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何杯かの紅茶を
飲み終えた机の上に
本の積まれた頃
小皿の上に
時計回りで倒れ{ルビ萎=しな}びた
ティーパック
真ん中に置かれた
{ルビ空=から}のスプーンのみが
....
北風に震える
枯葉並木の向こうへ
携帯電話の画面を見ながら
朝の歩道をのんびり歩く
ふたりの女子高生を
追い抜く
シャッターを開いた
動物病院の女医が運ぶ
{ルビ檻 ....
地面には
ぺちゃんこのかまきり
おどけた鎌を振り上げて
お前は偉いな
踏みつぶされても
踊ってる
幾枚かの{ルビ花弁=はなびら}が舞い落ちる
淡い光のあふれるいつかの場所で
あの日の君は
椅子に腰かけ本を読みながら待っている
いたずらに
渡した紙切れの恋文に
羽ばたく鳥の ....
休憩室の扉を開くと
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた
ほんのささいなことで
誰かとすれ違ってしまいそうで
思わず僕は身をかがめ
左右の靴を手にとって ....
電車の中で、野菜ジュースを飲み終えて
空になったペットボトルを、足元に置いた。
駅に着いて、立ち上がると
すっかり忘れていたペットボトルを蹴飛ばして、
灰色の床をからから転がった。
....