そば屋で
肩を落とした
お前をみることはできなかった
あまりにも淋しすぎて
一味でも
七味でも
やたらに振るお前を
見ていることなどできないでいた
ラジオの音だけが
俺た ....
鋼色の空に漂う蝙蝠たちが
バンドネオンの響きに合わせ
北風に乗りながら
今年最後のタンゴを踊る
お前たちは
これから何処へと行くのか
ブエノスアイレスは遥か彼方にある
今からでは ....
おまえは夜がこわいと言った
夜はおれも
ちょっとこわいかな…
冷えたおまえのひたいを静かになでた
あしたは何が食べたい?
甘~ぃ デニッシュ…
おれはあちこちのベーカリ ....
萩の咲く
路を彷徨い
君だけに
そっと囁く
戸惑いの中に
ぼくは空を舞っていた
ただ それだけなのに
貴女はロンギヌスの槍を放ち
この胸を貫いた
戸惑い
心臓が張り裂けそうになる
その言葉だけがこの胸を貫いた
まだその瞳も見ない ....
酔い酔いて ひとり旅
ポタージュ 柔らかい母の手のひらが舞う
ポトフ 冬の楽しさテーブルを前にして
ミネストローネ 鮮やかな色は夕日のように
オニオンスープ 琥珀のぬくもり今日を慰める ....
帰り来ぬ
命の影を
待ちわびる
青い翼があったなら
ぼくはどこまでゆけるのだろう
成層圏はもう間近なのに
ヒマラヤ山脈をやっと越える翼があるだけで
青空の先に映る星はみていないのです
できることなら鋼色の青い翼と
....
寂しさの
果てにたたずむ
時計の
音色哀しく
空気を揺らす
まな板の
イワシのまなこ
可愛らし
毎週の水曜日は
たまご10個で100円だ
妻が自転車のタイヤに空気を入れて
スーパーに走ってゆく
ぼくからしてみれば
どうこう言うことは無いのだけれど
妻は走ってゆく
ぼ ....
ぼくは何処までも往きたくて
ありったけの大枚の札を払い
列車に乗った
河を越え
トンネルをくぐり
何処までもゆく列車に乗った
車窓を開けたなら
緑色の空気が
車内を満たして ....
片側二車線の国道に車に轢かれた
猫の死骸が横たわっていた
電線に横並ぶカラスたちの視線は
一点に集中している
ひっきりなしに通り過ぎる車の間隙に
猫の死骸は潰れて
薄くなってゆく
や ....
夕闇の空に
漆黒の羽根を羽ばたいて
ゆれてゆく蝙蝠は
羽虫を追う
十五時のアパートの屋根にこびりつく
蝙蝠たちは
飽くこともなく羽虫を追いかける
哀しいバンドネオンが歌い
....
五万語の
大漢和辞典を
文化遺産に
推挙する
或る日の朝に
電車に乗った
ふと見た貴女の瞳がとても透明で
あまりにも透明だった
ぼくはとても驚いた
揺れる眼差しの果てに
何を観ているのだろう
住宅や公園が過ぎてゆく
....
床に流れた黒髪は
流れ 流れて何処までも
白い柔肌が静かな鼓動に波を打つ
君の背中に彫られた地図をたどれば
エルドラドに往き着くのだろうか
果てしない疑問符が襲う
ぼくはまるで ....
ことばをさがしながら
五万の文字をたどる
幸せなのか
どうなのか
私には解らない
一日に百文字を覚えたならば
二年以内にすべては解けてゆくのだろう
眼鏡を着けたり
外したり ....
りんご擦る母を想う夜
山葵海苔
納豆
目玉焼き
焼き海苔
シラス
浅利味噌汁
切干大根
高菜漬け
カレーの残り
イワシの目指し
たまごかけごはん
茄子味噌
だし巻き玉子
ベーコンエッグ
バタ ....
凹凸
陰陽
日月
生死
動静
浅深
紅白
黒白
男女
+-
夏冬
晴雨
美醜
天地
卵精
水火
哲理のゆくさき
あるいは ....
深い森にわけい入って
静かに 静かに 息を吸ってみた
甘やかな熊笹の香りが
肌を包み
遠い記憶を呼び覚ます
ぼくは此処にいたんだ
ミズナラの巨木のきみが
ぼくを呼んだから
....
おでんが無い
おにぎりも無い
こんな状態でどうするのだ!
コンビニが消え失せる夜
コンビニならコンビニらしく
仕入れをしっかりとしなけりゃ駄目だぞ!
俺たちの生命線は其処にかかって ....
仕事は頑張っているけれど家庭ではダメ男と言われ
昴を待つ
青く あおく 雲が霞める星々に魅了された
アンドロメダの薄い雲
図鑑で見た壮大な渦巻きがぼくを驚かせた
無数の青雲たちの美しさに祝杯を挙げる
本屋の帰りに眺めたオリ ....
まだ早いのだけれど
今日は寒かったので
冬が来る前に何かをしなければと…
去年はどうだったのか
何となく忘れてしまった…
まずは暖房 ガスストーブの点検
羽根布団と毛布をランド ....
いまは赤外線の中にいて
何を想うかは自由で
骨の痛みと
熱にうなわされいる
何としよう
音楽を聴いても
何をしようとしても
仕方がない
熱よ去れ!
骨の痛みよ去れ!
....
イタリアに行きたい
たぶんオリーブオイルとニンニクと唐辛子にまみれて
マンジャーレ・カンターレ・アモーレ
その国では
風邪などひかないだろう
シチリアに行けば
ホルモンの饗 ....
発熱・咳・くっしゃみ・関節の痛み・逆流性食道炎
薬を飲んでも
ちっとも効きやしない
そうだ、最後の手はアルコール消毒だ!
先人の知恵から生まれた玉子酒は苦手なので
ウイスキーのロック ....
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