すべてのおすすめ
朝時雨海を見下ろす展望台
雨祈祷くびれた腰のラインかな
小春日や昼間から呑む京美人
白黒の少女の写真ナボコフ忌
青バナナ火星木星大接近
青梅雨やサーチライトが雲を突く
花びらに頭入れてく揚羽蝶
毎朝の「いってらっしゃい」も最後の日
ひと休み 蜜柑畑にお茶の声
皺も増え顔も似てくる五十年
三回忌 手酌で交わす水の月
寝苦しい夜に絡まる指の紐
冷や麦茶 汗も滴るいい温度
輪唱で徐々に深まる両寝息
網戸風が鳴らすカーテンの風鈴
苔清水丸い氷にウイスキー
さみだるる音楽堂に悲愴かな
彼女さえ太ってなけりゃ夏の海
梅雨冷えの深紫の注射あと
やっと紫の紫陽花を見つけた
雨の音聞いているのか夏至の犬
蛇の衣時間ばかりが過ぎていく
浮気した女の鼻へ集汁
赤以外の色を吸収して緋鯉
小蟷螂名前の知らぬ花ばかり
テロメアの短い羊夾竹桃
遠雷や移転進みたる水没地
偏差値の低き俳句や若葉雨
ラムネ瓶祭りのあとに横たわる
パンケーキに溶くるバターや南風
赤蜻蛉大人になんかならないで
迎火を囲む明るき家族かな
イヤイヤと横に首振る扇風機
新涼やコンビニ前に猫二匹
人間の未来のために死ぬパセリ
麦の秋元宝塚歌劇団
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10