誰も住んでいない洋館
夏になると妖精が来て
窓を開け一晩だけ過ごす

黄昏の光を吸って
庭からベランダまで
提灯が吊るされ
宴が用意される

世界中の色と香り
一つの言葉と ....
海底のような
月夜の庭に腰を下ろし
夜光虫のような星を見る
緑色に輝く珊瑚礁に
泡のような花が咲く
人魚のような妖精が
珊瑚に座って僕を見る
海の匂いのハーブが
もっと深くと誘 ....
竪琴を抱え
星の間に立てば
亀の甲羅に響くのは
繰り返し呼ぶ
あなたの名前

今なら自由になれる
早く私を捕まえて
遠くへ連れ去って
一万二千年後にはもう
北極星になってし ....
陽の海に眠る白い花
失恋をして蒼い実になり
愛を失くして赤く熟し
もういらないと
摘んで下さいと言った

神様はどうして私を
雪の下に生んだの
白いままで
白い花のままでいた ....
ナトリウム灯も消えたままの
古びた跨線橋の下

あなたと出会ってから
夏休みの落書きが増えていく

「おはよう頑張ってね」の文字
「おつかれさまでした」の文字
すれ違い ただ文字だ ....
庭で芙蓉に話し掛ける
ロングスカートのあなたは
椿の枝に隠れて歌い
話しかけるスズメにさえ気づかない

静かで透明な朝日が
まだ眠る蕾をくすぐる
白い花びらは雨が降れば
溶けそ ....
天の川を飛ぶように
命を燃やす花蛍が咲く
川底に積もる金箔の羽根

銀河の中心で弓を引くケイロン
ゆっくりと天の川に分け入り
予言の唄を口ずさむ

薬草を金箔で包み
願いを込 ....
お葬式が終わり
一人になった夜
星空から雪が降ってきた

ふわりと目蓋に一枚の雪
溢れるように涙が生れた
雪の精になったのか

今年も初雪草が咲いたよ
夏の雪はすぐに解けて
 ....
夏草たちよ
どうしておまえは
笑っていられるのか
名前も知られず
見向きもされず
気づかれずに踏まれ
庭に咲く花の仇のように
抜かれてしまうというのに
なぜ笑っていられるのか

