春の席(春について6)
クローバー

(シェフ:こちらの席へどうぞ)

1春と叙情物語の香草添え

男は、立ち尽くしているのでした。

私は、釣り人の肩を、自分の席としております。
今年も春がやってきましたね、おとうさん。
この花びらのように、捕まえようとしたけれど
なかなかうまく捕まえられなくて
落としてしまったときのことは、
申し訳なく思っているけど
あなたは、じっと何かを待つにはうってつけの釣り人だから
私が座るには、うってつけの肩幅だから
毎年、春には思い出してね。
それ以外では忘れていてもいいから。


2単語置きのソテー春風風

落ちる指
永遠ではない子
花弁に遊ぶモンシロチョウ、
一人。

戯れた物が仲間である
自分以外は、悲しみである
指を伸ばすのは、
捕まえられない物にばかり
落ちた物には、
宿らない物ばかり
椅子が与えられるのは、
指をつないだ物にばかり

不自由な言葉を操っているつもりが
言葉に不自由に操られている
ほら、よく見てごらん
すべての指には、糸がついている

遠くから呼ぶ声がする
指は、回転しながら降りていく
仲間のいないモンシロチョウ
席も与えられないまま
留まり方すら忘れていった。

(シェフ:どちらも、メインは春です。
        毛色の違う物を用意いたしました。
        多少、見苦しい部分があるように思われますが
        いかがでしたでしょうか)


自由詩 春の席(春について6) Copyright クローバー 2010-04-16 01:32:21
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