白梅が咲いてる
私がそう言うと
ほらよく見てごらん

そう言って
メガネを差し出すあなた

花に見えたのは雪
眩しいねと同時に言った

遠い国から
春が到着するのは
もうじ ....
天の香具山に綿毛が浮いて
飛鳥の天皇はススキの精

いまはなき宮の跡は海の底
妖精は海を越えて吉野山へ

月は妖精を追いかけて
二つの山を渡る

羽根を寄せ合う二人の恋の歌を
 ....
平安の黄昏に鐘がなる
カラスの恋人は
ひとつの影になる
朱色の柱に漆喰の鳳凰
牛車の轍のあいだに小さな花
明日は踏まれてしまうだろうか
子供たちは雀のように
無邪気に巣に帰る
ひと ....
花咲く音が聞こえたら
それは妖精の歌
花びらに書いた聖書
波のように繰り返す
光る風の笑い声
コラールの旋律
ミツバチは音譜を持って
蜜と交換に出かける
宇宙が星の花瓶なら
詩は心の花瓶なのだろう
魂が神の花瓶であるように
長い髪はつるのように
あなたがいない時間を
追いかけるように伸びて
白いため息が雪になり
緑の葉に降り積もる

春になれば逢えると
少しでも早く
少しでも近くにと
雪色の手を伸ば ....
売れ残りの冬の缶詰を
雪の精が月の工場から出荷する
妖精はもういらないと言う
春の種に必要な雪解け水は
森に十分あるからと

綺麗な六花のラベル貼り
千個を雲の上に並べる
さあこれ ....
がらにもなく
人間を信じてしまったのです
足踏みオルガンの
空気が少し抜ける音
いつも私が座る事が多い

買い替えてと言えば
捨てられてしまいそうで
言い出せなかった

赤トンボはいつも
あのオルガンに止まってた
 ....
およそ現世の悪を詰め込んだ名称 花咲く音が聞こえたら
それは妖精の歌
花びらに書いた聖書
波のように繰り返す
光る風の笑い声
コラールの旋律
ミツバチは音譜を持って
蜜と交換に出かける
魔法をかけられた
蝋細工の妖精
透き通る黄色い妖精
暖炉の上に飾られる

すきま風は雪女の歌
暖炉に置かれた香炉
春の匂いだけが生きて
溶けていく妖精の羽

臘月の魔法は新月か ....
うつむいて祈りながら
雪に溶けてきえる
純水だけをのこして

泣きたい時は涙すればいい
それは妖精が残したものだから
瞳は人間の花だから

清められた白いロウソク
心のひび割れに ....
黄昏に見つけた帰り花
あなたの好きな白い花
雪を踏む音がいつまでも
歌っているように離れない

季節外れの桜が散りそうで
妖精にたずねてみる
花をひとつ雪に包みたいと
花を連れて帰 ....
ずいぶん待たせたね
傘に積もる雪
踏み固められた足跡
肩越しに白梅が夕日に染まり
タンポポの綿毛が息で溶ける

抱きしめてしまえば
肩に滑り落ちる雪
雪の中に春がいる
梅の妖精が ....
沈黙の夜に耳を澄まし
星の歌を聴く

こぼれ落ちる音を
部屋の天井にピン止めする

布団からそっと覗けば
ここは夢の待合室
最後に見た海は
寒桜の隙間
白い泡が飛んで散る
追いかける花びら
ウミネコが咥えていく

水平線の空
雲を割り降りてくる
オレンジ水晶の柱

ピンの折れたオルゴール
星を ....
冬の風は少し固い
庭の薔薇は頬の色
妖精が落とした花びらは
降り積もる雪の栞となり
あなたの愛のように読まれる
お別れです
そう言って
妖精は雪を纏って昇った

