色とりどりの帽子で
睡蓮の葉を跳ねていく
波紋がぶつかり合って
カエルの背中にも響く

空木の真っ赤な花びらが
風に拾われて踊ってる

紫の帽子が黄色い帽子を誘う
ピンクの帽子は ....
宇宙の公園にいるみたい
あなたのまわりに
星だけが浮いている
すいこまれてしまいそう

あなたは優しくささやいた
ずいぶん待たせたね と
その言葉だけで
私はふるえがとまらない
 ....
シトラスの葉から
落ちないように
無重力の赤ちゃんが歩く

柑橘類の血を吸って成長する
妖精が蜜をたくわえた花を
森に咲かせて待っている

蝶は知っているだろうか
妖精は教えるの ....
ところで名前は何ていうの

僕はミントって言うんだ
ハッカ畑で生まれたんだって

ミントは
きっと前世は美しい
お姫様だったと思うよ

お姫様?

そうさ神話のメンテだったの ....
赤ちゃんは
ありったけの
激しさで泣いて
海から生まれる

きっとありったけの
感謝の言葉を忘れないうちに
はき出している
ずっと海の底で思っていたことを

暖かな海に抱かれて ....
そっか
もうこの財布は形見なんだな

あっそうだちょっと待って

これを・・
このネックレスを・・
こうして・・つければ・・
ほらこれでいいだろ

財布にネックレスを付けて ....
財布を拾った
ボロボロの財布
いや綺麗だった財布なのだ

噛まれて引き摺られ
よだれでベタベタになり
砂やゴミがくっついて

くわえた猫と目が合った時
落として逃げて行った

 ....
夏が始まるよと
白い波をよけながら
ウミネコが鳴いている

小石を投げる私と
目が合うと振り返り
知らないふりをする

私は冷たい風の中で
冬に失くした
イヤリング探してる
 ....
ヤマトミクリが浅瀬で
糸トンボを休ませ

森を抜けて来た風が
アメンボウと並んで走る

雲をちぎったような
白く切ない花が
青空をのぞいている

飛び立つ隙を伺っているのか
 ....
黄昏に睡り
暁にあくびする睡蓮
赤い花は命の忘れ物

丸い葉のその下で
祈る人を覗いている

光の神がエッセンスを
身体に入れなさいと言う
赤い花を摘みなさいと言う

お酒を ....
過去から未来へ架かる橋に頬杖をついて

去った貴方を想い涙を一つ落とした

なんて早い流れ

濡れた睫毛を拭く暇さえくれない
叶わない願いを夢見て
心に固く鍵して
一喜一憂してきたわ

そう私は大好きで
何も言えなくて
あなたはたぶん私のこと
何とも思ってなくて
だから気楽に話しかけてくる

言えない ....
不安でたまらなくなったら
小さな100円の一輪挿しを買って
自分に似た花を部屋に招く

友という字は人に似てる
花が作った文字だから
花の別の姿だから

人が初めて信じた友は妖精だ ....
空が洗われ
陽は真っ直ぐ
ヒマワリを照らす

雨を飲んだ花の道
ナトリウム灯のように並び
集団下校を見下ろす

傘を引きずる子
立ち止まり雨合羽を脱ぐ子

黄色い帽子に
そ ....
腰まで伸びた
オレンジ色の髪が
熱い花びらを吊るす

初めての雪の夜
二人で植えた樅の木に
夏のクリスマスが咲く

ミツバチは蜜をもとめ
ムクドリは恋の薬と知り
花を咥えて行く ....
枯れ葉の積もる森に
文字の消えた石が
鳥の声を聞く

古代の魂が消えることなく
森の天井にこだまする

胡桃の樹が森の水で
実を作り分け与える

今はもう誰もしらない
森を走 ....
また逢えたね
今年も一緒にいようね
夏休みが終わるまで

君は日々大人になるけれど
僕は子供のままだよ

海辺の町では
浦島草って呼ばれてたよ
君のママは百日草って言ったね

 ....
枕元に紫の煙
懐かしい気配
一晩だけ許され
あなたは
天国から降りて来た

手をとりあって
窓を空けて飛び降りる

香炉の灰がゆらゆらと
轍のように後からついてくる

二人 ....
一人になるのが好きだと
そんなことほんとうは
思って欲しくないの

風の強い夜は
ウツギの細い枝も
いつもは届かない手を
お互いに差し出して
踊ろうかと言う

一人の部屋で耳を ....
ノックする音が聞こえた
私はゆっくりドアノブを回して押した

「こんにちは」
優しく懐かしい声

顔が見えないくらいの
たくさんのシンビジウムを抱えて
大好きな人が目の前にいる ....
紫陽花は魂の宇宙
蝶の巣のように
いくつも羽根を重ね
丸く優しい香りを生んで
初夏の庭を囲む

