おおきいひとと ちいさいひとと

こっちの部屋に集まって

大騒ぎで追いかけっこしている



あっちの部屋の

ちいさくなったおおきいひとが

熱心に見ている

かたつむ ....
かの本を読み終えたる吾に光速で牽制球を友は放てり


幼げな男女が笑う喫煙席壁向いてミラノサンドに挑みぬ


真四角に豆腐のフィルム剥ぎ取りぬ手品覚えたる子供のごとく
「とりいそぎ水琴窟を送ります、異境の夏を静寂しなさい。」


白昼に虹色柳が揺れるとき僕たちだけのワインを注ごう


柱撫でいつ帰るのと訊く枝に右肩上げて焦らした鳥居


薄闇の ....
生ビール 泡もどかしく ひとくちめ 去年の朝の
球根が
臓器のように
どしんどしん、と
土の表皮で呼吸した

高く鳴る
拍動に
ためらう闇が
蒼く余韻し
彼の路を隠しゆく

慣れぬ夜を呼吸して
水路を拓き
彼 ....
ケータイに着信があった

番号は出ず、NOKIAと表示されていた

もしかしたらと思って

電話に出て「はい」とだけ応えた

聞きたかった声がわたしの名前を呼んだ

わからないフリ ....
爪先のパールピンクから鳴る音を聞いてみたくてそっと指置く


漆黒の百合のような髪揺らしマークシートを塗っているひと


途中なら何色とでも言えるから回し続けるグローブジャングル


 ....
見つけたから
ついていった
きっと昇っていくのだろうと
戻されても
水ばかり飲んでも
同じように昇っていくんだと

あの時この瞳は
きっとすべてを照らしていた
それから
何も見えて ....
きょうお地蔵さんのお掃除がまわってきました

あしたは雨が降るそうなのできょうのうちに行きました

雨が降る前のせいか、とてもあたたかい一日でした

お地蔵さんの屋根には蜘蛛の巣がはってい ....
ブランコで固いチョコパイ食べたころふゆというのだけ今はおそろい


不器用なパッチワークが並んでるピクニックみたいなあの子の本棚


時過ぎて錆び浮く歯車のなかに寝ぼけまなこの睡蓮が咲く
 ....
「天国と地獄」なんて振り幅の広い恋にあこがれて咲く


片すみで温めすぎた恋心冷たい指先ひらいてにぎって


「今日きみを思った時間10000秒」なんて数値化できない愛しい


君の ....
注がれた牛乳や
たたまれた洗濯物
そういうものから読み取るのは
難しすぎて
未熟な手のひらをみつめ
星座のないことを悲しんでいた

こぐま座なんて
一度も探したことはなかった
い ....
コロッケは生活の象徴
雑然としたテーブルや
家族の遠慮ない声
今日という一日の繰り返し


晩ご飯はコロッケがいいな

ミンチとじゃがいも、あったね

二人でやると早いよね

 ....
袋売りで「ナイルの神秘、モロヘイヤ」冒険の前に裏書を読む


食卓にトルコ風の変化球、漬け物ばかりに箸はこぶ父


昼前に起きて強気の勢いのまま揚げ始めるイカリング(えいっ)


