故郷再訪

車窓より比叡の山に霧立ちて緑濃くなる朝十時

傍らの妻は平家の物語読みつつわれは景色をおいぬ

五歳より三十五まで住まいせし京はなつかし心はやりて

春景色浮き立つ志賀は通 ....
夕暮れせまる

妻帰るを待ちて庭を掃くスイトピーにオレンジの蕾

夕暮の部屋に流るる讃美歌は淋しき心を明るくす

夕食の準備すっかり出来上がりあとは温め食卓にのす
日曜の午後

卯月昼桜の下に居眠りて醒むれば片がはらはらと落つ

崇福寺その建つる跡訪えば青きもみじ葉陽に映えており

二人して山寺訪ねその路の浅き流れのそばに休めり

春の日の狭庭の ....
春のドライブ  

空は晴れ桜の季節今日われら幸せのドライブに出てゆく

まったくに車は走らぬ鯖街道心は躍る陽のあたる道

さしてもの用もなきなり休日を三方の鰻「源よ門」にて

タンポ ....
桜木の生うる川端過ぎゆきつ水滴つたうウィンドー・ペイン

ほのさむき春のひと日の土曜日の帰りてコーヒー温かきかな

妻と訪う卯月の昼の図書館に詩集を二冊やっと選びき
妻との外出

友にまた子規の歌集を贈らむと妻にささやく如月の昼

コーヒーのマイルドブレンド注文し二人来にけり茶店の窓辺

薄蒼き空の雲さえ淋しくて風にはためく宣伝の旗
飛鳥の旅

雨にぬれ水のたまれる野に立ちて朝は涼しく小鳥鳴きつつ

山にいれば鶯の声耳にちかく共の女子さかんに声あぐ

棒状につらなりて咲く桃の花天武持統の陵の辺りの

連山の重なると ....
カレー・ライス

ながいことかけて
カレ―をつくった
カレーカレーカレー
カレーはおれだ
今日一日は
このカレー・ライスが
すべてである
何も分からない

普通の女の子も
カレ ....
今日は、神の権威と人の立てる権威について書いておこうと思う。権威を思い浮かべる時、そこに組織というものと結びつけて考えなけれならない。あらゆる組織はその各々の
権威の下に成立している。しかしアフリ ....
宗教のための宗教とは(1)

 宗教とは実に人のため起こされたのでは、なかろうか。衆生済度が務めじゃぞとはある宗教家のお言葉である。私たちの尊敬するイエス様はどう述べておられるであろうか、この王国 ....
研究「緑川びの」(3)

 三回目となる、緑川さんの作品はますます私の考えの中に深くいりこんでくる。彼女の形而上学とも言えるものがわかりだし、そして自分の内部でそれが、一層深化しだす。私は緑川作品 ....
2月からの読書

 読書の計画が今日出来上がった。ローマン・ヤーコブソンの「詩学」を読みつつ出来た。まず彼の「選集」(3冊)、D・ Hローレンスの作品(主要なもの)とヘンリー・ミラーの作品(「南回 ....
One coin
Two coin
The Bell tolls.

The Bell says,
As if he was a horse.
If he was a lady,
He  ....
研究「緑川びの」(2)


 デビュー作3作に続いて3作を考えてみたい。研究といっても、個人的なことは何も知らない。ただ詩についてのみ、語るほかはない。つまり詩評なのである。だから作者にとつては ....
研究「緑川びの」(1)


緑川びのを取り上げてみたくなった。詩人だと思うからだ。よくは知らないが私なんかとは、違って詩しか書かないほうなのではないか。現代詩フォーラムでは一番良く読んだ詩なので ....
京を出でバスに揺らるる車窓より何とはなくも流れゆく景

我らには旅があれどもこのバスを動かす者はただ労と金

うすぐもり篠という場所過ぎゆきつ遠景の山そして山

世は淋し徒歩に旅せし贅沢を ....
★人の性につき考えてみよう。性風俗の乱れは国力の衰退を生むということがよく言われている。ローマもかくして滅んだという。性の氾濫を防いできたのは宗教ではなかろうか、特にキリスト教は、そしてその聖典である .... 新国富論(1)

 国富論という書物はあまりも有名である。しかし現代においてこの国富論なるものを読んだ人はあまりいないかもしれない。岩波文庫で全6冊のこの書物を20年くらい前一年がかりで読んだ。面 ....
詩を書くのは怠け者の仕事
誰かがそう言いそうだ
そんな、良心の傷を持ち

意味のあることを言っては
詩を食べて、そうして
パンももちろん

まとまった金はなく
売れませ ....
 

