屋根のうえで電話した
南の黒い風に吹かれてた
僕はあの頃小説を書いていた
吐き出す言葉はそこだけに注いでいた
僕はそういう道を歩いていた
みんな生きているか
ネットのニュースに人の影
....
月は誤解されている
それは都市伝説だ
ふしぎなひかりが粉のよう
テロリストたちが年老いる
テレビのなかのメンタリスト
誘導してゆく誘導されてゆく
小さなガッツポーズ ....
防犯カメラが僕を探している
僕の人生を生きなおしている
振り向くと
わざとらしく腕時計を見やるやつがいる
さっきビルに入ったときすりかわったやつだ
わざとらしく電話してるやつが通り過ぎていっ ....
夜のカフェの明かり
並木道の香り
藍色のかすかな風に
収めた命たち
僕は何を守るだろう
パンを買う
タクシーを拾う
ありがとう
夜のカフェの明か ....
ぼくにまだ純粋があるかのような
10月の青い空
透明で黄いろくて
風はなかった
思い出の粒子のようなものが漂う
さびしいはあたたかい
かなしいはうれしい
....
エボラの容れ物
地球で生きて動いている
人混みの悲しみ
色んな方向に行き過ぎる
あまりに精緻で
でっかいでっかい自由だ
がんばれ阪神タイガース
がんばれ予 ....
小保方さんや小渕さんの会見を見ていると
このひとはほんとはしてないんじゃないかと思ってしまう
まわりが悪いんじゃないかとかどうしようもない理由があったんじゃないかとか
でも新聞やネッ ....
お父さんはきょうだれとも話さなかった
たくさんたくさん
お母さんは赤ちゃんと話をしたのだろう
お母さんは話し足りていたから
お父さんはただ眠たいなみだのなかにいる
だ ....
秋の湿りをおびていた
中央特快東京発
車内はしょんべんの匂いがした
ほこりとガムとしょんべんの匂い
御茶ノ水で総武線に乗り換えた
そして飯田橋に入ってゆく
歩道 ....
誰にも言えずに
どうせ声なんか届かないから
こころとたたかう
脳とたたかう
因縁とたたかう
ひととのあいだには
無数のひととのあいだには
かわがながれ ....
風邪をひいたら
寝るしかないや
死ぬのがこわかったら
胸に手をおくしかないや
そうやって愛おしむしかないや
晴れた日の西の空が
不安だらけのこの地球に
美しい夕暮れをおく
風邪をひ ....
月がみえなかった
ぼくは淋しかった
だれか助けてくれ
夜空にはほんとは
星がたくさんいる
新幹線で夜をゆく
月がみえなかった
宇宙はなんのためにあるのか
にんげんのためでないような
....
ぼくは生きてゆく
ひとの向こうにあるもののために
それがいちばん永続的に
賢明なのだと思う
ぼくが地球なら
浴びる光を待っている
ぼくの個性は
跳ね返す光 ....
原っぱで野球した
濡れたエロ本が干からびていた
日本シリーズ巨人と阪急
昼間の野球
夕方の郷愁
原っぱで野球した
濡れたエロ本が干からびていた
日本シリーズ巨 ....
いじましい営みが
恋など愛など栄光が
生まれたままの欲望や
テクノロジーの最前線で
つぶされては減りもせず
かといって増えもせず
キメられてやられた死体のようだ
....
とぼとぼと夕暮れの道をゆく
寄る辺ないこころの音をきく
いずれにしても無事に
かき集める不安
かき集める希望
かき集める落胆
かき集める安堵
気分はどう? ....
施術開始は予約した時間の30分後だ
四人掛けのソファーで待つ
みんな難しそうな顔をしてスマホを見つめている
たぶんくだらないサイトを見ているのだろう
かくれんぼでもしてやろうか ....
言い知れぬ倦怠や怒りには
チャイコフスキーの5番しかなかった
頭をしびれさせるほどの眠気と強張りには
チャイコフスキーの5番しかなかった
どんよりとした悲しみや震えには
....
あしもとで
春の風が巻く
潰れた缶が
音立てて去る
猫背になって
それを無視する
鼻さきを冷やして
会社までの道を
猫背は急いだ
あしもと ....
痛みにふりまわされて
器がいっぱいになる
壊してしまうか
爆発するまでふたし続けるか
ぼくら大人はそんなことを
ばれないように静かにやるのだ
他人からおかしいと ....
どっどうどどうどどうどう
どっどうどどうどどうどう
金木犀を押しのけ散らして
樹液や葉っぱのにおいする
どっどうどどうどどうどう
どっどうどどうどどうどう
雲がいろんないろして重なる
....
ふしぎな童話なんか
なかった
うそがめくれる
めくれたうそが風になる
春から夏がやってきた
夏から秋がもどってきた
ぼくは無になる
思い出だらけのぼくは無 ....
ウィーンフィルの首席チェリストやバイオリニスト四人の弦楽四重奏を生で聴いた
生はCDとは違う
生はいきなり全開ではない
柔らかく探り探りしながら
調べは厚く熱く豊かになっていった
演奏家がテ ....
台風で中止になるどころか
ムシムシとした暑さのなかでプレーした
トーナメント後のラフやグリーンはタフでデリケートだった
グリーンが狙えるあたりには芝生を削った跡が無数にあった
プロたちのアイア ....
遠まわり靖国通りを踏んでゆく
ぼくはひとに
トラウマ与えることしか出来なかった
ぼくはひとの
トラウマを取ってあげることしか出来なかった
つよい雨その街路樹の下をゆく
....
モンゴル人かあ
やっぱり残念な気になる
ナショナリズムなのかなあ
半旗を掲げた校庭で
運動会の練習をする子供たち
生きるとは遠いことだよなあ
珊瑚礁も従軍慰安婦も吉田調書も
ひとの不確 ....
痛みや叫びをぼくは聞いている
ハラハラしながら
動揺しながら
からだを傷つけながら
痛みや叫びをぼくは聞いている
戦場なんだ
ここは戦場なんだ
生きている ....
もうすでに決断したことを
髪をすいては決断するように
女はその長い髪をなんどもなんどもすいていた
宇宙の青白い光を見つめながら
宇宙の青白い光に見つめられながら
長まわし ....
どうしようもなく人間だ
どうしようもなく今だ
どうしようもなく型通り
生きてるなんて型通り
気に入らなければ去ってゆく
それがほんとに悪いことかは
だれにもわからない
見知らぬ地平のよ ....
ことしも彼岸花がきっちりと合わせてきた
さすがだ
車窓にゆきすぎる田んぼの風景
田のまわりを彼岸花が赤く彩っている
防虫効果でもあるのだろうか
彩りだろうか
刈り入 ....
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