「北極星のあたりを中心に飛んでいるのは
アルビノの不死鳥だよ
青白く燃えながら飛んでいるね」
もし 隣の人が突然白昼堂々北の空を指差し
そう言ったら すこし驚くかもしれない
けれど ....
【債】
抱えてる負債のことは気にならぬ彼を抱いてる夜君思う
【念】
奥さまは記念切手コレクター生きる喜び23日
【迫】
迫り来る得体のしれない暗闇に飲み込まれそう誰か助けて
【 ....
経験という鍋の中で茹で上がった
卵の殻を剥くように
お前の理性や
潜在意識を
一枚 一枚
ひとかけらずつ
はぎ取っていって
その むき出しの魂を
この手の中に 見つめてみたい
白く ....
あなたという詩集を読む
ページをめくるごとに
あなたは姿を変える
それは紛れもなくあなただ
湖面に張った氷の下で
微かにあなたの体温を感じている
あなたはぼくをぎりぎりまで追い詰める
....
さびしいのに
さびしいふりすんな
さびしいのに
さびしいとか言うな
思い出
メルヘン
傷つき
通りすぎ
さびしいのに
さびしいふりすんな
....
倦怠は ぬるい酸のように
この肌を 柔らかく溶かしていく
このバスタブから 立ち上がれば
街の風が 洗うだろう
むき出しにされた 俺の白いあばら骨を
カルシウムで出来た 籠の網目の隙間か ....
無農薬だからと皮まで食べれるよと
レモンをひと齧り
皮は甘く果肉は突き抜けるような酸っぱさだ
こめかみの奥に木漏れ日がちらつく
でもやめられず懲りずに齧り続けていくと
急 ....
朝早く
透明な夜
眠りからさめたひと
青暗い街道
まだ誰のものでもない空気
でもたしかに
誰かと繋がっているテレパシィ
旅の朝のようだ
ひとも木々も ....
うすっぺらな
アスファルトを剥したら
今も蘇る
ブリキの街
白く錆びた娼婦の肌が
うすい庇の影に
やさしく溶けて
ぼくを呼ぶ
はだか電球ひとつ
布巻き電線が這う天井
タイル ....
心を探しにやってきました
吹き叫ぶ雪の心はどこにありますか
愛なんか信じた
己のしくじりを
怒っているのかもしれません
うつむいた水仙の心はどこにありますか
抑えても抑えても匂って ....
生真面目な絆の国の小市民の仮面
の下には
逃げ足だけが速いご立派な大人の仮面
の下には
空気より希薄な辛うじて世帯主の仮面
の下には
コップ1杯でクダを巻ける安 ....
かがり火が灯る冬の夜
どこかで
誰かが泣いています
寒々とした出窓に置かれた
ピエロのオルゲエル人形
1ミリたりとも動くことはありません
ネジを巻かれたのは
いつだったか
もう思い ....
ふと気づく
同じ人に同じ話題を話している自分にぞっとする
それも初めての如く話しているそぶり
相手はなんだか苦笑い
空転のソラがコロガル
カラコロコロカラ
カラコロ ....
人の抜け殻を集める男は
人が集まる観光地や駅の周辺をうろうろして
うっかり落としてしまった抜け殻や
ふと自分の人生に疑問を感じ脱いで畳んで置いてある抜け殻や
もうこのままでは生 ....
帰宅して
いのちを祈る
心に座る
道のうえ
月がまんまる
夜に座る
砂漠いろの黄色い天体
幸福が明るく焦げている
ああ孤独って可笑しい
帰 ....
古い映画館にひとりいる
流れている映画は古いモノクロ映画
なんて光と影が鮮やかな映画なんだろうか
生き生きとした豊かな情景
肉厚な人物たち
遠い国の心の{ルビ襞=ひだ}が ....
突然現れた希望が
暗闇の中ですさんだお前の身体を
光の元に暴き出した
お前は頭を抱えてうずくまる
ふしくれた指の間から
針金のような髪が四方八方に飛び出している
かびたパンのような身体には ....
{ルビ宙=そら}に向かって 翳した{ルビ掌=て}
ちっちゃな指の隙間から
見える夜空
月と星 天上を照らす
蒼白く磨ぎ澄まされた星々は
夜の静間に息づいて
光年の{ルビ刻=とき}を数え ....
テーブルにのっていた
紙きれを払いのけ
かわりに君は小石をのせた
それから僕たちは
慎重に言葉をえらび
他愛ない話をし
ベッドのうえで抱きあ ....
トンビが輪を描いた
僕はそこに
メッセージを探す
空っぽの空に残された 足跡に
寂しいけど 寂しくない
不思議な気分だ
君の温もりを求めなくても
すでに世界の腕が
僕を抱きかかえて ....
今でも あの場所を流れています
高速道路の車列が整然と
途切れない 地平線のように続いて
形にならない声を
無差別に浴びて打たれ
そして 流れ 流れていく河
大きな河の膝の青タンを ....
赤の他人が
赤の他人を
殺したとて
私に何の関わりがあろう
真っ赤な他人が
真っ赤な他人を
惨殺したとて
なにを非難するいわれがあろう
戦争のなかにも慰安があり
平和のなかに ....
深呼吸したら
小さな虫まで
吸い込んで思わずむせた
むせて吐いた
吐いて笑った
笑い続けたら
可笑しくて
ついに涙が出てきた
ついさっきまで
悲しかったはずなのに
ほんとに ....
小鳥が啼いて朝を告げた
巣からとびだしたのは6羽だ
あのちいさな翼で大空を飛び
....
{画像=120107114152.jpg}
春になっても
その球根は芽が出なかった
「おばあちゃん、これ、フリョーヒンだね」
知ってるよ
フリョーヒンは時々現れるんだ
僕が働い ....
祖国のいろには水色が入っていた
流れる血にも
身につけるものにも
プレゼントするものにも
愛のことばにも
愛の行為にも
生きてゆくエネルギーには
それはマイナスだったかも知れない
方法 ....
愛不足 爪を噛んでるクリスマス
娑婆に出て10年ぶりの冬景色
かあさんを庇い刺されたサンタさん
落とし穴落ちて出られぬ冬の浜
凍空に生きる方向見失う
鴛鴦が互い ....
海豚の背に乗つてゐるのはありやなんだ
海豚を視姦せよと神の啓示
冬の虹途切れ途切れの殺意かな
理知的なナマコの眼が選り好みしてゐる
象牙欲しいなと子どもがねだり ....
彼は誰時の薄明かり
隣のプレデターが覚醒しないよう
そっとエイリアンは飼い猫に朝の挨拶を済ます
飼い猫は小さな赤い口を開け
小声でキュアと鳴く
彼女もプレデターは怖いのだ
食い扶持目当 ....
空から垂れるものは
何本の線ですか
すがるも はなすも
自分次第でしょうか
君はゆるやかな
さかをのぼっている
私はその背中を押したいけれど
おまえはおまえの…
そうきこえるき ....
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