水ひとしずく地面を穿つことなく吹き飛ばされる
あれもまた賃走のつもりとタクシー夜の街
穂紫蘇指でしごき指先また匂う
無くなりし言語を追いかける
その言葉に意味はあるの ....
軽石が 重荷になって 冬の海
何故此処に問われて林檎染まりをり
秋暮るる猫と私の三畳間
夕陽が背伸びして犬の影がおちていた
森や林にさびしい色が川や海にかなしい色があった
ゆく雲が鳥になるまで空をみていた
旅立ちの晩白い花一斉に咲く
何を吸い込み綿は湿る
葛切って箸立ての割り箸なくなる
少年美しく床の間から降りる
黄砂の頃韓国が懐かしくなる
野菜食べ窓ガラスにアマガエルはり付く
餅つきを外から見守る
砂風呂から遺体見つかる
鼻風邪引いて車輪回る
屋根に乗る虹昇りゆく
いたずらにつけられた名前で一生袖にされ
数億数兆数京の命それぞれに意味求める
盆に探しもしない雉の鳴き声聞く
黄色い花咲いて西瓜かメロンかカボチャか
指先が乾きすぎて ....
エビータの夕暮れしずしず岬の埠頭眺め
夜明け前遍路も持鈴鳴らさず歩く
カラスが喪服着て歌うプッチーニ
狼煙の足下に蛸壺数多転がっている
ヘボン式のヘボンはあの女優の名 ....
止まらぬ波濤をたゞ眺めるだけの午後
チンドン屋去って深く溜息
木槿の蕾揃って何念じている
紅い花散るまでのすべて見届け
一度渡れば帰れそうにない橋の前
汲み取り便所に何を落としたのだ
翼の記憶蘇るだけ重く重いだけ動けず
彼岸過ぎ河馬のように水飲む
見上げた空の青さに味噌汁の香り
陽が昇り苔の壁に蝸牛の足跡光る
若宮大路の鳥居3つ4つ
大宰の短編思いだす滑川の青砥橋
御成通り小町より居心地良い
弁天参るつもりが佐助で迷う
江ノ電と駆けっこした夕焼け空
退屈な人ばかり饒舌になる
南国の暑い村凋落す
火にかけた圧力鍋たまらなく怖い
頭にも雪積もるほどじっとしている
ジグゾーパスルに異物混ざる
雷雨の中頭に避雷針立てゝ歩くが如く
勢い止まらず足跡もころゝころ
屋根瓦揃って満月に輝いている
カンテラ探し夜も更けゆく早く寝よう
味のあるチンピラ作る食えぬキンピラ ....
理由知らず忙しく咳き込む
無理もたゝリ船が去った島に取り残され
夕べより冷蔵庫のモーター音気にかゝる
枯れスヽキ踏み分け鳶の声聞く
沈下橋の縁に腰掛け川底の石数える
....
全てそぎ落とし感謝伝える
結局経験以上は想像もできず
友にも似た犬家の前で糞をする
ボルシチにも石を入れる
言葉の波に吞み込まれメロンの夢を見た
叢に身を隠しその一部となる
うきうきと舞い出でて地下鉄降りる
みほとけの姿見るまで経唱え
一見て十知る 十見て一に返る
源流に近づく正月飾りの灰捨てに
くだらない話くだらない時くだらない腹
あの時ばかりは自分が正しい
枯れスヽキ足蹴にけもの道進む
今日と明日とを天秤に掛け
皿砕くなら食後
竹林の中疾走する
慰安の余興として一年棒に振る
いつ弾けてもおかしくない雪だるま
散財して鯉のぼりの下
アキアカネ舞い言葉に詰まる
真実言ってしまったがばかりに駒の上
沢庵ばかりで他にない
あの塔が邪魔だ蹴飛ばしに行く
「ふれあい」の字だけ見て迷う
夕焼けに手をかざす柚子湯の夜
立ち待ち月も待てぬほど急ぐ
今月初旬から雨々また雨々のち雨々
雨音さらさら続いで糸紡ぎ
マタヽビの実をかじり似た感覚思い出せず
酢飯作ってネタ買い忘れ
発信したら居場所突き止められ
足下の蝉は昨日騒いだあいつだろう
草むらに佇みハーモニカ吹く
食事中断してまでラジオ体操
湯葉ひとつ剥がして眼鏡曇る
機会 変化 不定形 その次は
待っていてどうにかできる筈ないが座る
本当に着地点はあるのか心配しながら飛び降りる
東に是あれば西に否ある電波障害の日
その次って結構自 ....
有限の言葉無限に広がり
鍵穴から漏れ出す何かを見て見ぬふり
諦めて歩けば砂利が増え
サル程度の反省でもしているつもり
また税率上げられ禁酒禁煙
面倒臭いは疲れた時の魔法の言葉
湧き水の勢い圧倒する
雨樋詰まって野分来る
歳取るごとにつまづく
昔の感情には同調しかねる
諦めた人憤り夢に現れる
許すも許さぬも今日の雲
冴えてなお足下気にかゝる
空曇り無花果の実の中までも
早朝川まで降りてしらじら
救急車に轢かれた
ひとり火事を消す
減った里山の分紅葉あかあか
あの頃もっと寅さんの気持ちがわかっていた
目が合えば気があると思う
チョコレート嫌いでならない
銀色のなにか足下に転がる
螻蛄鳴いて道路端
身動ぎもせず明日から冬が来る
笑い方にさえ迷っていた
酔ってくだ巻く蚤の心臓
落雷待つ旗ひらひら
日照りの夏黒き電気畑の収穫高く
いつ太陽にほえるのか
情熱去って朝露の草
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