生臭い魚の腐った季節の中にいる
狩心

港区三番街のコンテナとコンテナの間に 隠れるようにうずくまって夜 雨に打たれながら野犬と交尾した

人に心を開かないわたしが 犬に股を開いた
ビクンビクンとよがり イキ狂った それを
あなたは見ていた



こんな世界で
どこも悪くないなんて
あなたおかしいから
すぐに病院に行って下さい

走る走る走る 霊に取り憑かれる
走る走る破水 大丈夫ですか 囲まれて
人間讃歌にレイプされる私は
ただの寂しさに病名を付けて 変体を繰り返し
人権団体に捕まらないようにしたい
形なんてどうでもいいタイプだから
宗教にハメられた振りをして教祖の
愛人になって 剛力彩芽になって
お金をごっそり盗んでやった全部
計画通りだよと教祖 ほざいてたけど
一体何のことかさっぱりわからない 私があなたの計画を破壊してあげただけなのに
頭の中だけで生きてて 事実を理解できないのかしら
通貨だるい

だるいから全部ドブ川に流した
金、体、思い出、愛、未来、

皮膚に刻まれた皺の崖が
目の前を覆い隠してわずかに
砂利っとした歯応えで感電
水溜まりに電源ケーブル落ちた
事の終わりのシークエンスを奏でる
まあるい魂は嘘
湿った眼球のように潤った心を 留めて居るのではなくて
誰かの唾液に塗れて
舐め回されているだけ

あの頃
「夏は暑いね」を売り捌いて アタシだらけのからだが更衣室で擦れ合って 知らない愛する男を腹上死させた
水着はカッターナイフで切り裂いて バッドマンの雄叫びを上げた
紺の
競泳水着の
 肩幅の広い
  張り裂けんばかりの肉体で
   神々しい光を放ち

 ザーメン

 弾ける水飛沫

何の為のシャワーか
何の為の雨か 分からなくなった
川の氾濫のあと
道端に転がっている溺死寸前の子供のプリケツを
くんか、くんかしたら
口の中にうんこされた

セイ=絵の 終着エキ
わたしはゆっくりと手を回し
子供の首をキツく締め上げた
アソコをキツく締め上げて
アレをチョン切るように
零れ落ちるセイ、
だらだらと駅が連なる
また
受セイしなかった
 種族が
ちがうから
 言葉を 交わせなかった
 ただただ からだは重なって
からだの内側がめくれ上がり
ひっくり返って
しゃっくりが止まらなくなって
内側が外側に露出して
内側の肉片が 外側の川になった
経緯は
警察の致すところ、
敬意は
わたしにしか分からないこと
形意は
致し方ないこと
歯科医院の受付は
わたしの致すところ、

本日はあなたの歯を
すべて抜きます
すべて抜いて すべからく
あなたはわたしをむさぼる

 看守達は皆一様にいった
 おまえが利用されているのか
おまえが世界を利用しているのか
 わたしたちはわたしたちなのか
わたしたちがおまえなのか
 おまえがわたしたちなのか

わたしが

行くべきところへ行く
おまえは堅い
鉄板のように硬く冷たい
あらゆる体温を奪う 描源体
体温計は役に立たない
基準はお前を縛らない
奇足はお前を縛る
身動きできなくなったおまえは身悶えて イキ 狂い
おまえは既に死んでいた
おれの腕の中で安らかに眠る
お前の夢を垣間見ていた
一緒に
泣くことができたら
さぞ
嬉しかったことだろう
出会う時が今でなかったら
さぞ

寒空の舌
 腕の中で眠るおまえを
 おれは誰だか知らない
 誰だか知らないし
 愛してもいない
だが、
 優しく抱き締めていた
 丸めてボールにして蹴った
 日が暮れるまで
そう、
火が、地平線に落とされたときおまえは
どさくさに紛れて
 おれを食らった
開戦の 幕開けの
爆心地のど真ん中のクレーターで
誰にも見られずにおまえは
 おれを食い殺した
 食い殺したおまえは
 血飛沫を上げて
また
  闇の中に消えていった
種族が
 ちがうから

 マンホールを開けて
 下水道をひた走るおまえは
はだかで
泣いていたのか
笑っていたのか

ときどき
 酔い潰れた冷たい夜に
 硬いアスファルトの地面に耳を押し当てると
おまえのひた走る素足の音が胸に響く
 響いて
 おれは安心して路上で眠る

 目を開けると
 コンテナの前に立っていて
 野犬の首を切り落として
知が滴っている
知が滴るから
私は滴ることができない
 中身をほじくり出して皮だけにして
 それを被って深呼吸した

鼻から胃へと滴り落ちる知が
 おまえの生理を おれの意味へと昇華させた
 
 めくるめく 細胞の歓喜
 筋肉が膨張する
 毛穴を突き破って
 体毛が体を覆い尽くす

ヘンシンするおれの体が電脳する
水溜まりに落ちていた電源ケーブルから
 おまえのシとセイの狭間を吸い出して
 ホログラムのおまえが現れる
 おれの目は既に潰れていて
 おまえの残像がおれを見つめる

何も見えない
おまえの手がおれの体に触れる
 そうだ 使え
 おれの体をくれてやる
意識が遠退いていく中で
たった少しの間であったが
おまえに出会えたことを
 誇りに思ふ

 これがわたしたちが描いた絵であり
 絵の中に閉じ込められたセイである

その絵は今
 大栄博物館に展示されている
 富士山の噴火口の中だ
 見に行くといい


自由詩 生臭い魚の腐った季節の中にいる Copyright 狩心 2018-11-20 23:23:51
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