罪は飛び
向こう岸にとどく
目に触れる雪と
流れに鎖がれた女たちに涙する
川と海は光にまみれ
浪に応えるけだものから
地に降りることのない鳥が生まれる



かがやく氷 ....
望まれない者にも
見放された者にも
めぐりはめぐり来て
伝えることも
受け取ることもない季節に
雲の刃はやわらかく起き上がり
道の記憶を射るように照らす


空は ....
むらさき
火の景
とどろく光
風に鉄が現れるとき
雨のなかで縮む太陽


野を撫でる指
冬を揺らす輪
降りつづける淡い糸


止まらぬものの行きつく果てを
低い冷 ....
またひとつ午後の行方が指し示され
風は不確かなまばたきをする
草の迷いと疑いのなかから
等しくねじれた枝が現われ
石のまぶたに呼びかける


空の一点から来る声に
地が応え ....
何かを描こうとした手のひらが
冷たい膝の上にひろがる
消えてゆく言葉に涙するとき
ふいに指先に触れてくるもの


遠い雷
遠い花火が
水の笛のなかにあり
ゆうるりとゆうる ....
つぐないの花に
光が降る 雨が降る
半透明の蜘蛛が
空を見る
何もかもが破けてしまいそうな
たくさんの鈴の音がする


名前の無いもの
にくしみを
とどまりすぎ ....
灰空の下に立つ
くすんだ緑の家
不吉な青空から逃れて
独り 雨を見る


紫の夜の光
顔に映る枝の影
冬の空を埋める十字架
次々と手から落ちる絵図


 ....
雲の下を走る雲
他の縄張りに入った鳥が
遠い光の方へ追われてゆく
河口の上の空では
翼と音の狩りがつづく
灰の浪が灰の船まで到き
人造の水辺に虹の輪をひらく



 ....
雲になる花
見えない鳥
午後は夜より深く
地は空より暗く
屋根だけが鈍く透きとおる



高く遠いひとつの窓が
誰もいない部屋を明るく照らす
ちぎれずにいる雲から先に
逆 ....
すずしい風が吹き
金具が外れる音がし
空は近くなる



雲と地の間でやりとりがあり
灰色は銀色になり
子供は金色になってゆく



異なる遊び
けものの道 ....
夜の蒼の手
水の{ルビ音=ね}となる
ひとふさの前髪
羽に満たされる


言葉の訪れ
切らずに待つもの
背中をすべる手
月に沈む穂


壁あおぐ翼
雨がつける ....
白い波
濁る波
沈みかけた町からきた鳥
海から川へと流れこむ夜
星を噴く船
波に呑まれてゆく船



なまぬるい風
雷光の蝶
月の光の顔をした
羽毛と追 ....
夜の水の音
青と白の花
夢のつづきに至る光
髪を目を照らす


かつて夜の中で所在なく
ただたたずんでいたものさえ
わずかな陰影の揺らぎを貫き
独りではない笑みを ....
立ちならぶ火の柱の前に
立ちならぶ木々
古い木々
影を浴びる水の子の
こめかみからうなじにかけてけだものは居て
道を流れる雨を見つめ
永い永い輪の上を
輪の外へ輪の外へとはば ....
初毛の水紋
遠い雨雲
川が生まれ出るところ
谷をめぐる暗がり
稲妻を映す手のひら
狩りのはじまりの音


新月も終わり
諍いも終わる
花盗人の道に沿って
夜は子供の ....
 
川の向こうに
痛みが待っている
少女の姿をして
けだものの背にもたれて


得られないもののように笑い
届かないもののように立ち
詩わないもののように腕をからめる
 ....
緑に呑まれた家のかたわら
雨が次々と壁につかまる
二匹のけものの哭き声が出会い
遠くからさらに遠くへと
逃れるように午後を越えてゆく


空を影の卵が流れる
涸れか ....
わたしは
命ではないものの声を聴く
わたしをここに
わたしをここに置いてゆけ と


横倒しになったわたしの心
たったひとつの言葉に浮かび
たったひとつの言葉に沈む
横倒しの ....
燃える樹の前のからだと花束
つづくことのない美しさ
よく磨かれた場所
磨かれない場所
異なる響きがありつづける場所


