街路樹の葉群から 
蝉達の合唱の降り注ぐ 
夏の散歩道を歩く 

額の汗を拭うと 
数日前傷ついた右手の{ルビ瘡蓋=かさぶた}が 
いつのまに剥がれていた 

唇をぐっと噛み締める時を ....
ら ら ら という文字が 
いつのまに薄れゆく 
都会の空です 

と ほ ほ という文字が 
滲んだ墨汁の雨雲となり 
黒いにわか雨の降りそそぐ 
21世紀のTokyoです 

黒 ....
暑中御見舞いをありがとう。 
よく勇気を出して
世を去った友と想いでの残る
Barにいきましたね。 

君が少しずつ心を整えているのが伝わりました。 
友と親しかったバーテンと語らい  ....
背後にはいつも 
一本の{ルビ松明=たいまつ}が
浮かんでいた 

朝も昼も夜さえも 
目には見えない 
松明の幻 

わたしが蹲る時 
横道に反れた時 
変わることなく 
目の ....
自らの寂しいベールを身に纏う 
今迄の自分を打ち破ろうと 
夏の夜の浜辺を走る 

( 遠くに若者達の花火は上がり・・・ 

ずぼりずぼり 
足首{ルビ嵌=はま}る砂浜の 
空回りをも ....
遥か昔「人は弱い時にこそ、強い」と語った 
旅人の屈すること無い「精神の柱」について。 

ある時彼は頭の良い哲学者に嘲笑され 
ある時彼は民衆に石の霰を投げつけられ 

( 人々が立ち去 ....
駅構内の 
床に剥がれた 
薄い矢印の上を 
僕は{ルビ往=ゆ}く 


( what's going on


階段を下りた出口の広がりに 
裸足のまんま傘を差し 
どしゃぶ ....
ましろい机の上に便箋をひろげて 
君に「はじめまして」の手紙を書いた 

カーテンのふくらむ隙間から 
{ルビ朧=おぼろ}な日が射し
視界のぼやける 



  一瞬 



 ....
√の中味の空白に 
一匹の白い馬がうつむいて 
草を食んでいる 

( 見えるでしょうか 

君が額に右手をかざした 
窓の外 
潮騒の浜辺に佇み 
幾本かの草々を食む 

あの ....
  宮殿の 
  立派な椅子に腰かけた 
  派手な衣装の王様の前を 


  独りの道化はニヤリ小躍りで通りすぎ 


  王様はすっぽんぽんのまま堂々と 
  ちっちゃい座椅子か ....
「腐った花を捨ててきて!」 

主任が言うので部下の僕は 
ぐらじおらすのうなだれた 
大きな花瓶を両手に抱え 
流しのある部屋へ入った 


  かちゃり 


背後から入って ....
人は、花としてつくられた。 

翼を広げる鳥の旋回する 
空が 
地上に立って見上げる人を 
咲かせよう 
咲かせようとしている 

花の顔をひらいて 
人は 
空を、見上げる。  ....
三日後にわたしは 
三十三年間着ていたわたしを脱いで 
風の衣を着るだろう 

その時世界の何処かに響く 
あの産声が 
聞こえて来る 

その時空から降る 
透けた掌と差しのべるこ ....
きみはきみであり 
ぼくはぼくであり 
秤に乗らない 
それぞれの花であり 

きみが蕾を開いて 
ぼくが蕾を開いて 

みつめあう互いの間に 
姿を現す 
一輪の花の幻 

 ....
自らの外側に 
何かを求め 
手をさしのべても 

世界は何一つ 
口を閉ざし 
いつまでも黙っていた 

自らの内側に 
独り降りてゆくと 
蓮の葉上に坐るひと 

ゆっくり ....
家の近所のファミレスで 
ずーっと本を読んでいた 

顔を上げるといつのまに 
店の外の世はふけて 
店内に客はぎっしり 
がやがやと賑わっていた 

テーブルの間を
小走りする 
 ....
細い路地に入ると 
食事処がぎっしり並び 
人々の賑わいから 
昭和の匂いがぷうんと漂う 

頭上の鉄柵に 
取り付けられた蛍光灯は 
細い路地を仄かに照らす 

油汚れの壁に描かれ ....
時折街を吹き抜ける 
生ぬるい風の嘲笑を背に 
雑踏に紛れた孤独な旅人は 
口を結んで今日も 
スクランブル交差点を渡る 

( 寂しさは 今にも唇から 溢れそうだ ) 

