窓を開ける
葉leaf



窓を開けるんだ
向かいのマンションには
規則正しく電灯がついている
屋根と受信アンテナが見える
国道沿いには
リサイクルショップの看板があり
車両の通行する音が波打つ
すべてが小さく息づいている
これが人々の生活だ

窓を開けるんだ
空には明るい雲がゆっくりと這い
やがて裾野では山地へと至る
山々は青く色づいて
上部には雪が残っている
風は心地よく額を冷やし
光は和やかに視線を熱する
すべてが人々の始まりである
これが到着すべき自然だ

窓を開けるんだ
この窓から見えないもの
飛び交う電波や
窓を設計した図面
故郷の山河や
異国の人々の生活
道路交通法や
役所の組織形態
すべてを見尽くすことは不可能
これが世界の構造だ


自由詩 窓を開ける Copyright 葉leaf 2018-01-21 13:03:36
notebook Home 戻る  過去 未来