野菜スープを
朝食と同じように,出す
雨は止み、妻帰り来る
夕食時

木曜日は絵を描く日
薔薇を四輪
妻にはまだ見せぬ
二人で外へ、傘をさす

雨の木曜日
木曜島という ....
神の家訪問

●神の家訪問1月十二日

真冬朝観光バスは出発す

黎明の第二名神朝すがし

山道を伝ってゆけば家ありて

鴨が二羽帰るや発つや寒空に

ガイドなく妻が口調の ....
 そっと毛布をかけて
 
 くれる人が

 居なかったら、どうする

 掛けてもらうと、自分も

 こんどは掛けてやる


 そっと毛布を掛けて

 くれる妻が

 居な ....
 Non-chang’s bookstore had not any comics,to that extent it was rather in a pecuriar mood than in an .... 光さし雲の浮山心満つ

青空にまばらに浮かぶ雲五つ

えもしれぬ木の生えている車路

湖に朝日上りて小波よ

蜘蛛のごと浮き立つ雲はえも知れぬ

陽はかくれ神もしりぞき給う朝

 ....
狭庭の片隅に

妻のみつけた

秋海棠


病院の片隅に

ひそと咲いてた

秋海棠


あのころは幸せの

風が吹いてた

秋海棠に
うちに任しといておくれやす

うちは京都の女どすえ

錦はうちらの色どす

錦の御旗うち立てて

江戸へお行きやした

お侍さんたち

そんなら、みなはん

錦小路の

 ....
 乙女は恋を抱いて
 いつまでも生きてゆくかも
 
 少年はうち悩み
 走り出て 木をゆすり
 土を掘り返す

 娘と息子
 少年は6倍も悩むという

 今日は こうして詩をかく
 ....
隣のおじさんが
動いている音
階段を上り
こんこんと何かを打つ
僕も一人でないことを知る
午前7時半から一言も
発言してない
午後5時7分前
心の中で今日も言い続けた
6時ごろ妻が帰 ....
豊かにいでし
乳房の先
一掴みの
仏手柑
彼女は座りて
文字を書く
夜の湯に
ふくらみてほの赤く
和人の胸に
昼のできごとは
宿る想い
湯舟に漂える
乳房のごとく
女は  ....
面白人生講話(10)

 この講話もおかげで10話となる。きょうも病院に睡眠薬をもらいに行く道々、残暑の暑さを身に受けつつ、考え続けた。人々と同じように、私も考える人である。若いころから考え込む癖 ....
生田 稔(533)
タイトル カテゴリ Point 日付
故郷再訪短歌109/4/19 20:58
夕暮れせまる短歌009/4/16 17:28
日曜の午後短歌109/4/12 8:34
春のドライブ短歌209/4/6 19:51
雨の日短歌0*09/4/4 16:49
妻との外出短歌409/3/26 8:25
飛鳥の旅短歌109/3/24 9:13
カレーライス自由詩409/3/12 8:19
宗教のための宗教とは(2)散文(批評 ...009/3/11 15:16
宗教のための宗教とは(1)散文(批評 ...109/3/3 8:38
研究「緑川びの」(3)散文(批評 ...1+*09/2/27 12:16
2月からの読書。散文(批評 ...109/2/19 16:31
Tolling of the Bell.自由詩009/2/18 12:59
研究「緑川びの」(2)散文(批評 ...009/2/16 14:34
研究「緑川びの」散文(批評 ...2+09/2/13 10:31
再びうたう!短歌0*09/2/12 22:33
新国富論(2)散文(批評 ...009/2/4 15:13
新国富論(1)散文(批評 ...0+09/2/3 17:36
詩を書くことも労働だ。自由詩209/1/30 9:10
雨の木曜日自由詩909/1/23 15:21
神の家訪問俳句109/1/19 14:44
困るからね自由詩5*09/1/17 15:34
英訳[ハルダウン](2)灰里真実作・批評人訳散文(批評 ...0*09/1/7 12:11
年末句作旅行俳句008/12/29 22:47
秋海棠の唄自由詩308/12/26 8:01
錦(にしき)自由詩108/12/8 14:09
自由詩5*08/11/12 9:52
呟きにすぎず自由詩4+08/10/22 17:04
乳房自由詩3+08/8/20 16:51
面白人生講話(10)散文(批評 ...208/8/16 14:02

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