なにも知らない、
何一つ知らされていない、
わたしという存在が
億万年の彼方から送り出され
今日の宇宙を仰いでいる
あゝ天晴れ、
わたしは躍る
この地上にて
何一つ覚えず
何一つ ....
作りかけで壊れた
断片を繋ぎ合わせ
星のように祈った
暗がりから白手が伸び
祈りのカタチを崩していく
後腐れのない別れ、転がる骸
哀しみは億万と木霊し
形態は次々と破壊され ....
世界に一時許されて
震える個体が風に吹かれ
世界の荒野を抱いている
夜がまたやって来る
夜がまたやって来る
震える個体は薄暮のなか
遠い遥かな夢を紡ぎ
光の時を待っている
....
ふくよかな体つきのサウンドが
自らに重なり溶けて
一瞬青ざめ
ゆっくりと身をもたげる
擦れる不協和音と伸びやかな声
夢の中に解放され
雪原を転げ廻りながら
記憶喪失の通行人のよう ....
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている
大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
薄日の差し込む朝に
解放する、
深い夢から目覚めて
根無しの不安と歓喜を
うっとりと溶けていきながら
うっすらと薄い膜を張りながら
大地から切り離されていたタマシイが
朝に新たに覚醒スル
妙な浮遊感、
冷たい大洋に浮かぶ裸木のよう
(そして耳許に残るサウンドに陶然として)
長い一日という荒野に戻っていく
全部ア ....
白昼夢のように
雪の舞う青空を
光のなかへ還っていく
冷えた街角に散乱する屍
延々と続く葬列は蒼白く微笑んで
遠くから駆けて来る少女を優しく包み込む
ー死が生に内包され
美しい悲 ....
なにより寒いおひよりで
しんしんと雪降る街道を
ひとり揺れて参ります
なんのためにか日々彩り
なんのためにか日々頑張り
なんのためにか日々生きる
がんぜない幼子のように
途方 ....
暗鬱としたコード進行が
延々ループしながら続く
僕らは没頭しながら従う
次々開ける光景は白昼夢
明るんだり暗んだり
いずれもそこは極北の地
いずれもそこは極楽浄土
君は泳ぎだし
僕を導 ....
気怠い声を
突き刺さる声を
遥かな地平に放ち
失われた故郷からの応答を待つ
懐かしい高曇りの大気の匂いに誘われ
剥き出される異邦の孤独が
両手を広げ帰っていく場所
振り絞るように ....
光の午後は渦巻いて
わたしの心は虚脱して
青い青い大空を
のっそりのそり渡っていく
残りの時間の切迫に
わたしはやがて覚悟決め
断崖を滑落する自分を見る
(人生の椅子は失われ
....
欲望が溢れ出る
果実を丸ごと搾るように
広がる原野、聳える岩峰
足元は見えない
失われた足跡
粉々に散らばる
声の断片
不機嫌な実存が夢見る夕べ
終わりから逆算される日々が
冷え ....
昨夜アフリカの夢をみた
大地に根付き踊る人々
わたしはひとりはじかれて
途方に暮れて大地をさ迷い
この曇天の裏光り
遠く太鼓の音響く
イートインの静寂に
駆け出す子供をぼうと見る
....
警報機が波打つように鳴り響き
降りしきる雨、立ち尽くす人
遠くを追いかけ少年が走っていく
雨に濡れて
焦ることは少しもない、
すべて終わっていくのだから
すべて始ま ....
光り溢れる
午後のうちに
うっとり横たわり
記憶に遊ぶ
(お母様と手を繋ぎ
畑の野菊を見つめていた
ただそれだけの光景が
震えるように懐かしく)
光り溢れる
午後のうちに
....
神様が
気層の底で笑っている
朝未だ早き夢の中
光すきとほる道筋に
遥かな希望が舞っていた
死の断崖が近付いている
残された時間が切迫する
信じることだけ許されて
生きている
....
異郷の地に立って
根こそぎにされ
もう何も残っていない
荒涼としたノスタルジア
魂の奥底から滲み出て
北の国より吹く風になびき
遥かコバルトの海底に沈む
日を追うごとに
紋様はこ ....
こうべをあげて
青い空が広がって
静けさが辺りを包んでいく
昨夜の恐怖と奈落の底と
窮地を脱して迎えた朝に
廻る球体は光りを投げ掛け
今日の救いを差し伸べる
静けさが満ちるこの朝 ....
雨が降る
計り知れない空の高みから
ちいさな明かりがともる
いつもの夕べの向かいの家に
憂鬱な時、寄り添う不安
わたしの夜は一層深く
そして物語は続く
団欒の賑わ ....
ハロー、ハロー
青い旗が揺れている
燦々と降り注ぐ光のなか
どてら姿のおじいさんが過ぎ
わたしはイートインでコーヒーを啜る
長閑な午後の一時です
雪の吹雪く北の国
寒風吹き荒ぶ東の国 ....
抜けるような
美しさを保ったまま
時が経過する
微かに
彼女の息遣い
振る舞われる
原色の舞い
忘れさられて
過ぎ越して
上昇する
下降する
もう一つの世界
もう一つの夜
も ....
また白痴な顔を晒し
振り返る君の孤独はやるせない
冬の大空に羽ばたいて
青い大気を吸い込んで
静かに呼吸を繰り返す
君の無垢は無限の広がり
いつかの不在を先取りし
果てなくラアラア唄って ....
雨の一滴が右手の甲に 落ちた
ズシリと 重たかった
ミシリと 胸の空洞が鳴った
私は慌てて滴を振るい落とした
軋む胸が一瞬、
張り裂けそうになって
荒れた大地を掘り起こせ
大地に刻まれたその痕跡を
黄色い犬が吠え立てる
此処は腐った野ばらの戦場だ
無数無数の狂人たち
戦い吠える瞳が美しい
いずれ沃野に帰るだろう
異次元 ....
雨滴は絶えず穴穿ち
佇む神々の声は木霊して
わたしのひとりが
目覚めるとき
大地を覆う涙は枯れ
帰っていく
帰っていく
たましいのふるさとへ
ひとりにもどり
帰っていく
....
あおいそらの
動かず
足跡を辿る
神々の
こうべ上げ
何処までも続く青
不安を突き抜け、恐怖を突き抜け
見晴るかすかぎりの彼岸の野辺に
硬直した自我、遊ばせて
わたしの孤独は ....
瞬く
無数の星が
渦を巻き降って来る
哀しみ剥き出され
眩む意識を抉られ
永遠の雨、永遠の流星群
たましいは冷え
にくみは凍え
いのちは震え
行き着くところまで
わだ ....
雪が舞っている
街の電飾に輝き
通りの向こうから駆けてくる
子供は身を躍らせ
向かいのコンビニで手を振る
老婆の萎びた顔が切なくて
手のひらに収めた雪を投げ入れる
白い空間 ....
曇天の
陽射しなき寒さ
震えている
雪ももうすぐ降るらしい
白く冴え渡るわたしの意識の
行く末を見届ける者はいない
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