野点の静かな音が
風よりも静かな音が
紫陽花に囲まれ
見守れて抹茶の香りが
天に ....
小径をぬけ
落ち葉を踏みしめてゆけば

森の奥にある古い沼
露草に囲まれた沼
百合が鏡のように覗く沼

私はひとりたずね
初めての景色を心に刻む

私のため息に誰かが応え
空 ....
鬼灯が吊るされ
静かに照らされる

花びらの椅子に座り
スピネットを弾き
森の詩が風に乗せられる

橘の香りがする
ゆるやかな甘い言葉

人の目には映らない
想念にも似た世界 ....
白い花びらの
中心にほんのり赤く
生れたばかりの
初恋のように

心臓が熱くなるような
不安が遠くに見えるような

雨の日は夢を見て
長い夜は星空に好きと誓い
夜明けに告白 ....
明日に噛み付こうと
今日を生きてみる

幾何学な思いが
足を踏み外したように
離ればなれになる

交わることを忘れて
反比例の心は
雀とカラスのように
水たまりの人魚と
雲の ....
月夜の晩に種を蒔く
今日聞いた言葉を思い出して

悲しくて
淋しくて
逃げ出したくてと

妖精が種を蒔く
香りをつけて
色をつけて
役にたつように

あした摘むひとが
 ....
君は照れ屋で僕は無口で
青空の下で鳥の歌をつかまえて
草の香りを聞いていた

二人言葉はなくても
一つの時間の中にいた

若く美しい葉の隙間に見える
空を丸く切取ったような月を
 ....
苦しいね
息ができないくらい
海の底にいるようだ

あの空を越えて
新鮮な空気が欲しい
鳥が魚のよう

朝日が底から昇り
天井に消えていく
眩しくて見えない

あんなに揺ら ....
夕焼けの公園で
見えるものすべてが
影絵になって
私は千切れそうな人形
鳥が巣から見下ろし
虫達が葉の下で見上げる

風が髪をかき上げて
踊れと言うけれど
はぐれた妖精のように
 ....
ハイビスカスの
葉に寝転んで

蜘蛛の巣に架かる
弓張月を見上げる

消えていく彗星のように
蒼い星の粉が風に揺れて
妖精に降ってくる

懐かしい匂いがした

失恋の匂いに ....
丘白月(577)
タイトル カテゴリ Point 日付
ルピナスの妖精自由詩019/7/25 18:33
宇宙で待つように自由詩219/7/25 6:45
あなたは蝶だった自由詩019/7/24 20:05
猫と財布 3話自由詩019/7/24 18:10
海に生まれて自由詩219/7/23 21:59
猫と財布 2話自由詩219/7/23 17:51
猫と財布  1話自由詩119/7/23 17:44
幻の海自由詩019/7/22 21:22
サギソウの妖精自由詩019/7/22 6:56
睡蓮のエッセンス自由詩019/7/21 22:15
時の欄干で自由詩119/7/21 20:34
小鳥の巣自由詩019/7/20 21:35
一輪の友自由詩019/7/20 21:31
ひまわりの妖精自由詩119/7/20 18:31
ノウゼンカズラの妖精自由詩119/7/19 20:56
古代のお墓自由詩219/7/19 20:51
妖精がいた夏自由詩019/7/19 18:12
逝ってしまったあなたと自由詩119/7/18 18:16
ひとりでも自由詩119/7/17 22:03
シンビジウムの妖精自由詩019/7/17 21:03
妖精の花押自由詩219/7/17 16:12
幻想の沼自由詩119/7/16 21:14
妖精館の夜自由詩219/7/16 20:58
フロックスの妖精自由詩119/7/16 6:51
噛みつきたい心自由詩219/7/15 20:11
フェンネルの妖精自由詩119/7/15 20:07
夏に幻惑されて自由詩219/7/14 21:07
夏空の幻想自由詩019/7/14 18:24
マリアベール自由詩319/7/14 9:43
鱗粉の夜自由詩119/7/13 18:16

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