夢でも逃げ出した初恋の人
流れから外れそを眺める
金魚鉢割れて夢が散る
月より使い来てゴミ袋持って去る
己の意思より地図の上のピンに従う
毎日が無念記念日
一瞬の口から出任せの責任背負う年月
ゲームに熱中するその姿寒々しく
生まれる前の記憶と責任逃れ
この場所にこれまで誰と来たのか悩む
さびりかげでもなんじょもなんね
残暑の道端で西瓜切る
眼鏡曇って道踏み外す
たゞならぬ光景も三日で見慣れる
夕暮れ時包丁をしまう
軌道と言うより線路
青い鳥に逃げられる夢ばかり
空き地に群れるカラスの数かぞえ
通り過ぎる電車どこへ行くか気にかゝる
ずぶぬれのまゝ海へ行く
足音潜ませ希望の明日逃げてゆく
銃口と言論が今日も人を踊らせ
夜中のゴミ捨てにも概念を分析する
ネギ切って朝が来る
三遍回って自由と叫ぶ
デイライフにコミットでもしてみるか
対岸の島から悲鳴が聞こえる
雪だるま避けわんこ歩く
外から見ているだけで良かった
昨日よりもさらに縮む
あんなに渇望し翌週は机の下
そんな道具あったなら隠遁しなかった
時計多く持ちまた約束守れず
勝手にそれでいゝと決めるな
謂れのない言葉死ぬまで呪い続ける
存在の軽さ較べ瞼なお重くなる
爆竹でアリの巣拡張工事
たゞならぬ角度で本開く
どこまで似る似たもの同士
春の緩みのせいにしておこう
東京ブギウギの東京はもはやない
夢砕けギターばかりが饒舌になる
サクランボ遅れて恋歌う
一緒に騒いでも独り
諭すように歌い失笑買う
手伸ばし草原の先
風吹く丘に降り立って
風邪福岡に蔓延って
桜散る 夢の種結び
忘れたいことなど今日だけでも両手に余る
依存の前に手を引きたかった
火をつけて逆だと初めて気づく
誘惑にも負けない貧乏具合
しくじって次どうするか迷う
乗り遅れ狼狽えて草履脱ぐ
踏んではいけない物を踏む
満月見て左足だけ踊る
足止めて表札見る
寄せ集まりでも鮮やかな色成す
石畳の道に迷う異国の異教徒
紅い薔薇神経質そうに咲く
暗闇でイガを踏む
一歩踏み入れ異臭
何かゞ起こる前二つ三つとくしゃみ
素手で持てない物を持たされ
名曲の作曲家名前も思い出せず
整髪料いらなくなった春
気づかれず霧の声に耳塞ぐ
店見つけても欲しいもの見つからず
行列の先頭が気にかゝる
キッチンに一人っきりの秋思かな
祖母の手がせっせせっせと栗磨く
宵の秋コーヒー淹れて猫の横
まず今日の今を生きたし十三夜
温(あたた)め酒となりの部屋も灯りおり ....
朝から晩まで自転車で逃げる
雨だけは降るなとツーリングの空
つれない猫 夢にも出て来ず
経緯思い返す事さえ想像できぬ
明日もきっと退屈だもっと寝て過ごそう
豆腐屋のラッパもスピーカーから
退屈が忍び寄る満員電車のあちこちで
あるじなき手袋木の枝暖める
退屈積もり尚重くなり
幼きころなくした帽子思い出す
走り出せども涙止まらず
外見で損していると気づく夜
悟られて敗北感
諭されて敗北感
彩る花も不要な月光
俺の肩を叩くな
本当に孤独を愛する人はいるのだろうか
強がりも一週間程と見る
決意の遠吠え闇に谺もせず
その声関心もなく雑音のごとく
幼子は昆虫ゼリーが食べたいと
大型粗大ゴミの日の熱風
初めての目薬ついに成功し
古い黄色いバイエルに花丸
犬と観る2020オリンピック
斎場の蝉アスファルトに墜落す
....
酒こぼし考え改まる
渋谷歩けばデカダンス感じ
また酒こぼし開き直る
する事もなくいたずらに冷蔵庫開ける
人の感情の我儘なことよ
かの日々に似るを恐れよ原爆忌
手が臭くなるほど真鍮細工磨く
遠くに見下ろす光気にかゝる
物言わず静かに氷点が襲う
今宵静かに呼吸する
鉄気の多い温泉につかる
真似するくらいならなり切る
退屈一つ振り払いまた一つ
つまらない奴に恐縮し過ぎた
坊主好きでもお経は苦手
寒村に路面電車を見た
職業に貴賎無しと雖もあれとあれは
やませという名の霧が白く立ちこめる
ふざけた後の心苦しさは退屈のよう
些細なトラブル続き事故は無し
かっこつけて穴を掘る
八月に
昭和は古びたり
いまだ尖り
このコードを引き抜けば楽になる
悪夢に目覚めると東の空白む
やる事なす事全てが裏目
夢は卒業アルバムにはさんだまゝ
微睡みに風車の響き
富士山から逃げおゝせ異国に入る
波音に目を閉じて高田松原
春風の中 いちごに恋寄せる
心奪われて奪い返せず
まっすぐ進めど波が足掬う
言いたいことパワポで説明
昨日食べたアイスクリームの冷たさ忘れる
アケビの実を持ち帰る遠い昔
今日も誰かの誕生日であり命日でもある
たった今無駄の上に乗った退屈流され ....
鼻血出し空見上げ流れ星
風に揺れぬブランコ見つめ
風もなく揺れるブランコ見入る
頭のリセットスイッチ使い過ぎてもう働かない
卒塔婆を集める
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【俳句】季語を含む17音律「5.7.5」の俳句と、その形式を崩した自由律俳句、無季俳句などの俳句作品のみ受け付けます。俳句批評は散文のカテゴリへ。
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