 ....
夏の妖精は低く咲く
白いサルスベリのような
日傘の下で見えるように
声を殺した涙のまま
たたずんで見て欲しい

ミツバチに運ばせる
金色の花粉は言葉の卵
ベンチ背もたれに隠れ
 ....
青空を集めて
搾って染めた花

緋衣草と呼ばれた妖精と
セージと呼ばれた妖精が
二人並んで黄昏の浜辺を飛ぶ

ハマナスの花を覗くカモメ
西の国へ帰る夕日

ブルーサルビアの ....
襖を閉めた指先が
部屋の空気に合図する

神聖でありながら
和やかに行き渡る
炭が重ねられ

小さな窓の向こうに
川辺の芦が見える

朝露を溜めた朝顔が一輪
おじぎをして ....
静かな温かい森に
種が蒔かれる
いくつもの色が
ビー玉のように跳ねて
土に消えていく

和歌を一人詠む
病気の子に薬をあげると
約束してから
巡る季節に苦い根を伸ばし
満月 ....
夜空の軒先に
小さな火が灯る

真夜中のベランダに見える
タバコを吸ってるあなたの影絵

一瞬見える頬の輪郭が懐かしくて
ゆっくりと歩いて過ぎていく

星を見ているの?
それと ....
背の高いあなたは

目を閉じて

僕を見てと言った

唇が触れて

私は蕾になる

唇が離れて

固く閉じた目蓋が

花が咲くように

ゆっくりと開いていく

 ....
雲は流れて風も流れて
川の流れも永遠で
見つめるものすべて
自然の中洲の真ん中で
私は立って見渡している

細い弓が夜空に浮かぶ
目を閉じたように静かに
生まれたばかりの月は
ゆ ....
朝が来なかったら
夜を愛してしまうだろうか

月に恋して
眠ることを忘れて
もうなにも怖くなくて
ただ星を眺めていればいい

星の子が金粉のように
私を包んで笑ってるから

 ....
黄色い蝶が止まり
羽ばたいて蜜を吸う
いや違う
あれは花
黄色いリボンの麦藁帽子で
妖精がちょこんと座ってる

宇宙が見える真夜中の空で
雨の井戸を掘る妖精
乾いた畑にはしぼんだ ....
初めてのデートは
向かい合って座って
ラベンダーカルピスを飲んだね

だけど照れくさくて
横ばかり向いて
窓の外ばかり見てたね
どこまでも続く海のような
ラベンダーの畑を

 ....
あなたはシャボン玉

公園で噴水を見ていた

いつでも二人の場所だった
今日は一人きり
噴水を見てる

池の底には楓の葉が
貝殻のように沈み
赤く輝き
紅葉の海に変える

噴 ....
無言で落ちる砂
死に急ぐように落ちる砂
華麗に輝きながら落ちる砂

二度と戻らない時を過ぎ去り
見る者の心の隙間に溜まっていく
ああなんという早さで
落ちる時のカケラよ

私はそ ....
月夜には妖精になって
窓をすり抜けて
会いに来ると言って
あなたは笑う

手をつないで
同じ星を探して
花に話しかけて
妖精がいると言って
あなたは笑う

遠い水平線の果てを ....
誰か呼んでる

私を呼んでいる

葉の音

羽の音

風の踊り場のような森


光をためる小川

柔らかな太陽

優しい月のような太陽


津波のように
 ....
飼い主だった智子が
湖面をすべるように現れ
ミントを抱き上げる

懐かしいぬくもり・・・
やっぱり
おねえちゃんだ

ありがとうミント
よくここまで

これで・・・私
ほん ....
歌いつかれたうぐいすが
フランネルを纏って眠ってる
誰も寝顔を知らない

若葉だけがざわめいて
言の葉を降らせた

フランネル草に舞う
清らかな音がする言葉

ひとりでも飛 ....
放課後あなたは先に帰るけど
あなたはゆっくりと自転車を押して歩く

私を待っていてくれる

内緒で付き合って
目があっても言葉はなく
この帰り道が
今はとても大切で

春か ....
池から溢れた光は森の四方へ

金色の空気が流れ
森に満ちていく

ミントは腕をすり抜けて
跳び下りた
そして
森に流れ込んだ光を見つめた

天国だよ
ここが天国だよ、トワ ....
遣唐使の手に握られ
海を越えて来た牽牛花の種

朝露を呑んで目を覚まし
陽の傾きを枕にして眠る

夏の調べを聞き漏らさず
唄うように風に揺れ
恋するように弦は昇る

井戸水 ....
緑色の足音
朝の匂い
バジルを摘んで
魂が冷めないうちに
ソースにしましょうか
お気に入りの瓶
小さな外国船に
妖精の船長
天国を目指して歩くふたり

今夜は満月だな
森全体が巨大な影絵だよ
ほら見てごらん
ミントの影だって
虎のようじゃないか

そう言って
小さなミントをからかった

ねえお兄ち ....
丘白月(577)
タイトル カテゴリ Point 日付
風船葛の妖精自由詩019/8/5 11:34
パセリの妖精自由詩019/8/5 7:51
琴座自由詩419/8/4 8:14
ブルーベリーの妖精自由詩019/8/4 7:47
夏休みの幻想自由詩119/8/3 21:03
芙蓉の妖精自由詩019/8/3 7:48
射手座自由詩219/8/3 6:10
初雪草の妖精自由詩119/8/2 20:40
夏草たちよ自由詩119/8/2 7:10
サルスベリの妖精自由詩119/8/1 22:02
ブルーサルビアの妖精自由詩119/8/1 19:51
8月の銘自由詩019/8/1 6:29
リンドウの妖精自由詩019/7/31 21:35
火を一緒に灯したい自由詩119/7/31 19:19
花壇に抱かれて自由詩019/7/31 6:07
自然という愛自由詩019/7/30 20:54
星の子自由詩219/7/30 18:57
きゅうりの妖精自由詩119/7/29 22:05
ラベンダーの妖精自由詩019/7/29 20:39
虹の卵自由詩019/7/29 18:31
砂時計の妖精自由詩019/7/28 21:41
あなたを感じて自由詩019/7/28 20:02
種が先か花が先か自由詩319/7/28 18:23
猫と財布 6話「最終回」自由詩119/7/27 21:26
フランネルの庭自由詩019/7/27 19:44
星のミルフィーユ自由詩119/7/27 18:16
猫と財布 5話自由詩019/7/26 21:13
朝顔の妖精自由詩219/7/26 18:41
夏の朝自由詩119/7/26 7:38
猫と財布 4話自由詩019/7/25 20:49

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