お月さんが真上にいたら
あたしはもう逃げらんない
持ってる紙コーヒーの中にだって
はいってくるんだもの
白状するとしんどいわ
だけどまいったな
欠けながらだって
びかびかしてる
....
ギュッと閉じた
眼の奥の熱
ジワジワと
脳裡に浸みゆく
からだの寒さを
毛布でくるみ
落ちてきそうな
天井を見つめる
六十兆個の細胞を
生かすも
殺すも
....
(以下英語で)
「カスタマー・サービスです」
「あの、レ・ミゼラブルの上映スケジュールを知りたいのですけど…」
「それでしたらウェブサイトで調べて下さい」
「さっき調べたのですが、 ....
大根は嫌いだと言う言葉が冬休みの合言葉だった
小高い丘が連なる様な古墳群の一角に施設はある
お世辞にも広いとは言えない畑の早朝は
しもやけやあかぎれの手指足指をからかって
まる ....
今 この時に
私はあなたと同じ日暮れを
病んでいる
今 この時に
私はあなたと同じ孤独を
呼吸している
そしてもう二度と会うことはないあなたと
今まででいちばん
近いと感じてい ....
冬の薄暗い回廊を
渡ったところに教室があって
頭痛を抱えたままの君は
そこをめざして歩いていく
壁にはたくさんのテレビがついていて
音もなく瞬きながら
世界中のつらいニュースを
さか ....
からからと 庭の枯れ葉は 風に舞い 集まってゆく 雪のように
チチチチと 小鳥は木の実 ついばんで 眺めるわたし 息をひそめて
ベランダに 小さな服が 並んでいる 冬の陽射 ....
休みの日だからって
何かすることはない
ヒマだから仕事してたほうがいいかも知れない
生きることは
絶望と希望の
バランスかも知れない
こうやって詩が書けるのも
一応めしが食えて
一応住 ....
赤いウミウシの模様であった
デパートの包装紙
それで母はちゃっちゃかと洋服の型紙を作る
かつて何かを包んだものの匂いがしていた
ヒトガタに切った人形が
夢のなかでトモダチになるように
....
プラスチックのじょうぎをカタカタいわせながら
後ろから走ってきたから
こうちゃんだとすぐにわかったけど
ふりむかないでそのまま歩いた
そしたらドーンと背中に勢いよくぶつかってきた
「どーん」 ....
君からもらった
クッション
誕生日だったか
クリスマスだったか
君が僕にくれた
唯一のもの
くっついて
はなれて
またくっついた
またはなれた
それから僕は
....
北海道にいったら鈴蘭に会っておいでなさい
寒い寒い大地から葉をのばして
日なたにも日陰にも茎をのばし
鈴のように5、6こ
並んで総状の花をつけた
それは、風車のような晩春の香よ
北海道 ....
そうよ歩いて行って
分かれ道は両手を広げて ますっぐ渡ればいい
イメージの運命を耕しながら 開拓を営め
そうよ歩いて行くの
重力は あと100億年は繋いでくれるイメージだから
そうよ歩い ....
代価は支払われねばならない
あれから13年
あるいは9年経ったけど
何も腑に落ちることはない
時間が経つのが救いなのか
記憶がうすれるのが救いなのか
わからなくなるよ
いつも私を救うのは ....
唐突に酒場に足が向くような日は
大抵明日が来るのを面倒に思っていたりするんだ
舐めるようにして含んだマイヤーズが
そっと舌を焼く
鼻腔に抜ける南国の風
エチル・アルコールによるゆるやかな ....
だれの《Summertime》が好きだと
もし問われたらぼくは間髪いれずに
パールの《Summertime》だと答える
ビリーもサラもフィッツジェラルドも
確かに名唱は否定しないけれど
....
大教会の
ステンドグラスが
粉々に割れて
天使が落下してきた
大理石に叩きつけられ
散らばる宝石の上で
息絶える
幼い君はそ ....
寒さは形なく人に触れ、
冷気を感じ身体は縮こまる。
木々は緑を取り外している。
唇から漏れるふんわりとした白は吐息。
生きにくい季節なのに、
たくさんの命が眠る季節だというのに。
....
は罪
は泥棒のはじまり
が重なり身動きがとれない
三昧の・・・
も方便
でもイイから
は嫌い
嘘だとおもったら、人間でした。
ほんの小さな子どもだった
たぶん五歳くらいだと思う
私は明確な意思を持って
嘘をついたことがある
――お母さんの背中だった
月が出ていた
星も見える
風はとても冷たい
凍てつ ....
いつだってたのしかった
かなしかった
ないてばかりだった
いつからだろう
できないことをそのままに
何時だって笑ってる
気付いている
誤魔化してばかり
いつからだろう
生きること ....
余りにも迷宮に似ている
さびしくていらいらしていた
失うことから逃げ出したくなっていた
そしてあなたの寝息を思い出していた
ギュッと別れよう
さいごの昼にふさわしいこの星で
乾杯をしながらさよな ....
製造コストを抑えるためには部材や製造方法が標準化されていることが大切だ
そのときその製品が類似品と比べて群を抜くにはいかに市場に適合しているかが重要だ
そう言っていたのは大会社の社長だがこ ....
歩いても
歩いても
前へ進んでいる気がしない
そんなあたしは
焦っている
焦っているから
後ろ向き
たぶん守りに入っている
なぜ
いつから
見失ったのか
今日 新しい ....
裏切りには理由がある
理由のない裏切りには寄り添うが
理由のある裏切りには訣別する
それが自然なことなのだ
すべての裏切りのうえに雪が降る
雪はすぐ汚れてそのまま凍りつく
さあ、滑らぬよう ....
坂の上から街を見ました
街の向こうに 海を見ました。
海は細長く、曇り空の下に無言で横たわる
私が見ても
見なくても
風が吹いても
吹かなくても
....
1月の夜が遅くはじまる
寄り添うように押し潰してくる
絶望と希望のように
まやかしのように
首をあげてあなたに付いてゆく
雪にすべって照れながら立ち上がる
好きこそ ....
雪が朝から降っている
景色の輪郭を消しながら
道路の染みを消しながら
隣の境を消しながら
雪が一日降っている
人の予定を消しながら
人の日常を消しながら
人の時間を消しながら
....
僕は水色のグライダーではなく
鳥の中でも一番ありふれた
雀やカラスでもなくて
ひばりのように高く
カモメのように鮮やかに
はばたきたいと
願う
風に乗り
....
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