古本屋の棚 ....
旅先の友を訪ねた 
帰りの列車のシートを倒し 
ポケットに忍ばせた 
ウイスキーの小瓶を一口 

喉が焼ける一瞬、
の後に 

聞こえて来るのは 
我胸に とくん とくん と響く 
 ....
詩友がマスターをする 
「 ポエトリーカフェ 」の本棚から 
手にした詩誌を開いたら 

昔別れた 
サングラスの詩友が 
モノクロ写真の四角い枠から 
「 調子はどうだい? 」と微笑 ....
輪郭のゆがんだ 
{ルビ朧=おぼろ}月の見守る 
灰色の夜の家々 

屋根に置かれた 
{ルビ梯子=はしご}の頂に危うく腰かけ 
{ルビ襤褸=ぼろ}着を纏う煙突掃除の少年 

ほっぺた ....
酩酊の夜道で仰ぐ空の 
遥かに滲むあの星宛に 
一篇の{ルビ詩=うた}を僕は綴ろう 


( ruru ri lala
  lala ri ruru ) 


いつか星になった日  ....
「武甲書店」に立ち寄った旅人と 
キャベツの皮を剥くマスターが交わす 
カウンター越しのささやかな会話 


「 たった一言で、世界は 
  天国にも地獄にもなるよ 」 


「 あ ....
頭上に広がる空の下 
何処までも流れる川の{ルビ畔=ほとり} 
旅人はぽつんと一人 
立っていた 

雲に隠れた天使が 
ちらっと顔を出し 
碧い{ルビ硝子=がらす}の瞳で 
彼に云う ....
もし過去というものに 
{ルビ遡=さかのぼ}れるなら 
初めて母の胎を出た 
あの誕生の日に還ろう 

まぶねに寝かされた 
幼子のまんま 
理由も無く 
天に向かって泣き叫ぼう 
 ....
  出勤中の車で横切った 
  開店前のガラス越しに 
  一瞬 
  「非常口」へと駆け込む 
  緑のひとが見えた 

  長い間繰り返される凡庸な日々から 
  抜け出す「非常口」 ....
耶蘇を着ようと 
こころに決めた日 

怖ろしいほどに 
人をいとおしむ気持が
胸の奥に{ルビ疼=うず}いた 

空の色は 
只青いので 
なく 

{ルビ罅=ひび}割れた空から ....
  私がこの世に産声をあげたのは、一体何故
 であろうか?・・・十代の頃からその問は、
 胸中に芽生えた。あの頃、私の心の土壌に顔
 を出した芽は、現在三十歳を過ぎた私の心の
 土壌深くに根を ....
 今月の「ぽえとりー劇場」も筋書きの無い物語が続き 
唄歌いのゲスト・杉本拓郎君の後は「在りし日の詩人」
の面影が夜風に吹かれて訪れたようです。 

 先日僕が鎌倉文学館の「田村隆一展」に ....
いつまでも続くような 
ひとりの加速道路を 
たらたらと運転しては 
サイドミラーをびびって覗き 
High Wayに入れなかった 

もし勝負の分かれ目があるなら 
合流前の加速時に  ....
服部 剛(2148)
タイトル カテゴリ Point 日付
蝉の抜け殻 自由詩108/8/3 22:14
「 ら ら ら の人々 」自由詩4*08/8/3 21:30
暑中見舞い 〜詩友への手紙〜 散文(批評 ...208/8/3 9:13
松明の道 自由詩108/8/1 23:14
夏の夜の浜辺を走る 自由詩508/8/1 2:12
死紺亭兄さんへの声援(エール) 自由詩8*08/7/31 23:21
Ranbo 〜21century〜 自由詩408/7/22 22:20
伝書鳩 自由詩5*08/7/22 21:59
白い馬 自由詩5*08/7/20 17:32
王様の宣言 自由詩208/7/20 1:13
まりあ像  自由詩308/7/18 0:01
花の人 自由詩5+08/7/13 0:36
風の衣 自由詩2008/7/8 19:19
幻の花 自由詩108/7/6 22:08
碧い眼 自由詩108/7/6 22:00
ハンバーグの誘惑 自由詩7*08/7/6 21:53
想い出横丁 自由詩408/7/2 5:44
2003 4/13 8:00 pm @ Sibuya 自由詩208/7/2 5:07
蜃気楼の街自由詩208/7/1 0:16
浜辺の樹木自由詩108/7/1 0:14
煙突掃除の少年 自由詩4*08/6/29 23:40
星の言葉自由詩408/6/29 19:46
ぽえかふぇにて 自由詩208/6/29 19:40
旅の便り 自由詩108/6/27 23:23
誕生の日 自由詩3+08/6/26 21:12
「 非常口 」自由詩2*08/6/21 22:04
空の心 自由詩4*08/6/19 19:34
砂丘の花 自由詩508/6/18 23:59
田村隆一「人が星になるまで」を読んで 〜在りし日の詩人からの ...散文(批評 ...3*08/6/18 19:29
「 隣の薔薇 」 自由詩508/6/18 10:45

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