春の切符(春について5)
クローバー

強い風に飛ばされないように
セロハンテープで貼り付けるウサギたち
やぁ、君も手伝ってくれないか
ところ狭しと駆け回っている。
いや、私には結構だよ。
やんわりと断る
そうやって、散らないように努力するのは
なんだか、余白を無くしているように、思えるから。
耳については、聞いてみたいことがあったけれど。

(響き)(響き)(響き)
風を聞くのです。
強い風が吹く度に、はがれてしまうから
ウサギたちの目は赤い
枝が風を二つに割る
枝を越えたらまた混ざり。
(ビッ、ペタ。ビッ、ペタ。ビッ、ペタ。)
セロハンテープの音がする。
春の切符を切る音だ。


自由詩 春の切符(春について5) Copyright クローバー 2010-04-13 21:44:17
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