すべてのおすすめ
胎盤干からびろって罵られたって、
わたしは
歯茎の色が不愉快だって言われたって、
わたしは
いつまでたっても黄色、モンゴロイド
ひっぱたかれると痛い
誰かの ....
今道端で
鳩が死んでました
通りすぎる誰もが気付かなかったので
ぼくはその鳩を。
とにかく
詩的だと思った
擦ったら君が出てきてくれないかな
コーヒーの入ったただのグラスに
奇跡が起こることを ひたすら
ペンが進まなくて 紙は白いまま
今日は目も合わなかったね
顔をそらしてたのは僕だけど
....
雪だよ
ねえ、 かあさん
白い絵の具は
雪だよ
紫は
くさった雲のにおいがした
ひとびとたちは
黒々の影に
青々のお ....
雨が上がると
空気が透明を増して
夏の名残と夢とが冷まされ
水の中を歩くように九月
夏服の明るさが
どこか不似合いになり
息を潜めていた淋しさだとか
熱に乾いていた涙が
堰を切 ....
秋が訪れれば またひとつ
目じりに刻まれる年輪のようなもの
早いもので開け放した窓の外では
秋の虫たちが鳴き始めている
この様に季節が巡るのであれば
歳を重ねてしまうのも致し方無い事
抗っ ....
金平糖の故郷はどこにある
ご主人様の命令で
落とした飾り羽根を探し
少年と少女が町を爆撃した
美しい焼け野原を眺め
満足そうに微笑んでいる私
(大きなお釜の中で)
グルグルと ....
ゼロになりたい
無ではなく
確かに存在し
しかも
姿はなく
誰も傷つけない
影響もされない
ただ
存在する
消え去る必要もない
見えないから
たとえば抱き合っても ....
お店を出してくれたあの人は
やさしいひとでいい男だけど
私の好きな人じゃない
5年もごまかしてきたけれど
もう、避けられないみたい
貴女はそういうと
二人きりになった店の灯りを落と ....
ああ
そういえば
と今頃思い出す
あとは
瀬戸の秋月だけだね
って言った日からもう
どれくらいの鴉が鳴いたのか
運河の景色は
みんな同じになって
しまった
七 ....
定食屋で父さんに会った
夏の自転車の帰り道
カツ丼は四百五十円で
ビールの中瓶がいまどき四百円だ
中年夫婦がふたりでやっている
僕は窓際に追いやられ
誰も悪くはないとただ一日つぶやき
....
明けない夜に悲しみを注いで
浮かぶ月さえ撃ち落とす勢いの
その怒りを私にぶつけてもいいから
自分を責めないで欲しいの
不安定な心を抱いて彷徨う夢は
とても怖くて怖くて仕方ないけれど
必 ....
休憩室の扉を開くと
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた
ほんのささいなことで
誰かとすれ違ってしまいそうで
思わず僕は身をかがめ
左右の靴を手にとって ....
テストの開始のチャイムが鳴った
ぼくは集中して
問題に取り掛かった
気合が入る
これでぼくの進路が決まるのだ
このテストはぼくにとって
大きな闘い
ぼくは強かった
どんどんと問 ....
果てしなく続く夜の闇が僕を押し出す
重い荷物だけを持って少しだけ遠くへ行く
辺りは知らない人達でぎゅうぎゅう詰めになる
座席にもたれた背中にピンと張り詰める痛み
体をダンゴムシのように丸め込み ....
貴方の前に門があります
幸福に通じる門です
門扉の向こうからは楽しげな音楽や
悦びに満ちた歓声嬌声が聞こえます
貴方は開けますか?
俺は開けることが出来ませんでした
萎えた四肢 ....
何から何まで
犬の日々だった
私の瞳孔はつねに濡れていて
咽喉の奥はいつも渇いていた
風にさらされて 乾きすぎた手拭いのように
水に濡れた掌を求めていた
何もかもが
犬のようだった
....
彼がいる。
此処彼処に彼がいるので、
落ち着いて眠れない。
彼は日暮れになると満ち満ちてくる。
丑の刻を迎える頃には、
遙か彼方まで彼で満たされる。
此 ....
いつもいつもいつも自分に非があると思って生きてきて
悪くなんかないよ、って不意に頭撫でられたら泣いてしまうでしょう?
どうして君はそんなにも優しいのだろう。
綺麗になりたいと思うよ。
はや ....
電車の中で、野菜ジュースを飲み終えて
空になったペットボトルを、足元に置いた。
駅に着いて、立ち上がると
すっかり忘れていたペットボトルを蹴飛ばして、
灰色の床をからから転がった。
....
Gのベクトルを探してきて
今すぐに
わたしは ここで うたをうたっている
Fのサイレン拾ってきて
今すぐに
わたしは ここで うたをうたっている
Aのワルツ踊ってみせて
....
しゃりしゃりの
あいすを
しゃりしゃり
きのすぷーんでくずして
しゃりしゃり
ふたりならんでたべる
リリコちゃんのかっぷは
つぶつぶふるーつあじ
ひかげのべんちにならんで
がーと ....
ねぇ、あんた。
怨念とか、憎悪とか、俺に見せてくれないか。
ストレス なんていう半端なものでも、
キレる なんていう薄っぺらなものでも無い、
もっと 濃密で、醜悪で、圧倒的に攻撃的で、
湯気 ....
セミよ
そんなに急ぐな
さっきから
空を見上げてばかりじゃないか
お前の
自慢のその羽は
ただ
アスファルトを掻くばかり
セミよ
今なら見えるだろう
あれが星座だ
私も昔 ....
一.
戦争を俺は知らないんだと はじめて思い知ったのは
キプロス島に ある朝突然逃げ帰った妻が いつか話した
占領の話 地下室の話 息を殺して
あいつが真似た マシンガンの ....
何の間違いか
朝にこの世に出てしまった
しかもよりよって
大都会の大きな駅の改札口にだ
どういう原理でなのかは
こっちにいる科学者たちでも
解明できていない
ともあれ
普段は生 ....
住んでいるアパートの階段で
小さな蜘蛛が巣を張っていた
それは何処にでもいる小さな蜘蛛で
だけれどもその姿は初めて見るほどに
頑なに黙々と同じ動きを繰り返し
{ルビ蜩=ひぐらし}の声 ....
車も誰も通らない夜の道
寝転んで空をみあげる
名前も知らない星々が
必死に光り輝いて存在を主張している
ふう と白い息をひとつ
天に昇る息は 人の魂か
昼間とは違う ....
君を抱きしめたり唇に触れたり
暖かさを知りたくとも
エンディングを迎えた世界
僕の隣に君はもう、いない
鮮やかな情景を映し出していたスクリーン
今では黒い背景に白い文 ....
だれか森の奥で
山桃の実を食べている
指のさきから尻尾のさきまで
赤く染まり
鳥のように生きている
魚のように生きている
ひと粒はひと粒のために
いっぴきはいっぴき ....
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