アムステルダムの妖精の想い出
第1話「アンネ・フランクの家」


生きていればまだ80歳の
お友達の話を聞いて欲しい

初めて逢ったのは
誕生日だった
だってプレゼントを手にして
 ....
すすきの花が月夜に飛んで行く
黄色の花粉が追いかける
もう少し待ってくれたら
もっと早く生まれたら
あなたと一緒に並んで
あなたの肩の高さで咲いて
ずっと月を見ていたかった
霧をためた秋の高原
泳ぐのは野イバラ
白い山は花器
妖精たちの生花をする
出来上がったら霧を解く
ありがとう綺麗だね
ずっとここで見ているよ
今日はもう泣かないよ
秋の雨は恋に似て
明るく光るけれど
とても冷たく
別れの暦をめくるよう
赤い実はいつ開く
誰が待っている
誰が見てくれるだろう
背が伸びて
浴衣の丈も足りなくなって
覗く踝が細く ....
パリの妖精
第19話/最終回「花市場の妖精」


今日はフランスの母の日
シテ島の花市場には
子供たちが並ぶ

花のような
たくさんの笑顔で
お店のおばさんも
花のような笑顔
 ....
パリの妖精
第18話「サクレ・クール寺院の妖精」


白壁の教会
モンマルトルの丘
街を見下ろし鳩は歌う

み心の青空
路地裏の駄菓子屋
石段を走る音はダンス

黄昏に灯る
 ....
パリの妖精
第17話「エッフェル塔の妖精」


馬の駆ける音に夏草の匂い
練兵場の士官は花を愛し
マルスの公園は妖精を愛す

月夜にエッフェルは
野に背をあずけ
設計図を握り
た ....
大きなカボチャは悪魔の顔
蝋燭が入れられ魂が灯る

生き返るカボチャに
子供の呪文が夜通し掛かる
黒猫たちのパーティーに
妖精のキャンディーが配られ
前夜祭が始まる

今はもうい ....
柳の枝を揺らして
魔女が飛んで行った
魂が光の輪になって
チェリーパイを照らす
先住民が掘った井戸から
浄めの水を汲む妖精
占いの蝋燭がいくつも
聖水に立てられ
ハロウィーンが始ま ....
日陰に深く蒼く
空の目を盗んで
妖精のハーブが咲く

摘んで行って下さい
長い長いその道の終わりに
あなたの重い記憶と一緒に

雲になるほど干してしまって
風に乗るほど目を閉じて ....
雨上がりの公園で
月あかりを浴びて待つ
遠くへいった人を

あちらこちらの水たまりが
白く鏡のように木々を照らす
風が金木犀の香りをくれる

妖精が手をつないで飛んでいる
銀木犀 ....
パリの妖精
第16話「リュクサンブール公園の妖精」



花壇に建つ恋する
リュクサンブール宮殿
幾つもの空を映す池
王妃の可愛いポニー
噴水の虹のなかに座る妖精
毎日好きな部屋で ....
パリの妖精
第15話「ペール・ラシェーズ墓地の妖精」



蒼く透きとおる夜
フクロウの朗読会
星のワイン

黄昏の置き手紙
月明かりで描く魂
ピアノの音

墓石をノックする ....
ウサギが小枝を折って
落ち葉を踏んでいく
リスがドングリを噛じる
樅の木を登っていく
赤い滝のように
風が枯れ葉を抱きしめる
さざ波のように聞こえる森の命
何もかも神様におまかせで
 ....
雨を造る工場に棲んでる
工員は私一人
天の川で雨の種を汲む
瓶から溢れるほどたっぷりと
銀河を歩いて星座に帰って来る
種から出来た雨は
ほら向こうに見える
水仙の妖精から借りたままの ....
秋の風が落ち葉を集める
龍の子供がふざけて
天にさらって昇る
空は赤と黄色と黄緑で
黄昏を描いて笑ってる
ゆっくりと落ち葉に
妖精は乗り森を舞う
想いを千枚かさねる
長い時間と甘い ....
あれから百年が過ぎて
フランシスもエルシーも
いなくなってしまったけれど
私は今もこの森で花を育て
子供たちと歌い遊んでいる
私は写真に写らない
記憶の中に棲んでいるから
でも一度だ ....
ススキが月に咲いてる
今夜は森で眠りたい
どこにいても一人だから

