華麗で柔らかな空気のおにぎり
陽の匂いが迷子のように
頬を睫毛をつかもうとする
漂う感覚が美味しいと思った
空から梢から風の隙間から
良かったと声が聞こえた
ありがとうと思った
秋の雨はゆっくりと
空を滑って降りてくる
気付かないうちに
あなたの名前
一瞬ですべて記憶する
秋の夜はスポンジケーキ
初恋のようにやわらかく
眠れない涙で溶けてしまいそう
小さな ....
あなたは惑星
戸惑いの光
私は楕円軌道で
あなたを周回している
近寄って素っ気なく
離れたら苦しくて泣いて
軌道から外れてしまいそう
いつか想いが届いたら
彗星になって辿り着きたい ....
湯気の中の熱いジャガイモ
妖精たちはエプロンドレス
皮を剥かれ運ばれていく
まるで朧月の行列
サラダに添える
摘みたてのハーブは
レモンマリーゴールド
夕日の色だねって言われた
でも本当は告白の色
頬の色なの
唇の色かもしれない
耳朶が赤くなっている
あなたの言葉を聞き漏らさず
恥ずかしいけれど
目を見つめてた
真っ赤な空気に ....
あなたを待って春に咲き
もう秋になってしまった
どこから来てもすぐに
見つけるられるように
十方世界を見渡している
もっと高くもっと
太陽の塔になろうとした
けれど暖かかな一期一 ....
落ち葉で明るくなった赤い道
カラスがクルミを咥えていく
どうぞと笑顔の妖精は
余った実を抱いて家に運ぶ

流星を彫って作った鍋に
ハチミツとクルミが入る
特別に月の白身が用意され ....
イスラエルのまだ宗教さえない
果てしない小麦畑
妖精だけの青空がそこにある

旅人は星を羅針盤に歩く
妖精のパン屋が
月と一緒に開店する

小麦の穂は平和の国旗
そんな想い出を語 ....
廃線の錆びたレールの上で
仙人草が硬いねと言いながら
縫っていくどこまでも
夕日の入口に続く坂道
妖精の列車が風の音だけで
黄昏の海へ入っていく
オレンジ色に焼かれた
パウンドケーキ ....
更待月は香水瓶
リンゴ畑のあちこちで
妖精たちが手をつないで
長い時を一緒に飛ぶ約束をする
古くから伝わる愛の歌が
風に甘い香りをつけ
月夜のリンゴ畑は
酸っぱい思いで溢れた
パリの妖精
第13話「ノートルダム大聖堂の妖精」



バラ窓から差す
万華鏡の陽を浴びたら
私はもう死んでもいい

言葉はいらない
人生の道が
いや私の歩いてきた道など
ふさ ....
毎晩一枚づつ
花びらが落ちていく

新しい種を誰と蒔くか
恋占いをしているから
オペラグラスで
星のあやとりを見る
動物のしっぽ
鳥の羽根
プロポーズする人

二人肩寄せて
夜空の歌劇を覗いてた
舞台袖に用意されたのは
バニラのエッセンス
ワインに一滴落と ....
眠れないから本棚を見た
背表紙が手招きする
私を手にとって下さい
そっと抜き取って下さい
その目で見つめて欲しいの

昨日買った本はテーブルで
自慢気な傍観者
でも本棚に席はない
 ....
レンガを敷き詰めたような
懐かしい色をした黄昏の海
赤く熟した太陽は海に落ち
静かな波打ち際にハマナス
火星のように赤く瞬き一つ
星が夜空に用意され
朗読会がはじまる
星の数だけ頁が ....
雲をひと掴みメレンゲにして
チョコレートを溶かして
レモンを一切れ
釜戸の小さな窓を覗く
膨れてきたら食べて頂戴
軽い気持ちはあっという間に
しぼんでしまうから
急いで食べて欲しいの ....
小さな手で耳朶を摘まんで
鼻の先で羽ばたき
じっと目を合わせる
少しだけ泣いてたんだ
心配させたね
身体がとてもね
大きく広い葉だった松が
あんな細く針のような
葉になってしまうほ ....
逢えなくても
想いは過去形にはならない
いつか想いも自分自身も
空気に消えて飛んで行く
私の心の羽根一枚に
そっと触れて満月の森で
手のひらに置いたまま
星の軌道に包まれて眠る
羽 ....
古道の木陰に
小さなろうそくが咲く
陽の雫が木々を抜けて跳ねる
お地蔵の背中には神代文字
旅人がミゾソバを摘んで
妹の髪に挿して微笑む
ヒミコによく似合う花だね
妖精が言った
アマ ....
高く積まれたルーン文字
欠けたレンガに祈りの言葉
もういるはずのない気配
神の秘密を謳う月
まるで妖精のお葬式
占星術はもうしないと
オリーブの妖精が言う
未来を追い越して
振 ....
パリの妖精
第12話「ルーブル美術館の妖精」つづき


