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人に知られぬ山奥の
地下から湧き上がるその泉
やがては一筋の川となり
海へと流れてゆく
人が届かぬ大空の
空から湧き下りるその泉
やがては一筋の風となり
海へと流れてゆく
地下 ....
1
現在から百万年経った後の或る博物館を訪れる。超現実主義者の絵画にも似た未来の展示物に混じって、場違いなほどに色褪せた絶滅動物展示の看板。緑色のリノリウムでできた長い廊下の両端には無数の水槽が並び ....
ひとつの恋の終わりは、
ひとつの音楽とひとつの香りを残す―――
いつだったか
すれ違った文庫本の帯が
そう主張していた
乾かないルーズソックスの ....
読みかけの雑誌を開いたまま あのひとが
透明なルリルになってしまった
笑みもそのまま ときめきもそのままに
ガラスのルリルになってしまった
うす青い 摩天楼の最上階
ここでは 音がこ ....
起きもせず、眠りもせず
顔の前の空気を、音もたてず吸っている。
この悲しい痛みは消えはしない。 ....
うまくいかない毎日に
うんざりしながらも
今日も煙を吐きながら
最前線へ向う
魂は血みどろになりながらも
ただ、この地球に留まることに
希望を探し
自分のちっぽけさを ....
海の音は巻貝の中に閉じ込められた夢の残滓である
それは耳の奥で息を潜める
息を
息を潜める渦巻いた器官のひそやかな記憶である
僕は肺魚の涙
細かな砂粒の上に身を横たえて
黒曜石のつやや ....
ほらこんな風に
指と指で窓をつくる
その空間に映し出されるのは
きっといつか見た事のある
冷たく水を{ルビ湛=たた}えた青い空
耳をそばだてて そして
聞くのはなつかしい声
冬から冬へと ....
正午を過ぎ、 電車に乗った。
静かな その車内で、腰かけていると、
ときに、いろんなものを目にすることがある。
その人は、片足がなかった。
....
白光の
南中から 射し込む
瑠璃の
響きなお 幻惑の色彩 立ち込め
天空に瑠璃の宮
その尖塔に
薄く 雲 懸かり
宮の霊気 冷え
凍れる 光線
七色に 乱反射し
音もなく ....
1.永遠の序章
(総論)
一人の少女が白い股から、鮮血を流してゆく、
夕暮れに、
今日も一つの真珠を、老女は丁寧に外してゆく。
それは来るべき季節への練習として、
周到に用意されて ....
廃校舎に月がさしのべる
光の中野エントランスの階段を
少しずつ確かめるように登っていく
昔のクラスの自分席に座って
月明かりに照らされて
まぶしいので目を細める ....
暗闇のなかを片輪の百足虫が走る。
背中は凍りつくように冷めたい。
十時が一番うつくしい、君、
髪はながいほうがよい、
鏡は嘘しかつきようがない、
だって彼には腹というものがな ....
白い花弁に滲んだ色は、
褪めた肌の哀しみにも似て
わずかな岩の裂け目へと根をつけた
くらしの危うさを今も孕みながら
押殺した声の倹しい日々さえ底なしに
やがて崩れ落ちる恋に焦がれて
夢 ....
桜の木の下に埋められた
古ぼけた笑い声と
黄金色の泥濘に
小さく浮かんだ屍
抜け道と装飾と
美しさのアルルカンが
吐き気のする窓に支配されて
瞼の裏がキラキラしやがる
逆さに吊 ....
1
ビ・バップが
ハード・バップに移行するように
文字は飢えを凌ぐように増殖し続けて
マイルスが観客に背を向けるように
日本語を詭弁でひっくり返してゆくが
そこには表も裏も権力が ....
天蓋に 日 月 輝きあり
静かに 佇む 汀に 潮騒
天空に 漂う 色彩のうず
甘露の 滴り 綺羅に染む
濃い靄 明るい気息の賛美歌が
輝く海から 立ち昇り 漂い広がる
汀のあたり ....
幹に巻きつけられた
青白い麦球は
今年も
明滅を繰り返す
流れる光は
高い空に昇って
どこへ
すれ違う流れに
爪先を探す男は
今年も
うずくまる
染みだらけのジャンバーを
....
あなたに愛される
蝶のようには
なれなかった日
私は一匹の蛾となって
その燐粉は七色に
辺りに飛び散るのです
私の周りには虹ができ
私は私の毒に
やられてしまう
あなたは ....
税込み15750円
が
うたう
おどる
ひらがなのカッターが
柔らかく微笑んでから
指先を丁寧に切り落としてゆく
シワスノゴゴノヒトトキ
∧師走の午後の一時∨
おせち ....
萎えて行く
心力の花か
ことばとことばに
引っ掛かりをつけ
むすび くねり はりめぐらす
透明のナイロン糸で
部屋じゅう
意味の重さ
心力の光輝
たましいの光る
小部屋 ....
ガンジスの巨大な銀河の流れの清めの沐浴
ヨルダン川のせせらぎ清めのバブテスマ
水が洗い流し
古代の美しき伝統 禊 祓い
聖霊が静かに降臨する
風 うねり 波 満ちる
輝ける 鎮 ....
山になった洗濯ものの回りで
君は
春のような
スキップを踏む
{引用=おうちを買わなければ、よかったね
だって、お金持ちだったんでしょ?
たた、たたん}
ちいさな袖をそろえて
重 ....
こころのバランス。
わたしは、月の流れのように、
ときに、その波にのまれてしまう
自分を見失うことにも 慣れているのだけれど ....
暗い夜道を独りきり歩く
ビルディングの四角い隙間から
零れ落ちる白い光の柱
あの中できっと誰かが呼吸をしている
そう思うとなぜか悲しくなって
紺碧の夜空はどこまでも続くのに
どうして僕 ....
はみ出した所から全てが始まった
海に浮かぶごみの中に紛れ込んだ
君宛の手紙を運ぶビンはもう
壊れきったままのものでしかなかった
それくらいいいんじゃないか
突然 ....
雨の糸の隙間に
夜は満ちて
ストーブの熱が
そこだけ幸福とでも言いたげに
ほんのり春を創っている
きみと並んで傘をたためば
二人の水滴は
余分な約束事のように散らばって
冷えた ....
ひかりとひかり
あしおとといき
たどりつく波
ひらく手のひら
水に溶けぬ火
沈みつもり
水面に映る
底に棲む泡
ひとりきりで
かがやきを増し
いつか冷え ....
{引用=あたいはあの人がほしいんだ}
ぼこ ぼこ ぼこっ
ゆらめく光の波動
何千もの泡、泡
誰も訪れる者はない森の湖水
光すら通さない水底には
主が住んでいる
{引用 ....
細い糸のような雨が上がった
日が変ると同時に止んだ
慌しく過ぎて行く日々に
ひび割れていく心
解こうとすればするほど
拗れていく魂
腐るほど希望の詩を書いたけど
....
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