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からっぽの海。
からっぽの空。
そして、からっぽの
からっぽの。
ある夜のことだった。
僕の家に、闇色のコートを着たあの{ルビ娘=こ}が来たのは。
彼女の歳は、僕とあまり変わらないような気がした。
僕はホットココアを渡すと、彼女の手に握らせた。
「あ ....
雨上がり
{ルビ水溜=みずたま}りには
哀しい顔が浮かんでる
ひょい と飛び越え
曇り空の一日に向かって彼はゆく
{ルビ仄=ほの}かな{ルビ灯=あか}りを 人の{ルビ間=あい ....
静かな夜のこの場所は
空の深さに包まれて
流れてゆくは秋の星
静かな夜のこの場所は
時の重さに包まれて
流れてゆくは秋の風
微かに響く虫の音が
今いる場所の道標
流れてゆくは秋 ....
Thank god tomorrow is sunday.
日曜日でも
朝から起きて
早く起きて セーヌのほとりを歩くの
朝靄に埋もれた塔が 少しずつ顔をだして
紺色から蒼 ....
いつもはつけるキャンドルのランプを
きのうはつけなかった。
突然、ものすごい疲労感に襲われて、
ベッドに倒れこんだから
真っ暗闇に
亡霊がつどう
あ ....
大好きな君を一生幸せにできる力量など
僕にはなかったんだ。
大好きでも、僕には出来ないコトだったんだ
そんな事に今さら気づくなんて笑っちゃうよね
君の幸せと、僕の幸せ、
幾度かわから ....
{ルビ掌=てのひら}にのせた
{ルビ一片=ひとひら}の恋の花
千切って夜風に放つ
そうして青年は
破れた心のままに
深夜の断崖の上に立つ
目の前には{ルビ只=ただ}
....
こえ
きこえる
みみ
まっかっか
きみの
ことば
まほーの
じゅもん
だね
....
我が輩はみゃうなり
生まれてから都会で暮らしているみゃう
しかしなんだみゃう
天気予報は晴れだというのに
なんだかちがうみゃう
だけどどうでもいいみゃう
恐れは詩、死、しかも刺、思。
屍骸
エシュロン
乖離
黙示録
a: 肉体的な関係
b: 過去の発言と行動におけるすべての統計(DB)
a+b=いやぁんジョイトイきらい、でも止めな ....
神は消えた
明日は我が身か
今は昔、をとこありけり。
いとあやしき箱の詩歌の会にしげく通ふ。
投げ打ちたる文、すなはち返し給う局ありけり。
誰にか会はむと入りしかども、いらへなかり
ければ、つれづれなることを語るうちに、 ....
雨が降る日に鎌倉の寺に行き
賽銭箱に小銭を投げて
ぱんぱんと手を合わせ
厳粛な顔つきで
びにーる傘をさしながら
帰りの細道を歩いていたら
濡れた路面につるんとすべって尻餅ついた ....
今は昔、をとこありけり。
片田舎に住みければ、いとあやしき箱にて文を交じらふ。
箱の中に、あまた集ふ詩歌の会ありて、よき歌には人々
より数を賜る。
思ひ起こして歌をばと箱の中に投げ打つも賜ず、 ....
明け方、安らかな寝息で目覚める。
どんなに激しく罵りあった夜でも、
疲れ切って眠った無防備な横顔だけで、
なにもかも許してしまえるような気がした。
私はその ....
雨の降る夜の路地裏を
酔っ払いの男は一人
鼻歌交じりに
傘も差さずに歩く
涙色の音符を背後に振り撒いて
雨は降り続き
路上に散らばった音符は濡れて
よろけた男の後ろ姿は ....
パソコンが
空っぽの箱に見えてしまったら
部屋の明かりを消して
Tom Waits の「GRAPEFRUIT MOON」を流そう
グラスに入れたぶどう酒を{ルビ喉=のど}に流せば
....
卓袱台の上に並んだ、小鉢――
蜆の佃煮/ 沢庵/ 茄子の煮びたし/
大粒の南紅梅/ めざし/
玉子焼き/ 烏賊の塩辛/etc
大皿に「戻り鰹のたたき//
足摺岬から我家の四畳半に
ザブ ....
{ルビ埃=ほこり}がかったランプの下
赤{ルビ煉瓦=れんが}の壁に{ルビ凭=もた}れ
紙切れに一篇の詩を綴る
クリスマスの夜
遠い昔の異国の街で
一人の少女が売れないマッチに火を ....
その時モグラは変だと思いました。
目蓋をつたう涙を止める事が
出来無かったからです。
彼はその土を一生懸命に
生きがいをかけて
まっすぐに掘り進んだと
心の底から信じていたのでした ....
久しぶりに巨人戦を見ていた。
0点に抑えた上原と
勝越しホームランを打った二岡が
試合後のヒーローインタビューのお立ち台で肩を並べ
アナウンサーの決まり文句の質問に答えている。
( 二 ....
しぼれたり そえ ゆうすずみのたまりじょうよ
けめすとれ、かのなみまがこごゆるだがいじりのたいせんまえ、
きみにいいのこしたてんがいのすざくに
やけつくくまんばちのたまのこしがきれいにゆめを ....
小学生の時だった
詩を書こうと思ったら
まずはおまじない
ぽえむかんすう
ぽえむふぁんくしょん
ぴぃはえすとえいちのかんすう
ぴぃはぽえむ
えすはじょうけい
えいちはしんじょう
....
地面には
ぺちゃんこのかまきり
おどけた鎌を振り上げて
お前は偉いな
踏みつぶされても
踊ってる
トマトのように
赤々として
たのしそう
トマトのように
ぐちゃぐちゃとして
にくらしそう
気づいたら皆、拳を振り上げていた
革命が起きると、歓喜を響かせた
常識を穿ち、列を連ね
信号を振り払って、行進を続ける
気づいたら皆、行進を始めていた
これは自由だと、歓喜を狂わ ....
悲しみも喜びも 苦しみも楽しさも
すべての感情は ただ私の上を通り過ぎてゆくだけ
なけなしの心はすべて あの人に預けてしまっているから
けれど あの人は それ に言葉の嵐を刻み付けるだけ ....
真夜中の風呂場で
魔法が解けて
僕は泣く
いつかの涙が帰ってくる
骨ばった身体を
折りたたんで
声を漏らさず
溶けてしまう
曖昧な夜に
曖昧な君の存在に
僕は君の少 ....
まだここに少女はいた
片足だけ残って、小石を崩していた
篠突く雨に耐えかねて、隻脚は交わるように
ユグドラの樹の上に、交差した根に添えた
終わりきった戦争だ
突き ....
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