毎日エントランスで待つ
あの人が来ないかと

マドモアゼルに手をひかれ
ブロンドの巻き毛の子が
キョロキョロして入って来る
 ....
渡っておいでと
蜘蛛が思いを架ける
妖精がつま先で歩き
綱渡りの花が灯る
ススキの穂は
静かに月に燃えて
青白く蜘蛛の糸のよう
明日の十六夜に
言い出せない思いを
堅く結んで ....
月をひとつ
ススキの穂先にのせる
コオロギが月に降りる
月旅行の順番待ちの列が
草原に並んでいる
虫の音もいつしか消えて
静かな夜明けはシルクの波
マルベリーの光が溶けて
窓から流れて部屋を溢れていく
ララベリーの大きな羽根が
誘うように天井で私を待つ
夢の中にいるように
ゆっく ....
神様はなぜ
前世の記憶を
与えないのだろう

答えは決まってる

死の恐怖を
与えたいからだろう

それから得るものが
それから始まるものが

きっと与えたいものだろう
 ....
龍の鱗雲が並ぶ黄昏
オレンジ色の空に
瘡蓋のように
ひこうき雲が爪あと残し
刈り取りの終わった田んぼで
カラスが見上げてる
あぜ道の向こうの
水路の茂みにルリマツリ
青く白く咲 ....
さよならの雨音のように
夏の終わりを告げる
庭に咲いた小さく白い花
妖精の歌にあわせ
葉を摘んで私も歌う

翡翠のスムージー
エメラルドのお茶会
白いテーブルに
ハーブ染の羽 ....
毎晩見あげればそこにいる
昨日よりも少しだけ
指一つ分北へ行ったね
忘れないから消えないで

金星と並んだ獅子座の
レグルスが綺麗だねと
いつかそう言った誕生日
秋の夜はいつも ....
シュメール語を話す妖精
秋一番の星座を見上げて
想い出を露草に語りかける
山羊座が冬至点だった頃の
遠い昔の想い出を
星座のおとぎ話を

人魚の薬を飲んだ仔ヤギ
神のいたずらで ....
秋風揺れる萩の上
膝を抱いて頬杖をつく
いざよいの月のように
ためらいがちに
鈴虫の音が落ちる
妖精が聞いているのは
魂を見送る歌
丘白月(577)
タイトル カテゴリ Point 日付
秋が降り始める自由詩019/9/9 11:21
初恋草の妖精自由詩119/9/8 8:43
私は衛星自由詩119/9/8 8:43
朧月のサラダ自由詩019/9/8 8:42
マルバルコウの妖精自由詩019/9/7 7:26
ねじり草の妖精自由詩119/9/7 7:26
クルミの妖精自由詩119/9/7 7:25
小麦の妖精自由詩319/9/6 7:17
パウンドケーキのような列車自由詩219/9/6 7:16
妖精のセレナーデ自由詩019/9/6 7:15
ノートルダム大聖堂の妖精自由詩019/9/5 7:08
秋の妖精自由詩119/9/5 7:06
オペラグラスの記憶自由詩019/9/5 7:06
眠れないから本棚を見た自由詩219/9/4 5:23
妖精の朗読会自由詩119/9/4 5:21
妖精のスフレ自由詩319/9/4 5:20
松の妖精自由詩219/9/2 21:21
妖精のゼリー自由詩219/9/2 21:17
ミゾソバの妖精自由詩019/9/2 21:16
オリーブの妖精自由詩119/9/1 21:15
ルーブル美術館の妖精・その2自由詩119/9/1 21:13
ミズヒキの妖精自由詩119/9/1 21:11
十五夜自由詩219/8/31 20:30
桑の妖精自由詩019/8/31 20:29
無い記憶から自由詩019/8/31 20:27
瑠璃茉莉の妖精自由詩019/8/30 19:38
レモンバームの妖精自由詩119/8/30 19:38
遊星の散歩道自由詩019/8/30 19:37
山羊座自由詩119/8/29 18:20
萩の妖精自由詩119/8/29 17:56

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 
0.08sec.