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湖面の霧が
家を描いては壊している
幾度描いても
家のなかに人は居ない
鉄の羽と雪の羽
ついてくる影
角を曲がる影
曇を持ち上げるひとつの腕
光に消えては現 ....
蝶を呑んだものの肌に
蝶が現われ
真昼の終わりまで
話しつづけている
小さな音の
まわりだけの冬
鳥は追う
羽を忘れる
石の径の影
曇のなかの声
....
金属の筒が
激しく回転している
曇の下に震えはひろがり
鳥は去り 雨が来る
一枚の羽 一枚の影
止まった時の重なりのなか
ひとつの声だけが声に到き
ひとつの滴の姿 ....
むらさきの家具
光の終わりの
粉と冬
星や海や
息の位置
誰が花でも
花を咲かせゆく
どれほど苦しい
苦しさの夜にも
光の角が
片目からだけ伸びてゆ ....
鏡の裏に灯る鏡の
違わずに違うゆらめきたち
午後を夜にわたす道
満ちた花を踏みしめる道
窓のむこう
緑の雨
誰のためでもない
三重の檻
冬につらなり
....
あきらかなひとりを
あきらかなひとりにひもといて
明るすぎる街
誰もいない街
雨の爪
左目から背
骨から骨
痛みの無い痛みの外の
奮え 奮え
脊髄の海 ....
街より低く
花はこぼれ
音になり
蛇になる
ひとつの手首
四つの手
ひとつの花を
廻している
火をくすぐると
飛ぶ子たち
どこで誰に
会いにい ....