女學生日記 六十一
TAT



三月二十五日 月曜
天氣 晴
起床 五時三〇分
就床 十一時二〇分

朝八時に學校へ行つて二十戔づつお金を集めました
そしたら太田方面汽車通學団の人達が「私達は七十五戔づつ集めて十五円の時計を買つて字を刻つてきたからそんなに二重にお金を出せない」等と言はれるので集めない人もあつた
送別會は十時半頃からで十二時頃に終つた
妹達と一時の電車で岐阜へ来ました
丸物で買物をした
四時半頃眞桑へ着きました
途中で妹が氣持が惡くなつて吐いたので弱つた
夜 上眞桑へ浄瑠璃人形芝居を見に行つた
とても面白い
語手が眞赤な顔をして壺を叩き乍ら怒鳴る様に言ふ
私と兄は其の人の顔を見て笑つた



三月二十六日 火曜
天氣 曇
起床 七時〇分
就床 九時〇分

朝起きて妹と驛の方へ散歩に行つた
それから父の自轉車に乘つて祖父の所へ行つた
それからお姉様と梨畠へ土筆を摘みに行つた
お晝食を食べてかへつた
晝からは貝掬ひに行つた
夜 隆ちやんと寢た
今日新也ちやんと弟の隆ちやんが来た



三月二十七日 水曜
天氣 晴
起床 六時三〇分
就床 十時二〇分

晝前 叔母様や新ちやんと土筆とりやせりとりに暮した
そのせりをお晝食におひたしにしたらとてもおいしかつた
晝から隆ちやんと縄とびをした
夜お風呂へ入つた



三月二十八日 木曜
天氣 晴
起床 七時二〇分
就床 九時二〇分

晝前は歸るので其の用意に忙殺された
隆ちやんが私達が歸つて居らなくなるので淋しさうにしてゐた
十二時の電車で眞桑を發つ
一時岐阜着
岐阜の叔母様の家に寄つて休んだ
それから丸物で買物をした
百貨堂で吉田先生にお會ひしました
四時十八分柳ヶ瀬發の自動車で歸りました
夜お風呂へ行く




散文(批評随筆小説等) 女學生日記 六十一 Copyright TAT 2023-04-02 00:01:43
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