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{引用=僕がチャーくんに出会った頃は
魚が飛んでいました
鳥が泳いでいました
月が溺れていました
太陽は寝ていました
僕の世界は笑うことを知りました
}
初詣に行く前に
チャーくん ....
万華鏡 手にとりて
万華鏡 覗きし{ルビ快楽=けらく}
低き満月 血の香り
赤き万華鏡に 見えしもの
遠雷のくらき咆哮
蒼き万華鏡に 見えしもの
接吻の憂鬱 ....
水の上に凍る陽の音
霧の祭が去ってゆく音
緑の底を流れ来るもの
道にあふれ 道をひたす
いきどまりが双つ 手をつなぎ
傾いだ螺旋にはばたいている
岩の壁 土の壁に触れ
生 ....
一瞬
光った
綺麗な光だ
全てを
終わらしそうな
綺麗な光だ
爆発音が聞こえて
自分は死んだと思った
私の体の奥底から
赤い怒りが
飛び出す
大量の血だ
私 大 ....
眠る前のひと時
部屋灯りを落とし
目を瞑って思う
窓を叩きつける風
少しずつ強く響く
胸に手を当てて
一つ一つ振り返り
犯してきた罪の数と
贖ってきた孤独を
天秤にかけながら ....
揺れるベッドから理性が零れ落ちた
神性を目指した船の軌道が僅かに逸れたが
荒れたシーツの波は誠実な舵を狂わせる
足早に落ちてくる星 激しく吹く風
互いの舌の先から 獰猛な動物が飛び出して
互 ....
ころころと手の中転がる丸い玉
紫 群青 紅 桃色
光輝きころりんこ
瞳の輝き映し出し
きらりららるらりらら
想い 思い出 淡い恋
紡ぎだしてくゆらるるり
子供達は玉創り
心のどこかに ....
あたしはただの女だけど
二つの腕があるので
あの人を守ろう思う
あたしはただの女だけど
撃ち込める弾丸はないので
あの人に言葉を込めようと思う
あたしはただの女だけ ....
投擲の技法は きしきし軋る
扉を開け放ち 敷居を踏み越える
その一歩の向こうに 何かの存在を
期待 期待――淡い――気体の
薄まりゆく 酸素の海の浸透圧を
白砂のビーチへ 辿る雪道
帰り途 ....
いつくしむ
いつくしむということを
忘れ去ってしまったならば
それは つながりのもつ距離が
不鮮明にとまどっているの
けれど立ち止るな
そこは業火の唸る 底無しの淵だ
それでも振りか ....
蒼い海峡の水面に、座礁した街がゆれる。
煌々と月に照らされて。
わたしが走るように過ぎた感傷的な浜辺が、
次々と隠されてゆき、
閉ざされた記憶の壁が、満潮の波に溶けて、
どよめいては、消えて ....
街をみていた
貴方の街を
白々と染まる朝の底から
浮上する軒先の陰影
心配するなと云ってくれた
おまえの街だと
しずかな春の空を斜めに切った直線
落ちてきた羽ばたきの伸ばす
細 ....
{引用=
薄いスカーフのように
あなたの面影は
風にさらわれた
私への叫びも残さずに
あんなにも抱きしめたかった
しなやかなシルエット 柔らかさ
....
誰かを嫌いと想うことは
仕方のないこと
けれども
誰かに嫌いと言うことは
勇気がいること
責任がいること
相手を本当に想うこと
絆ができていること
関係を続けようとすること
何よりも ....
名前を知らない人にとっては
五つの星にすぎないけれど
カシオペヤは輝いている
名前を知らない人にとっては
七つの星にすぎないけれど
北斗七星は輝いている
そして中心で輝 ....
一面に広がる{ルビ金色=こんじき}の
麦畑の上に浮かぶ
一本の道
飛び込み台のように
道の途切れた向こうに浮かぶ
{ルビ一艘=いっそう}の船
途切れた道先に
組んだ ....
ハロー、グッバイ
まわる世界
君の手のひら
夕暮れてく空に
まどろんでいても
昨日の続きなんてどこにもない
意識が遠のきそうなほどの
鮮やかなオレンジ
それでもうまく
あの空の青さに ....
闇はなめらかなビロードの手触りで
斜めに笑う君の口元にも似ている
僕のストレートな熱が君を抉るなら
声はもうぬかるみの土深くに沈めよう
突然に吠え立てる夜更けの野犬
滑稽に鳴り響く改 ....
私は時おり
人生を振り返る。
長い時間であったはずの今までを、
頭の中で、
記憶のカードをめくるよう、
一瞬に。
そして、
開かれた時空の闇に
吸い込まれ消えて行く。
時間と ....
連なったテールランプ
眺めながら立ち尽くす
昨日吐いた言葉
今日待ち惚ける時間
振り返る機会に恵まれるほど
自分が切り裂かれて行くようで
冬が深まるほどに
褪せて行く街路樹が ....
あなたにこころをまかせられる
それって好きとか嫌いとかじゃなく
ずっと以前から知っていたような
どこかで一緒だったことのあるような
懐かしくて不思議な気持ち
見つめられて
見つめかえして
....
百万本の薔薇
咲きほこっている
そう言ったところで
それが造花であることをあなたは知らない
一匹の狼が 肉をはんでいる
そう言ったところでしかし
その肉が何の肉か
あなたは知らない ....
あるところに男と女がいて
であって 好きあって
子供ができて 家庭を持った
あるところにできた二人の家庭は
明るい家庭で
子供は二人
跳ねて 飛んで
子供の頃によ ....
夕暮れの会談に鶯が啼き
太陽は別れを宣告した。
私たちは、失いかけた腕のすき間から
明日の失望の全景を予感した。
暗くなり、
雨はミシンの糸を紡ぐ咽び泣きを聞いた。
かすれ声 ....
冷たい朝が始まる
身が引き締まる
同時に
心も引き締まる
北の窓がかたい
冬の朝にふさわしい
のどかな昼が始まる
身が緩んでゆく
同時に
心も緩んでゆく
南の窓が優しい
冬の ....
うなだれた灰色の雲の下
俺達の生活がベルトコンベアのように
流れて来て流れて行く
春を想うには遠過ぎる季節
賑わう街は生贄にされし者を見失ってる
吐く息の白さは
まだ、この世 ....
あなたに手紙を書きます。
窓枠に残った蝉の脱殻が
妖しく光ったような気がして、
不吉な予感とともに目が覚めたのです。
脱殻はピアノを弾くかのように、
足を滑らかに動かせて、
....
おしまいの日がくるから
もういかなくちゃ
たくさん あそんだ
散らかったカード
クレヨン
すべてが
中途半端に微笑んで
楽しい時は
だけど
いつかは終わること
いったい
....
電柱が侵食する細い坂を
テクテクと上る帰り道
背中越しのフロントライト
生き急かすようで落ち着かない
今日を振り返る帰路は
目の前に細く伸びる影さえ
緩やかな歩みを許さない
小さ ....
流星群は行ってしまった
銀の光の尾は思ったほどの残像を残さず
地に這うものと宙空の距離を
夜という名で引き離す
星が流れる
わたしは物語として知っている、
祈りのかたちで
手を胸 ....
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