だれもいないと去ってゆく
 ....
荒川の上流の
七月の川風は生まれたてで
すばしこくてむじゃきなのだ
だからきみもぼくも
生まれたての赤ン坊で
何かを語るのではなく
石をひろったり
川へジャブジャブ入ったり
船の上で寝 ....
非在の虹(170)
タイトル カテゴリ Point 日付
つつじのために自由詩6*10/5/2 15:39
鏡の愛自由詩2*10/4/25 19:20
すいきょうもののざれうた自由詩010/1/17 21:46
せかいちず自由詩110/1/15 21:12
へんなかぞえうた自由詩310/1/12 22:22
おんな と おとこ自由詩210/1/12 6:25
らっきょ自由詩210/1/11 22:38
旅立てる若者短歌010/1/3 16:41
銀河行俳句009/7/8 17:56
自由詩109/7/8 17:35
私が報告するものは限られている自由詩109/7/7 18:10
書かれた-家族[group]自由詩1*09/6/27 17:59
書かれた-母[group]自由詩109/6/26 20:32
書かれた-姉[group]自由詩1*09/6/26 20:30
書かれた-叔母[group]自由詩2*09/6/23 20:36
書かれた-兄[group]自由詩009/6/23 20:34
書かれた-父[group]自由詩1*09/6/21 19:18
毛虫[group]自由詩109/6/19 16:29
[group]自由詩109/6/16 17:46
[group]自由詩209/6/16 17:44
金魚[group]自由詩109/6/12 21:10
[group]自由詩009/6/12 21:09
[group]自由詩109/6/11 18:53
トカゲ自由詩109/6/11 18:52
十二月[group]自由詩209/6/9 20:57
十一月[group]自由詩109/6/9 20:56
十月[group]自由詩109/6/7 23:33
九月[group]自由詩109/6/7 21:50
八月[group]自由詩209/6/7 21:48
七月[group]自由詩209/6/6 19:26

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