すべてのおすすめ
木漏れ日の熱源には
黒ずんだ記憶をひとつ落としていく
君のなまえも季節に置き忘れていくから
自転車を漕いで走り続ける
子どものように生きたかったから
立ち止まることは
あたらしい夏の眩しさ ....
ほんとうは、たたかうほうが好きです
若いことを踏み潰した、地続きの傷
なぞると忘れた横顔に似たきり、
痛みにしがみつくことなく
目を閉じます
白い配りもの、光って、子に散る声 ....
1)癌と診断された彼女の
ふわふわと帰路に着く足取り
おかあさんにあるがまま言ったらと
想像して
抱えることを選ぶ
2)
親の下の世話をし、食事を食べさせ
洗濯機をまわし
エアコン ....
剥き出されている
神経は逆立ち
風雨に鳥肌立つ
紅の樹木は激しく波打ち
瞳をくりくりと輝かせた
木登り少女は姿を消した
何にもない、何もない
意味は全て剥奪され
記号だけがひょ ....
たそがれて
いちにちが終わる
いつかは
このくるしみも終わる
すくなくも
わたしが終われば終わるだろう
その時は
世界が終わる のではなく
世界のなかで
わたしが終わる
わ ....
水たまりだらけのいちにちを
病院のベッドから眺めている
何冊めかの本をてにとり
2日めも暮れなずんでゆく
痙攣していたてあしが痛みから解放され
滞っていたからだの中の運河がなが ....
バスの座席に身を沈めると
自分の居場所を見つけた気がした
乗客は疎ら
誰もが無言で
窓の外を見つめている
赤いテールランプの川
灰色のまま濃くなる空に
星のように瞬いてとび去る
....
どのみち世界は
俺を受けいれることはないだろうと思っていた
二十歳のころ
俺は生まれてきたことを呪った
憎しみは
親に向けられた
憎しみは
世間へと向けられた
憎しみとは殺 ....
長い雨でたわんだ箱に注がれ
わたしたちの影は混合される
飛沫は獰猛なひかりを二割ほどふくみ
素っ気ない白衣などに 付着する 未練がましく
そして だれもが わたした ....
真夜中の0時に
セルフのガソリンスタンドで
車の給油口に
ホースを突っ込んでいる人を見ていた
斜め向かいのローソンで
金髪に髪を染めた少年たちがたむろする
真夜中の307号線
....
1.
流星群のニュースを眺めながら、キッチンテーブルにほおづえをついている人。
窓の外は曇り空。明日は雪の予報。その涙がはやく乾きますように。
映画館のロビーで、美しい少女が
父親といっし ....
今年は喪中の葉書が多いねと
年賀状を印刷しながら姉が言う
時々色を滲ませながら
古いプリンターがウィーンと動いてる
すこし早めのクリスマスケーキを切り分けて
マシュー・マコノヒーの映 ....
昇進の日に丸いものを食べてはいけない。あるいは、昇進の日には誰にも挨拶してはいけない。私が通勤していると、電車の中で誰かが「昇進」と呟いた。するとその呟きはたちまちに感染していき、通勤電車 ....
幹はとても太くて濃い
樹齢とか想像もつかない
違う。
黄色い花の名前はわからない
元々つけられていないのかも知れない
違う。
昨日の雨を吸い込んだ土
かさかさに乾くのもじ ....
薄紫いろの軽自動車
後部席のドアに開いているような影
だれか乗っている人影
それをぼくは
喫茶店で
珈琲を呑みながら
見ていた立ち上がったそれきりだった
....
きれいなことばの、
尖った先で
日常にいくつもの
穴をあける
風船のようにふくらんだ毎日から
すこしずつ
空気のようなものを抜くために
あらそいなんて
したくないから
....
食べ物買うのに言葉はいらない
ましてや売る人の心など
風邪薬は効き目を買う
心配そうな言葉など鬱陶しい
陳列棚から取り出した飲み物
黙って値段を示せばいい
すぐに飲もうと だれと飲 ....
湖面の霧が
家を描いては壊している
幾度描いても
家のなかに人は居ない
鉄の羽と雪の羽
ついてくる影
角を曲がる影
曇を持ち上げるひとつの腕
光に消えては現 ....
静けさに目ざめた朝
千本格子に寄って眺める
まろくぼやけた夕べの足跡
やはらかに雪肌が吸ひ込む
とほい魚売りの声
せめておぼろな冬の陽が
見まがふばかりに華やぐやう
乾ひたくちび ....
磨りガラスの向こうの公園で
外国人に話しかけられた
どうやら、フランス語らしいが
何を言っているのか分からない
家に帰ると母親が叫んでいた
ひとつひとつは意味のある言葉
けれど、つなげ ....
種は零れる
つゆの光る朝に
手紙を黙読する
ゆき場のない言葉を
ほほに風そう庭のお墓に埋めた
涙に黙礼をする
血筋を経た
自分が今ここにいることを
みつめれば
温 ....
水星
{引用=みんなより泣き虫な私ですが
もしものときは貴方の熱い涙も、全部
私のそれに溶かして差し上げます。
その代わりといっては何ですが
私からいつもより
少しばかり濃い塩の匂いがして ....
頭の上に散らされる雪は
雑にかけられた塩のようで腹が立つ
それはまるでクリスマスの朝に
食卓に並ぶ食材たちの気持ち
街の食材たちはにぎやかだ
そしてしずかに調理されてゆく
クリス ....
歴史上の人物の名前は
タンスにしまった反物に似ている
たまにタンスを開けてみて
その知識がねむっていることに
自分が満足するだけだ
本に書かれた花の名前は
空っぽの宝箱に似てい ....
まゆ毛を微調節すればするほどズレてゆく
9月の夕方にある方からメールを頂きまし
た。(あなたの詩は結構好きだがかっこつけ
すぎではないか)というような内容でした。
10月は攻撃して11月は防御 ....
知ってるよ分かっていたんだよ
澱んだ水溜りを眺め暮す日々に
虚ろう僕に刺激がチクリと刺す
刺激は香り高い真紅のバラの棘
灰色の低い雲が空を覆う日々に
虚ろう僕に刺激がチクリと射す
....
そらがきちんと黒くなるのを待ち
肌をみがいて 髪をととのえ
それからすかすかの入れものを二十一個ならべる
そしていつもの手順できれいに切り分けた黒を
(それは上等の羊羹みたいにしっかりと重 ....
蝶を呑んだものの肌に
蝶が現われ
真昼の終わりまで
話しつづけている
小さな音の
まわりだけの冬
鳥は追う
羽を忘れる
石の径の影
曇のなかの声
....
▽
につめられてたのがさっきまで
ちゃんとパックされておいてたのに
チューブの構造とりきんだこぶしの関係性で
もうどうにもとまらないみたい
泣くのはからだにいいんだよってちょっとなげやりな医 ....
小さな砂漠で少女Bはドメガザウルスに噛
まれ目の前が灰になりました。痛みより暗
くなるのがこわかった。近くの川で魚たち
は少女Bの心をチラチラ見ている。今日は
どこへも帰らない。背骨よりまっす ....
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