つよいひとより
よわいひとのほうが
たくさんくるしむような
きがします
だから
よわいひとのほうが
ひとのかなしみを
よりふかく ....
信号機が一つ増えただけだった
それが妙に腹立たしくて
この道を使うわたしはエゴイスト
狭い
直角に曲がることの
繰り返し 運転は苦手
3つ目の突き当たりで気 ....
道路の真ん中で寝転ぶ事に
こんなに開放感があるなんて
知らなかったよ
何かを見たり見なかったりで
ぼうっとしてる私を
見知らぬ誰かが続々とまたいでいく
この歩行者天国は一方 ....
秋の空に
憂鬱と哀しみを感じる
私の世界は
プルシアンブルーに
染められる
あの人の顔がよぎる
忘れることもできない
手紙を書きたい
いいえ 書いてはいけ ....
歩きたいのです
何もなかったから ただそれだけ
誰もが 妙に速足でいくものだ
そんな風に思うでしょ?
わたしが こんなに止まった世界にいるなんて
知る ....
隣のおじさんが郵便配達員に怒鳴っている
たばこ屋の猫は浮気性だと思う
趣味の悪いステッカーがたくさん貼ってあるギターケース
コンビニの段差でアゴを擦った車
大きな問題と中くらいの問題を抱え ....
あなたの命をください
終電間際のホームに
滑り込む光の溢れる
車内から
私たちは聞こえる事も
ない声を聞いた
わたしたちの命は
こうして
汚泥のよう ....
雨降りの夜、厚い雲
独りの私に
一瞬満天の星空を観せてくれた
母の仕業に違いない
そんなこと
星になんかなっていない母にだけ
できることだから
色を知った男は
女に恋い焦がれる
金に酔った男は
金と堕落する
(ほんとうのきみはそんなじゃなかったのに)
人間は四角い箱にはおさまらない
育つ度に何かを捨て何かを ....
生きている事は不思議だ
恐らく人間には2種類のタイプがあって
愛された人間と許されなかった人間がいる
見えない壁があるどころか
そもそも愛された人間からは
許されなかった人間を見る事は ....
奥に仕舞い込んでいた未使用の
少し焼けてきた葉書の束
ふと 手に取り
書き始めた文字は
青臭くて齧るとまだ苦い
幾つもの文字を吊るしては
甘くなれと
この一つの息で長く吹き込んだ ....
そっと触れてみた
あなたの手の暖かさに
涙がこぼれた
眠れない夜
無機質な光を放つだけの月にさえ
すがるように 祈りを捧げる
どうか、どうか、
この人の命の灯をいつまでも消さな ....
夕御飯の片付けをしていたら
最近歩くことを覚えた 二十ヶ月の娘が
「あんよ、あんよ」と言いながら 手を伸ばしてきた
ああ
たとえどんな重要なことをしていようと
こんなにも透き通った瞳が訴 ....
深い傷 浅い傷
大きい傷 小さい傷
ずきずき痛む傷、甘酸っぱい傷・・・・
どれもこれも、私の体に残っているものならば
全て抱いて生きていこう
ひとつひとつが 生きてきた証だから
失いた ....
ある人は言った!
自分の思うがままに生きろと
ある人は言った!
心配なら支えてやれと
ある人は言った!
周りから何を言われたとしても自分の人生だ!だから、自分で決めろ ....
私はうまく狂人になれただろうか
一緒に
祈った
私は神を信じないから
一人で
地獄へ行くね
ギュッ と 搾り出した
いのち そのものが
ここにある100
パーセントの
ジュース
貴重
高価
とてもじゃ ....
自分の中で
自分をまとめる何かが
欠落してしまっているような
気がしている
まるで
私は自分をきちんと
回収する事が
できていない
そんな感じ
覚醒の段階が
多重になってい ....
お気に入りのアイドルグループの
ライバルグループしか出場しないことを
ブツブツ言いながらも
きみは紅白を見ている
口ずさめないヒットソング
古臭い大御所の歌謡曲
交互に流れてくる 年の ....
あなたの手を見ているとき
わたしは時折、魚のようだと思うことがある
別れ際にひらひらと
暗い海へとかえっていく
来た場所も行く先も知らないわたしたちが
誰かに与えられた名前を呼び合いなが ....
路地裏石畳の坂道を抜けたら
ちいさな井戸がある
そこから先は
行き止まりになっていて
逆から井戸越しに
坂道を見下ろすと
一気にふもとの海まで見える
風は凪いで
....
巨大なショッピングモウルには
きらびやかな自由時間が陳列されていて
選んでいる間は 人生一時停止
「ごゆっくりお愉しみください」
アナウンスがスロウメロディに混ざって流れてくれて
何だか安心 ....
私は冷たい蝋燭です
暗い足元を
照らしてあげるふりして
本当はあなたの狂気を照らしているのです
私は冷たい蝋燭です
嘘だと
思うなら
私の灯に
触れてみて
とてもとても
冷たい ....
蟹鍋の
シメは雑炊に限ります
独断ですが
鍋を預かる私の特権なので
異議は認められません
鍋の湯に
眼に見えないほどの
小さな粒子になって
溶け出した
蟹の
本当の味がします
....
舗石の下には砂
自由の下には旗
投げつけられた火炎瓶
怒号、
硝煙、
五月革命のパリ
嘘つきアルベール
誰しもあなたのことをそう呼んだ
真実ばかりじゃ息がつまっちまう
たまには嘘 ....
少し伏せ目がちに
笑っているみたい
碧(みどり)眼の街の灯が
びっくりしているよ
私のバイクの鍵には 鈴が付いている
バイクに乗ってない時は
バックに入れているので
バックを動かすと シャリンと鳴る
バイト先にいる猫には 鈴が付いている
お腹が空いてない時は
座 ....
男は単純にうそをつく
あなたは人にうそをつかないため
自分にうそをついてしまう ....
膨大な量の本を目の前に
手を伸ばすことをためらう
どれを選べばいいのかわからない
すべてが必要すぎて
何一つ得られない
余り過ぎてる言葉が
むしろその意味を無くしていくように
目の前 ....
手の平サイズの辞書や
ボタン一つでたくさんの単語
知りたいことは何でも
教えてくれる電気機器
デジタル信号に囲まれて
起きてから眠るまで
無限大に有象無象
知らないことなど無さ過ぎて ....
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