空のまだらが午後になり
かかげた手のひらに ....
流木が燃えている
岸のかたちに沿い
浮かぶように燃えている
遠い夜のかまきり
終わらない光を狩り
たたずむひとつの魂を照らす


たどりつけない梢の火が
月の左 ....
かがやく小さな雲の群れが
夜の白をすぎてゆく
河口に 入江に
小さな舟がひしめきあい
薄いむらさきのなかで揺れている
雨を照らす手のひら
雨に照らされる手のひら


 ....
ひび割れた岩の目が
波に降る花を見つめている
鳥の翼の生えた草を
銀の署名とともにつかむ手
燃えつきることなく火のなかにある


明かりの下で器をかたむけ
草を焼いた粉を見つめ ....
誰かの問いかけ
境界の色
すぐ左隣でことこと言う子


まなじりの端で増えてゆく影
流木を拾い集めるものの影


みんなみんな遠去かる
幻のように居なくなる ....
雨が止み
もの皆かがやき
手のひらが痛む


ゆらめくいのち
その名とともに
世界となるもの


ふたつの惑星が
三番めの惑星に落とす影
午後と夜の間の ....
力をふるうもの
草に狂うもの
ふたたび来る雨に吼えるもの
一片の永遠に触れ
燃えあがるもの


背中に降りる手を感じ
泣きながら目覚め
羽の失いことを知り
ふたたびね ....
空をゆく流氷が
原に立つ子の瞳に映る
旧い川が運ぶ黒い土
小さな光の波



いつの日か原に
何本も土の柱が立ち
やがて次々と倒れ
原を埋めていった

原はうね ....
音の空から斜めは降る
親しげな空ほど
高みへ去る
列は青く
青は遠い


朝の月や朝の星
鳥や雲に重なったまま
水底の火を見つめている
けしてけして澄むことのない
濁 ....
数えきれないほど多くの
手首のかたちをした炎が
夜の空をまわりつづける
見える夜 見えない夜を
讃えつづける


原を越える雨
石の絵文字に咲く花
森をまとった遺跡の ....
闇が降りてくる
大きく静かな
ひとつのまばたきが
ゆっくりと夜を動かしてゆく
音もなく仕方なく触れあうものたちが
手のひらで互いの目をふさぎあう間も
夜の蒼の流れは止まず
ほ ....
歯車から歯車へ
手わたされる世界に立ち
すべての回転に傷つくほどの
やわらかな胸をひらく
うすく閉じた瞳のままで
微笑みを味わうくちびるの子


普遍の行方
三つの有限
 ....
木立 悟(2335)
タイトル カテゴリ Point 日付
Luciferised One自由詩105/8/9 13:12
ゆらぎ(よるむらさき)自由詩305/8/8 16:51
波を纏いて自由詩005/8/8 7:34
過ぎるものへ自由詩505/8/7 13:52
水笛自由詩605/8/6 20:22
灰 Ⅲ自由詩505/8/6 6:38
調音 Ⅲ自由詩205/8/5 18:17
調音 Ⅱ自由詩305/8/5 6:39
ひとりのとり Ⅳ自由詩505/8/4 14:04
ひとりのとり Ⅲ自由詩105/8/4 9:57
瀧季自由詩405/8/3 21:44
三華遠 ・ 雪羽[group]自由詩205/8/3 7:23
外輪光夜[group]自由詩305/8/2 13:44
線のうた自由詩405/8/1 18:52
波のまわりに自由詩805/7/31 18:13
そよぐ光自由詩505/7/31 6:43
夜の譜自由詩405/7/30 18:06
わたしを憶える自由詩805/7/29 17:29
遠共鳴(窓)自由詩505/7/29 1:03
夜を往く火自由詩605/7/28 14:02
遠い窓自由詩805/7/28 0:51
海辺の魔女自由詩705/7/27 17:39
双想宮自由詩205/7/27 6:28
カンタータ自由詩605/7/26 23:46
還る光自由詩605/7/26 17:24
草棄原自由詩605/7/25 23:01
自由詩505/7/25 16:42
天象儀と遊星自由詩805/7/25 9:45
ひとみ  かがみ自由詩305/7/24 13:20
傷と光と自由詩205/7/23 13:30

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