耳元でコオロギが言う
僕も一人だからここにいるよ
一緒に月にいるようだね

白く輝く森の中で
コオロギが鳴く子 ....
貴方の言葉には
迷わずオートフォーカス
迷わず愛してきたけれど

暗くてぼやけて
黄昏の逆光に生まれる言葉には
戸惑うことばかり

焦点の合わない言葉を
赤とんぼに
持たせて去 ....
秋祭りの浴衣に描かれた
白と紫の桔梗に魂が灯り
盆踊りについていく
夜空に並んだ提灯
追いかける袖とゆれる裾
誰にも見えない羽根が
踊りの輪から飛んでは帰り
いつまでも離れない
好 ....
満月の夜に摘んだリンゴ
恋を失くした子と一緒に
眠れない夜に香りをつける
丸ごとパイで包んで
パパのラム酒をこっそりと

窓から見えるリンゴ畑に
月が降りて遊んでる
跳ねる虫の影は ....
水草のように雲が漂って
鳥たちはメダカのように
逃げもせず雨の巣で寄り添う
赤とんぼは紅葉の妖精
燃え上がり音もなく去っていく
枝に結ばれたおみくじから
溢れて落ちる希望を拾って
秋 ....
窓辺の朝日は懐かしい匂い
遠い国の匂いがする
いったいどれだけ
涙滲みたハンカチーフ燃やして
ここへたどり着いたの
流星を追い越して
銀河を照らして愛され
月を影絵にしてくれるたね
 ....
コスモスの花に
キキョウを重ね
ダリアを置き
花びらの数だけ
モミジイチゴをのせ
蜜蝋を少しかけて
妖精のお茶会が始まる
枇杷の妖精が紅茶を入れ
花びら一枚づつ分けた
花のタルト ....
雨の夜は嬉しい
花に乗るのはシャボン玉
星を映しながら葉に落ちる
もう少し星を下さい
砂子のような星を
金色に光る星を
星になるまで
もう人間は想像力も手放して
まるで錆びた道路標識のような
ぬくもりのない
フリーズドライの言葉しか持たないのね
いつかまた本当の
詩を詠んでくれた人に出会いたい
パリの妖精
第14話「アクリマタシオン公園の妖精」


チューリップの芽が
土を頭に持ち上げ
眠そうな目で辺りを見渡す
通り過ぎる靴の裏
眩しい日差しのシャワー
もぐらさんこんにちは ....
私の葉を選んでくれて
とても嬉しいの
可愛い赤ちゃんたち
赤い揺りかごで
守ってあげるから眠りなさい
冷たい風が吹く前に
落ち葉の布団に移してあげる
長い冬を越えていきなさい
 ....
静かな境内の
砂利に染みる澄んだ湧き水
花びらを数える歌が聞こえる
落ちた葉を隠した妖精の声
今年の彼岸も飲みに来た
冷たくて厚い枯れない水を
目の前に充満している空気に
植物たちは薬をまぜる
妖精が調合した深い慈愛
人に寿命を与える酸素を

酸化して老化して
知っているけれど
そんなもの怖くないんだ
怖いのは逢えないこと ....
丘白月(577)
タイトル カテゴリ Point 日付
アンネ・フランクの家自由詩219/9/20 18:21
背高泡立草の妖精自由詩019/9/19 18:07
野イバラの妖精自由詩019/9/19 18:07
真弓の妖精自由詩0*19/9/19 18:06
花市場の妖精自由詩119/9/18 7:52
サクレ・クール寺院の妖精自由詩019/9/18 7:50
エッフェル塔の妖精自由詩019/9/18 7:49
ハロウィーンの妖精自由詩0*19/9/17 6:14
万聖節の妖精自由詩019/9/17 6:13
アキチョウジの妖精自由詩0*19/9/17 6:12
金木犀と銀木犀の妖精自由詩119/9/15 20:39
リュクサンブール公園の妖精自由詩1*19/9/15 20:38
ペール・ラシェーズ墓地の妖精自由詩019/9/15 20:37
秋の森のソナタ自由詩019/9/14 19:52
水瓶座自由詩219/9/14 19:52
妖精のミルフィーユ自由詩1*19/9/14 19:51
コティングリー村の妖精自由詩219/9/13 19:38
秋の白いの夜自由詩119/9/13 19:38
私は黄昏の赤とんぼ自由詩119/9/13 19:37
桔梗の妖精自由詩119/9/12 18:09
妖精のブールドロ自由詩019/9/12 18:08
秋の刺繍糸自由詩019/9/12 18:08
秋の陽に幻惑されて自由詩419/9/11 17:45
妖精のタルト自由詩119/9/11 17:44
黄花千日紅の妖精自由詩219/9/11 17:44
街角の小さな花の声自由詩119/9/10 12:46
アクリマタシオン公園の妖精自由詩019/9/10 12:33
ヤマブドウの妖精自由詩019/9/10 12:31
ヒガンバナの妖精自由詩019/9/9 11:23
四季の輪廻自由詩019/9/9 11:22

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