遠く聞こえてくるのは
凍りかけの香り
心臓の甘い香り

摘めよ
枯れる日は明日だから

摘めよ
私のすべてを

摘めよ
 ....
宇宙に眠る雪の星
白い角 白い背中

プレアデスの七姉妹は
神話の海で真珠を摘む

女神になりたい白い牛
真珠のイヤリング

雪降る宇宙で流星を数え
妖精の森で恋人を待つ

 ....
色をなくした唇
あなたを失ってからずっと
見えるものみな墨絵で
虹さえ魔女の髪のよう
天使のラッパが遠くで鳴る
金色のラッパが空気に色を塗る
新しいカレンダーを届ける天使
表紙をめく ....
冬の高原は優しくて
綺麗な絵を描いて
僕が訪れるのを待っている
ゆるやかな坂と曲がり道
路肩に打ち寄せる白い息
たどり着くまで目頭が熱い
雪で飾られた森を抜けていく
花火が消えるよう ....
おばしまに乗る月は
妖精のスカート
葡萄色の瞳
月の吐息は朧にかかる

レンゲ畑は美しい雪の下
雪のミツバチはあなたの面影
月光を集めて飛んでいく

妖精のうしろ姿が見える
月 ....
香炉の炭が小さく赤く
藪小路の実のように

置かれた和菓子のように
上げた障子戸の向こうに
雪で染めた羽根が見える

茶室でふたりきり
白い息はひとつきり
他人の不幸に辿り着いたら
なぜだか幸せを噛み締めているようで
どす黒い絆という文字ばかり踊っているのです
たぶんそうだろう
名前がなければ
一色にしか見えない
言霊が消滅してから幾千年たっただろう
万葉集がほんとうに
最後の詩集になってしまった
ごめんなさい
逝くという日に
逝く瞬間に

手も握らずに
ほんとうに
ごめんなさい

狭い部屋に
何人いただろうか

逝った瞬間に天井を見上げ
探したよ
どこにいるだろうかと ....
治ることない
そんなこと
誰もが知ってる

墓地を埋め立てる音が
波音のように
寄せては返す

ここは去らねばならぬ

治らないなら
意地を張るのはよそう

昨夜
月夜に
 ....
雲をシュレッダーに掛けたように
雨が降り出した

空に磨かれて
美しい雨が

大声でなくように
産まれるように
終わりにひとこと
祝辞をと開いてみたら

伸ばしているだけで
時は過ぎて

栞の花びら一つ掴めず
風にさらわれ

終わりにと
終わりに
ただひとこと

そう思っているうちに
 ....
丘白月(577)
タイトル カテゴリ Point 日付
雪の花自由詩120/1/24 21:09
月は天の香具山の妖精自由詩120/1/24 21:07
月の薬自由詩220/1/18 22:49
春の楽譜自由詩120/1/18 22:47
花瓶に生まれて自由詩120/1/18 7:46
白雪姫の妖精自由詩220/1/17 19:41
冬の缶詰自由詩120/1/17 19:39
死んだ妖精自由詩320/1/17 7:36
空耳の夢自由詩320/1/12 19:31
スポーツ界自由詩020/1/12 7:27
春の楽譜自由詩020/1/10 6:59
ロウバイの妖精自由詩020/1/10 6:52
スノードロップの妖精自由詩020/1/10 6:51
帰り花の妖精自由詩020/1/7 21:52
梅の妖精自由詩020/1/7 21:51
夢の待合室自由詩119/12/31 23:07
星のかき氷自由詩119/12/31 23:05
アンネフランクの思い出自由詩119/12/31 23:03
バラ畑の記憶自由詩019/12/30 9:04
おうし座自由詩019/12/28 21:48
鮮やかな明日自由詩019/12/28 21:47
あなたと見た雪自由詩019/12/28 21:46
美しい舟自由詩119/12/21 22:57
幻の茶室自由詩119/12/21 22:53
災害の地自由詩119/12/21 22:49
個性が消滅した時代自由詩019/12/19 22:20
手も握らず自由詩019/12/15 22:17
サナトリウム自由詩119/12/15 22:03
雨が自由詩419/12/14 8:14
時間のしわ自由詩1*19/12/11 21:25

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