すべてのおすすめ
ほころびをなぞる指さきを
もうひとつの指が追いかける
つゆ きり もや
つゆ きり もや
ふたつ ぬれる
いきもどる雪
手玉 てのたま
三つのやりとり
いさめる声な ....
コーヒーカップの横に、本がある。
『「待つ」ということ』 そう本がささやいている。
私の心に問われた。私は何を待っているのか?
コーヒーをかきまぜてみる。
耳が頭がカラダがざわざわしている。
....
忘れられない絵がある。
いつ見たのか、どこでだったか、覚えていないが。
思い出す、絵がある。
大きな窓から夕暮れの赤い陽が射し込んでいる。
中年にかかった初老の男女 ....
船
青く
触れると
消え入りそうな
船
ここ
我らが母体
青の時間船
地球号
ここ
こころと
からだを
養う
青の
時間船
地球号
*
大航海時代・・・ ....
唇噛んできみは
嘘つきだね
本当は泣きたいくせに
街灯りに雨は白く煙って
アスファルトに伸びた
影を揺らしてる
黙ったまんまで
何を見てる
何を探してる
言葉に出来ない
夜 ....
さえない毎日はグレー
北風吹く財布の中
年の終わりに振り返る
まだまだ先の見えない生活
やり残しの多き課題
雑踏の中に消えていく個性
まばらに見え隠れするのは
等身大 ....
星を讃えよ
僕はここに生まれる
輝くものを愛しみ
ひるむことなく
ここに生まれたことを
心の種とせよ
星のきらめきを見よ
空を讃えよ
僕はここにいる
目にするものを敬い
たじろ ....
この 響きの 深く
清めた 場所で
流れる感情の帯 旗として 掲げ
密かに 掲げ 夜を見詰めて
この 夜を祈り通し
星をいだき
星をささえ
深まる 夜ごと 夜ごと
闇が静 ....
見上げると
ひらひらと北風に舞う
たましいのかたちをした
まあるい葉が一枚
落ちてきた
{ルビ煉瓦=れんが}の{ルビ椅子=いす}に座ったぼくは
腰をかがめてそれを拾うと
....
廃墟の街に雨が降る
昨日の繁栄は窓の外
地下室の中で雨宿り
嫌気性のキノコを探せ
廃墟の街は晴れ渡り
輝く青空に白の月骸
人無き路に風が降り
無機質がリンと鳴る
廃墟の ....
さらさらと零れていったわ
貴方
あんなに細かくちゃ
骨も拾えない
きっと
暖かな夢を見ていたのでしょうと
私
自分を甘やかす
凍えて死んだ
少女が擦った
マッチ棒の先
夢 ....
1
十二月の眠れる月が、遅れてきた訃報に、
こわばった笑顔を見せて、
倣った白い手で、ぬれた黒髪を
乾いた空に、かきあげる。
見えるものが、切り分けられて――。
伏せられ ....
金色の海で
私は上手く笑えていただろうか
『金色の海で』
郵便受けに
見なれない封筒が入っていた
差出人は
失踪した親友からだった
彼は
一年前に妻子を亡くし
....
ぼくらはいつも
見ていたんだね
同じ窓から
午後の青空
透ける葉脈
震える小枝
それらにも似た、未来
ぼくらはいつも
感じていた
同じ風を、違う感受性で
教室にいる ....
嫦娥トロフォンティーヌ虚舞
ステラ星翳
藍為らぬ窗灯の一季
拘束為れぬ黄輝なる
嘴々に
闇筥の宿り焔
火華萠炎為る
桃彩のライトサーチ
四千年の幻螢漆闇に
靈の夕べ
....
春からひとり
流れてきた
おまえ
こんこん冬と
墨染めの宵の川は
さぞ冷たかろう
月様には出逢うたか
さぞ澄ましていたろうに
あれは誰かを
好いている
一に ....
胸のボタンを外すとき
あなたの狡猾な指先を思い出す
背後から不器用そうに
それでいて
未来に待ち受けているものを欺くかのように
(それなのに忘れられないのは
部屋の灯りを消しても
情念の ....
遠き空より舞ひ落つる
雪の光を感ずれば
やはら一ひら手に取りて
心を開く花と見む
近き川より流れ寄る
水の光を眺むれば
しばし一向き佇みて
心鎮むる音とせむ
遠き国より打ち寄す ....
ほら
落陽に絡み付く
銀のキラキラが
笑ってるね
また僕蝶々になる
碧の光の海を
いつまででも
音の無い部屋の
小さな白い少女
テーブルの上に
並べられた
真新し ....
手
神は、この手を御創りになるのに
四十数億年も費やされた。
人間は
....
(僕を殺した声を殺す為に
知る時計の音)
堅固なピラミッドの秩序が崩壊していく
不可視のラジオの雑音の中で目覚めて
無機質な時計の音が永遠に鳴っていたこと
記憶の朝、
白い光の電 ....
青い冬空透き通る
沢の{ルビ辺=べ}歩くその音は
見渡す空の声となり
孤独を忘れる時となる
白い{ルビ川水=かわみず}清らなる
峠を越えるその風は
鳥を寄せ呼ぶ歌となり
勇気を与える ....
老いた驢馬はゆくりゆくりと歩む
赤茶けた泥濘に蹄は重く
驢馬の道程に気紛れな心が曲線上に見える
{引用=黄昏時に直線は 物悲しいと私は思うのだ}
老いた犬が老いた驢馬に並び
二つの足 ....
この 青い空 白い雲 高層の建物は
冷たいロジックを回線に乗せて静かに堆積する
光が都市の騒音のように
うねり 広がる ポテンシャルの場
ここ 帝都の初冬に南中の林立する 陽射し
影 ....
虎になった
黄色と黒で 都会のようで
{ルビ四本=しほん}の足が 致命的で
神秘と静寂のギリギリに
透き通るように立ちつくす
虎になった
爪と牙が 怯えのよう ....
頭の中の言葉が
たくさんあるというのに
捕まえることができない
つかもうとする手と言葉とが
磁石の同極同士のように
退け合ってゆく
言葉が拒んでいる
言葉をつかめない
そうではない ....
僕は憎む
青硝子をはめ込んだようなこの空を
あなたのいないこの世界を
僕は憎むよ
翼をなくした僕には
もうこの空を飛ぶことはできない
あなたへの嫉妬でたぎり狂う
僕の醜い心よ
壊れ ....
僕らはまた時を数へて
夢を抱いてくただそれだけしかないよ
気が付けばそこに合ったはずの
歌が見あたらない
モノクロのサイレント映画に
入り込むように見つめている ....
ごろごろ
太鼓が鳴るよ
ごろごろ
猫が鳴るよ
のどが
渇くよ
水が
乾くよ
洗濯物が
ひらひら
飛んでゆくよ
蝶々が
空高く
飛行機が
雲の ....
あの日から、
耳鳴りが やまないんだ
いろんな場所が、
いろんなものが、
こわくなっていったんだ
その場所も、
ほんとは、そのひとつだったんだ
それでも、
なにかを ふ ....
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