「不可解な調和」
木の若芽
青空が明るく楽しければ
その夜の暗闇は深く美しいでしょう
木が輝いて見えれば
星もさんぜんとまたたくでしょう
....
日曜日 うっかりペットショップをのぞいてしまう
生まれたばかりのかわいい仔犬が
ガラス越しにじっとわたしをみつめてくる
さっきまで泣いていたかのように黒い瞳が濡れている
この人はここから連れ出 ....
ハーモニカが吹けなければピアノも弾けない
タンバリンをやらせればうるさくて
縦笛は持ってくるのを忘れてしまった
町を歩けば石を投げられて
医者からは匙を投げられて
友人だと思っていたもの ....
桜守はいつも見ている
敷居の前を
週末に見慣れた木立
榎が化けた大欅が
獣たちを一瞬で覆い隠す
昔 此処が夜のしじまだったように
限りない静かがありふれていた
ダカラ思イ出ス ....
空の透明感
空気の澄んだ香り
星が輝き瞬く夜
何もかもがこの夜に溶け込んで息をする
黒い瞼の奥に誘われてしまえば
より一層闇に支配されて
静かに私も同化する
そうすれば
き ....
横向きで寝る
いっさいの灯りを消しても
消せないものが浮かんでくる
まぶたを閉じても
眼球が光のない世界で動くように
スイッチを切ったつもりでも
同時にもうひとつのスイッチが押されている
....
友人にまるで詩人だねと言うと、彼は頭を軽くふった。
その仕草は穏やかで、羊を連想させた。
彼はゆっくり話しかけてきた。
「宮沢賢治的な言葉が俺には無いからね。」
なるほど、彼は詩人だと ....
もうすぐ間氷期が終わる
と言ってももうすぐは
宇宙サイズの話だから
明日の事かもしれないし
百年後の事かもしれないし
なかなか終わらないかもしれない
まもなく氷河期がやって来る
....
夕刻の道
ヘッドライトをつけると
うす暗い未来に
灯りが
ともる
おまえのゆくべき道は
目の前にあるではないかと
指をさすように
向こうからも
ふたつの光の輪が
あらわれて ....
ロンリィ ロンリィ
あたしは ロンリー
好んで一人でいるわけじゃなくってよ
ほんとはあなたの胸で泣いて
ちいさな家でかまわないから
ボーダーコリーと猫と暮らしたい
....
泣き虫はきらい、っていったのは君
おしゃべりなのはきらい、っていったのも君
それじゃまるであたしが
泣き虫とおしゃべりだけでデキテル、
みたいな言いぐさね
でもあ ....
木
木は黙っているから好きだ
木は歩いたり走ったりしないから好きだ
木は愛とか正義とかわめかないから好きだ
ほんとうにそうか
ほんとうにそうなのか
見る人が見たら
木は囁いて ....
蛇蝎の唄
鏡にむかって唱える
おのれ 醜(シュウ)
どろあしで ふみにじる
鏡に 流るる どろえきのしたに
ちぬらるる
おのれ 蛇蝎の族(ウカラ)
韜晦を重ね
はや と ....
寒いほどに
清々しい
凍える冷気
眩しい朝日
目を見開く
静謐の中
生命が凛とする
こんな朝もあるのなら
生きていける気がする
「さまざまな世界を」
木の若芽
時がたつにつれて
どんどん雨は去り雲は消え風はゆるみ
るんるん光がさし空は青くなり空気はぬくもる
それがようくわかる ....
夜ふけの町を
自転車で走っていると
住宅の庭から
金木犀がほんのりと漂ってくる
ああ 甘くてよい香り
若い頃 東京に住んでいた
渋谷 荻窪 吉祥寺が大好きだった
私は男と漫画を描い ....
黒い服についた 絵の具の白色
それは汚れでしょ
心を真っ白にして 無になって……
ムラサキ色の心が 決して
虫に食われた イチョウの葉であっては
ならないなんてね
....
「お母さん、コンデンスト・ミルクっておいしいね!
明日もまたこれ作ってね!」
娘達が練乳をお湯で溶いた飲み物を啜りながら言う
「いいよ。
お母さんも子供の頃 これが大好きだったんだ ....
知る訳ないだろう。
君の語る永遠なんてさ。
熱心に説いている愛なんてさ。
知る訳ないだろう。
君の心をすべて理解しろだなんて。
君の全てを見てくれだなんて。
知る訳ないだろうな。
....
眠れない夜が
あるよね
あなたを
もとめている
ふざけていないの
眠れない夜がある
明日に
疲れたよ
って
ソファーに
ストンと座る
ぐてーっと
もたれかかって
90度回転
コロンとすると
美味しいご飯を
作っ ....
海に似せた塩水の中で
アサリが生きている
暗い冷蔵庫の中で
触手を伸ばし
冬の海だと勘違いする
時々さみしくなって
ステンレスボウルの海底で
誰かを探してキュウと鳴く
わた ....
家の中の草原です
それは
冬の朝であっても
凍らない草の原
人に踏まれて
煙草の焼け焦げをつけられ
とうに瑞々しい緑は失われ
白茶け くすんで 擦り切れている
それでも私は草な ....
雨の日は床の油と土とが湿気に混ざって独特の匂いがする
信号待ちの小学校の前でそんな事を思い出し
雨だ
僕は歩くのが下手で
いつも靴がずくずくで
傘はその意味を放棄している
風が
....
僕のこころは
いっぱいいっぱい
君のこころは
いっぱいいっぱい
世界のこころは
いっぱいいっぱい
また一粒
零れ落ちてゆくよ ....
恋に恋してた、あの頃の僕
今思えば、少し尖っていたのかもしれない
僕が好きだから君も好き。だなんて勝手過ぎる思いに酔いしれ、
形ない日々を、ただひたすらに生きて ....
重たい鉄兜を被せられた人がいる
気がついた時にはすでにそうだったから
それが自分だと思い込んでいる
ゆらゆら不安定に生きていて
ある日たまたまどちらかに傾くと
それっきり右なら右
左なら左 ....
蓮華の花畑
見渡す限りの はすのはな
天国や妖精の国に
来たみたい
コロポックルも
出てくるかな
この世じゃないみたい
....
君の心の暗がりにいる天使
白い羽根は埃でいっぱい
眠っているみたいに
じっとしてる
かくれんぼしてるのかい?
幸せが鬼かな
....
とししたのメンズは
いどんでくるから
つかれちゃうのよ
かちたくもないけど
かつし
かてばかったで
つぎから
てきよばわりされるし
そう ....
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