砂漠がたったひとつの井戸を隠していたころから
私の瞳は たったひとりの姫を隠していた
床は真四角の部屋 天井が一点で結ばれている部屋で
彼女は いつも たったひとりで 永遠を歌った
....
足のみじかいテーブル
一家団らん
先生、団欒の欒の字くらい漢字で書こうぜ
自由主義思想
ナショナリズム
それ以前は?
食にまつわる
先生、おれだけにむかって話すのやめてください
....
あなたがもってくるそのにおいは
あたたかすぎてこころがいたい
もしできるのならばぼくのそばで
ゆるすとひとこといってください
そしたらぼくはありがとうといって
....
ひとはみな
さみしいひと、なのです
おんなのひとは
心の慰みに 明るい色と楽しい柄で爪を華やがせ
さみしい心が賑やかになった気に なりたいのです
埋まらない心の物悲しさを知って ....
ポエム岬
千葉県房総半島は長い
犬吠埼から九十九里の有料道路を使って南下すること一時間
そこに小さな岬がある
ポエム岬
誰がはじめたかしらないが
そこはいつからかそう呼ばれるようになっ ....
バレンタインなんて関係ないねと
モテない奴らがひがんでる
そして俺もその一人で
この時期だけチョコなんか嫌いだと
デパートの前で心の中で叫ぶ
今は仕事もないので義理チョコももらえません
義 ....
すくえるものの おちていくすがたは
ただ だまって ながめるばかり
かたちなきものの ながれゆくようすは
ただ あふれて すきとおるばかり
おもいは灰に、
火にちりりと焦 ....
冬になると寒い寒いといつも言っていた
君の最後の言葉は
寒い
だった
雨が降っていた
君は雨が大好きだった
どんなにたくさんの雨粒達がアスファルトに打ち付けられても
”雨”の一言で終 ....
少しだけ、冷たい風が吹いてきたのは
とても遠い場所からだった
人はいなくなる、ということが出来るらしい
世界はいつも通りに明るくて
僕らは同じように電車に乗り込む
乗り継ぎ駅で世界が追い ....
【花時計】
ある一時
植物のように生きることを夢想する。宮沢賢治は雨ニモ負ケズといったけれど、植物は雨に負け夏の暑さにも負け
害虫にやられて レタスは高騰するのを見ながら。
....
NIRVANAは
それほどニルヴァーナでもなく
仮想現実は
それほど現実でもない
ぼくが抱いてあげたいのは
もしくはあなたの曲線
アフリカとユーラシア大陸をつなぐ
もしくは
北アメリカ ....
人と違ったことを見つけ出すことが、新しいとは限らない。
異色になることが、新色になることとは限らないと思う。
たとえば、ファッションで‘パリコレクション’というショーがある。
新しい服ばか ....
いまのは世界中の石像が
月のちからにひかれ
変身しようとして
均衡をうしない
たおれて砕けた音だ
「かえして、ねえかえしてよ、あたしの世界。」
ばらばらになったのは、
あの日、
窓から自分の身体を放り投げたのは、
わたしたちという、世界そのものである。
あなたは、
蓬髪をさかだてて ....
手のひらの中に
そっと星を隠していたら
夜になって光りだし
銀河系宇宙であることが
ばれてしまった
それは蝶のように
よぞらをかざって ....
揺れている――
火が、無人の家に続く砂利道のそこここで、
揺れている、原野の風の行き来にあわせて
揺れている、枯れかけた草の群れが、
火が跳びはねて渦巻く、
日没前の世界に
揺れて ....
中学生の頃、僕は「不良グループ」と呼ばれる集団の中にいた。
でも学校ではまったく逆で、成績もまぁまぁ良かったし、友達や先生から「何であんなやつらと一緒にいるんだ?」って、「抜け出せないなら助けるよ」 ....
?.
{引用=
「俺は白だ!」空が泣いていた。空は自分のことを白色だと信じて疑
わなかったのだ。「違うよ、君は青色なんだ」「嘘ばっかり!」どう
しても聞いてくれない空に、僕は鏡を持ち出した ....
春のある日
緑の窓に
映るように出会う
ふたつの音楽
応え以上の応えを浴びて
昨日は突然消え去って
今日と明日は行き来する
花の手をとり まわる声
声の手を ....
並木道に
誰かの日傘が忘れられているのを見つけ
持ち主の名前がなかったので
失敬することにした
けれど自転車のかごに引っ掛けて
ペダルをこぎだしたそばから
日傘は陽を浴びて匂いたち
....
感じない掌の上に
鳴かない鳥が
人のように瞼を閉じる
冷たい雨の降る
コンクリートの上で
静かに眠りにつく
戯れるように
温度を残して ....
赤い辞書
に
君の持っている赤い辞書に
夕焼けは
挟まれている
もう長いこと挟まれていたので
辞書の文字が夕焼けに溶けて
世界がぼやけて
君の世界がぼやけてゆく
のを見ている ....
昨晩瞬いていた満天の星屑が
ねむってた間に降ってきて
昼の七里ヶ浜の海にきらきら光る
昔々
女がりんごの実をもいで
男に蜜をあげました
人祖の罪で失われし楽園も
秋晴れに江 ....
ハピネス。
幸せについて語ろうとすれば
それは光のように輪郭をなぞって透けていく
影はすべて
光を雄弁に語るハピネス。
流れ、を捉えることが難しいのと同じくらいに
私たちが生き残るのは ....
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