夏の夢
服部 剛

真夏の陽炎かげろう揺れる
アスファルトの、先に
琥珀に輝く円い岩が
ひとつ、置かれている。

額の汗を拭って、歩く
旅人の姿は段々…近づき
数歩前で、立ち止まる。
鏡に映るひとは、私だと知る。

夏空の小さい太陽という
照明は
鏡の中の私の遠い背後に燃えており
この鈍い、旅の歩調さえ
(見えない力が…押している)

木々の緑の葉影には
今日も蒸す、蝉の唄。

――私という存在は…もしや
  祝福されているのかもしれない。  






自由詩 夏の夢 Copyright 服部 剛 2015-07-16 19:55:54
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