菊 ....
透明だな。全部見えているはずの瞳で猫はわきすり抜けて


苔色の追憶をすくい雨風にさらします宣言の日は晴れ


青黒いふくらみ撫でる指が止む君の痛みに目をこらすため


今あるのはピ ....
声を嗄らした鳥が
飛びたい、飛びたいと天を仰ぐ
煤けたビルの隙間を

あの泉は
光がはじけ
澄んで
湧きつづける
いつまでも
底には
泥もあったはずなのに

泥の中で
羽を引 ....
(そんな恋)肯きながら何も言えず飲み込む冷めたブラックコーヒー


バスを待つうちから小銭を探してる今もずっと準備している


手放した風船から垂れる糸浮き上がるにつれ役目も消えて

 ....
ぼんやりと見送る乗り遅れた電車ひと待たすことにも慣れて


柔らかいたんぼの風が撫でてゆく改札を出る冷えた二の腕


夏の田と風戯れてドミノ倒しあらわれ消える緑のライン


山の端の ....
そっと
やさしく置きなさい
そんなに乱暴に
大きな音をたてたら
びっくりするでしょう

{引用=だって
やさしくしようとしたら
すごく腕が疲れるの
すぐ手を放すほうが
楽だから}
 ....
相手との距離をいちいち測ってるそんな定規、恋にはいらねえ


半目開け寝るクセ笑顔で指摘され治らなくてもいいかと午睡


完熟のすもも真っ赤なジャムにしておまえも染まれと唇にあてる

 ....
黄緑のシャワーヘッドが零す種夏の日は暮れひまわりは宿る

変わってないつもりでいた三十年暑さ厭う還暦の夏

真夏日に心血注ぎ魂が抜けたついでに上高地まで
世に出るか知らぬ我が子の名を夢み
望み託すは卑しき頭脳
胸がつかえるような
泣き出す寸前みたいな
ぐるぐる回るくすぶりに
95%くらい持っていかれたから
そのままひとりになってしまいたかった

掛け布団をかぶって
端っこを全部なかに引き入れた ....
嵐かぜが激しくて

風鈴の絶え間ない動きは

趣も何もあったもんじゃない

それでも開け放した窓を

騒がしくて仕方ないのに閉められないのは

わたしたちこそこうして

うるさ ....
思いは線で形になる
文字という
不確かな形に

虹のように曖昧な
色とりどりのモールを
くしゃくしゃに丸めて
誰彼かまわず投げ付けていた

文字になりかけた絡まりは
はじかれ
ベ ....
もやもやの部屋で
肌をなでる波が
どこからか
どこからも
乱反射して
届いては返す

風のように
耳を目をさらう
探す必要もないみたいに

あなたは届き続けていた
すべらかな感 ....
君を想うと
子供の頃つくった秘密基地を
思い出すんだ
草と土のあの中を

しなくちゃいけないことや
しちゃいけないこと
全部忘れて
いつまでもいつまでも
遊んでいた
暗くなったのに ....
爆音で

歌詞もわからない曲を聴く


触れるものすべてから遮断され

脳みそだけがただよう

圧倒的な浮上

大気と私がかきまじる

地球の自転を体感する


羊水の ....
行儀よく座って
まっすぐ窓の外を見つめると
青みから老成まで
数多の緑点が集まる山並みは
ゆっくりと同じ方向へ
流されてゆく

次の駅では黄色い帽子たちが連なって
せわしなく目の前を泳 ....
たたいても尽きぬ埃で日常にわが身を埋める「砂の女」

めくる字より脳を痺れさせたのは本が吸ったタバコの煙



 ※「砂の女」安部公房
ポッケ(74)
タイトル カテゴリ Point 日付
かたつむり自由詩5*09/6/28 22:13
好日短歌2*08/8/15 1:50
空想世界短歌1*08/8/3 1:17
俳句1*08/7/17 2:19
再生自由詩4*08/7/15 3:04
歪む自由詩1*08/4/14 5:22
猶予期間短歌1*08/1/11 17:20
自由詩2*08/1/8 1:24
あたたかい自由詩2*07/11/26 22:13
この子短歌1*07/11/9 22:29
奔り出すもの短歌2*07/10/28 23:07
こぐま座自由詩4*07/10/14 23:51
コロッケの日自由詩6*07/10/7 16:07
幸福堂々短歌3*07/9/24 18:59
痛点短歌2*07/9/22 23:52
失う自由詩4*07/9/17 1:19
_短歌3*07/9/2 17:49
八月三十一日短歌1*07/8/30 21:28
筋肉未詩・独白0+*07/8/30 0:21
鴇色短歌6+*07/8/19 2:16
晩夏短歌1*07/8/13 21:27
眠れぬ夜に短歌3*07/8/6 23:33
真夜中だから未詩・独白1*07/8/4 3:56
風と風鈴自由詩4+*07/7/15 11:26
象形自由詩1*07/7/12 23:59
呼吸鎖自由詩3*07/6/20 17:40
自覚自由詩6*07/6/3 22:26
震音自由詩2*07/5/15 17:06
稜線自由詩5*07/5/12 0:15
読書短歌4*07/4/30 19:48

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