すべてのおすすめ
つぎの約束をしよう
どんなに小さなことでもいい
それで明日が約束されるわけでも
約束が約束されるわけでもないけれど
つぎの約束をしよう
約束は絶対ではなくて
約束を ....
道路の真ん中に
枕が落ちていた
枕が変わると眠れない、
という性質でもないので
すっかり寝てしまった
車に轢かれる夢を見て
目が覚めると
胸の上あたりに
ミニカーが置い ....
商人だった父が
売り場に行くたびに
まだ高い
勉強が足りないねと
売り場の人を困らせていた
その日から
足りなかった
売り場の人の勉強は
進化していった
その進化 ....
子供が眠りたがらないのは
今日という日の人生を
終わらせたくないからだ
今日は放課後
お友だちと遊んだけれど
お父さんとまだ遊んでいない
お母さんとまだお話をしていない
....
しぬなんておもいもしなかった
ひとが
海をみていた
くっきりカゲを増した
夕映えの
不知火干潟で
たぶん夢中で
ファインダーをのぞいていたにちがいない
もえのこる ....
バトンタッチを繰り返すはんぺんの群れ
満月に向かって吠えるバラバラになったはんぺん
所狭しと並べられたうだつの上がらないはんぺんドミノの渋滞
渋滞は「解消」という行為を知る前にド ....
スムーズに話そう、あいにくと私の前にいる逃げ出した夜は詩人で難聴気味だった
たとえば、私の友人であるアナトール・フランスの書いたやつを読んで
【隠された表】と【真実である裏】を交互に推測し、幾度で ....
金属の筒が
激しく回転している
曇の下に震えはひろがり
鳥は去り 雨が来る
一枚の羽 一枚の影
止まった時の重なりのなか
ひとつの声だけが声に到き
ひとつの滴の姿 ....
名前のない草むらで腐肉をわずかに残した崩れた骨格になった
もとは誰かの所有物だったシェットランドシープドッグの
土塊に染み込んでいったバクテリヤと同数の言葉たち
一二月に梅雨 ....
私たちは踊る
円の軌跡を描いている
踊り疲れた貴方
今日の最後の時間
ウィスキーを飲んでお別れ
最後の青春
たしかに生えそろった、指
蟻は、盲目だから
横断する、じぶんの影を知らない
青い電球、とかげ、数字の9
コップの底に、沈んだトランプ
薔薇が、刺さる
円卓に、砂
図鑑から切り抜か ....
{引用=
洗濯を終えたあとの洗濯槽に、頭をつっこんで
耳をすます
見えなくなったものを見に行くために
目を閉じる
という所作を、毎朝の日課にしている
庭で、貝殻が咲いている
耳に ....
火のない部屋のなかに
あなたをさがしている
茶色く終わった時間がころがっている
あの日
海には
六羽の白いからすが
まるく座っていたそうだ
傷口は凍るので
わたしたちはまだ ....
めざまし時計の音がいつもより二分ずれ
階段をころげ落ちる木の葉が回る
床に面した開き扉と
射しこんだ光線のかもしだす朝
洗濯したてのシャツをさっさと着替え
喉に通らぬパンを無理に押し込んでか ....
・23:18
入れましたか、と聞こうとして
いつも手を伸ばしてしまう
爪の先から痛くなる
ひとから施された病だ
留められている
でかけたままの姿かたちで
感受性を ....
前田ふむふむ
鳥が飛んでいる
ひとつの銃弾から
ひとが生まれる
羽が砕かれ
動かない鳥のなかから
声が生まれる
声は
夜の輝きである
ひとりが声をあげれば
....
むらさきの家具
光の終わりの
粉と冬
星や海や
息の位置
誰が花でも
花を咲かせゆく
どれほど苦しい
苦しさの夜にも
光の角が
片目からだけ伸びてゆ ....
会いにいけば会える人に
会わないまま人生は終わる
会いたいのに
どうしてそんなことに
なるんだろう
家に帰ると
種をとる用に買っておいた
300円のトマトを
流しの前で ....
そこに
握り締めていたものが
怒りだったのか
憎しみだったのか
恐れだったのか
あるいは優しさだったのか
まるで思い出せない
たとえ
プライドの端を踏んづけられても
握らない ....
椅子に座ると
海が見える
水平線の向こうでは
犬が笑っている
知らない異国の言葉で
信号が変わり
スクランブル交差点が
背丈の違う人々で
溢れかえる
皆、舗装を痛めな ....
石を高温で焼き
それを鍋に放り込み
作る料理があると聞いて
心が痛む
そんなに
熱したら
石に住む
この子たちは
どうなるのだろう
かあさん、熱いよう、と
泣くんじゃないか
....
鞄から引っ張り出したノートの角が
勢いあまって目に入り
白目に赤い線がひとすじ入った
思わず両手で片目を抑え
あいたたたたた・・・とうずくまり
まったくついてねぇや、と目医者に ....
「浮遊感をどーぞ。」
少年
少年
過ぎた期間の
少年、
日常生活
ニチジョウセイカツ
過ぎた期間の、
少年の、
完璧主義者に成り損ねて
十八になってしまった少年像、
過ぎた期 ....
わたしの 目が
みたいもの
しんじて あげられなかった
ここには 春ばかり
うつりこんで
いつも そう
青くこわばって
折れそうなまま
目覚めて しまう
入 ....
深海のように
ふかまるおもいが
しろい糸のように
風にとけあっていく
ゆるせなかった過去や苦しみも
今はただ、 ....
今日も薄い空だねぇ
胡坐をかいて
完熟トマトと解禁発泡酒
流行の塩麹よりやっぱりウェスティンホテルの
オニオンドレッシング
目を閉じる
遠くで聞こえる
ボールがバ ....
うららかな日でございました
春まだ浅い
やわらかな陽光が
鏡のような海の面を
無数にきらめいていく
穏やかな日和に
お嬢様は嫁がれていかれました
でも
その胸中はいかばかりか
真 ....
よぞらのなかに
じぶんをさがした
みつけたのは
ひとりたくましくひかる
いっとうせいばかり
まるでわたしみたいに
つよがっている
このよぞらのなかに
すばるとい ....
ある日わたしの脳の真横にロボットの大群が押し寄せて、
今よりずっと透明に考えられるようになる。
脳の真横に訪れた、ロボットの大群はいつのまにか、
脳の内側に入って、はげしく金属音を鳴らすけれ ....
誰かの影を追い求めて
それはいつしか自分であったりする
ことばの端数を持て余して
拙い告白を露呈する
わたしなど
と吐いてしまえば楽になる
(それは逃げることに等価して
涙を引いて生 ....
1 2 3