かなしみがとことこ
ひとりでにあるきだして
どこかとおい
うみにかえると
いいな
いとしさがふわふわ
かってにとんでいって
いつかどこかの
きみにとまれば
いいな ....
あるのか
ないのか
ギヤマンの壺
煩わしいのは
小判鮫のように
ぴったりと張り付いて
住み着いている
強欲な金魚
餌を催促して
日々大声で喚く
うるさくて堪らないか ....
手にとると壊れてしまう光の束
生命との共通点をさがそうとしたけれど
白いなにかに惑わされて
明日の朝
あの人はもういない
都会の向こうで
星がスモッグに身を隠している
広がっていく
存在が箱の中に限られたまま
「ここにある気持ちは
単にあなたに平行するためで
微熱の色は
そこへこぼれ落ちる ....
オーロラの海岸に不時着した
求めるものは
奇妙な星にしかないという
珍しいパンと温かいコーヒー
犬を連れて来て良かった
歩くという不便さも悪くない
もう少ししたらゴムを巻こう
ゴ ....
9月5日(Sun)
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鼻から午後が抜けてゆく
アスファルト
草陰から飛び出す 鈴虫
飛 ....
雲を持って
あっちのほうに行こうか
よければ君も
連れて行くけど
お母さんボクは東大にいきます
やりたいことがあるとか、ないとか
これからは好きなことを仕事にする時代なのだ、と
そんな黄色いハローワークで
幸せになれますか
お母さんボクは東大にいきます ....
影と壁と風の生きものを
藪のなかから鳥が見ていた
朝にだけ現れる生きものの
羽音のような目覚めを見ていた
生きもののからだに光があたると
たくさんの傷が道にひらいた
鳥 ....
駄菓子をおなかいっぱい食べる気持ちと
知らない男の人と裸で抱き合う気持ちは
同じではないのか。
かさをさしながら自転車をこぎだそうとしている男の
ぎこちないひだりてと
ジーンズのひざのうしろあたりが
みょうに
みょうにあたしのきをひいて
その男のかさのいろと
いまのそらのいろがお ....
昔女友達とお茶してたときに、その子が溜息をつきながら俺に聞いたことがある。
「アバンギャルドって何語か知ってる?」
「へ?」
「アバンギャルド」
「フ・・・フランス語」
「やっぱりねぇ。。。 ....
しねぇ
しねねぇ
からからの空気の中で
やべえ俺18歳だった
呼吸してやがる
目も覚まさねぇ
やべえ俺オカマだった
おほほほほほほほ
プッチンプリンのでっかいの
食ってる時が ....
キミの声を聞くたびに、胸が痛くなるんだよな
僕はただ胸を揺さぶられているのさ
いつも。
ねぇ今から君の元へ行くよ
そういうとキミはなんて言うんだろう
臆病になる以外ないんだ
僕は思 ....
やわらかい指先が、僕の人差し指を包み込む
やわらかい寝顔の中の、ふにふにした頬っぺた
やわらかい笑みを見つめながら、僕の目も一緒に
やわらかな田舎の夕暮れに、やわらかく溶けてゆく
風鈴の音 ....
その眼は、何を見つめているの、
その眼は、何を見つめているの。
無粋だな。
お前に聞いてるんだよ。
試みて 小さな揺れる 白く塗れた あなたの唇に 触れてああ、あ
何かの話だ
山積みのタバコはどうしようもない
去年のことが邪魔するような
いつかのキャラメルマキアート
生活します
忘れて生活します
流れ込み望郷の話です
たまに飛び出しました
母 ....
明日、おれが、もしも、
喋れなくなって、
凍り付いてしまった時に、
あなたは、
おれを溶かして、
喋れるようになるまで、
そばにいてくれますか?
こんな事 ....
半年分の酒瓶を 片付けた
100本以上あった
少しずつ かなしみを
溶かし込みながら
飲んだ 酒瓶に
もう一度 かなしみを
詰め直して 捨てた
それ ....
みらいは
あまく
あでやかな
ひかり
かこは
ぐんじょうに
おぼろげな
あかり
いまは
あやふやに
とうめいな
ほのお
蝉は蝉なりに
寝起きっぽく振舞ったのでした
雨曝す心ひとつ
待つ身の程の隅々へ
ゆっくりと
行き渡るのが
夜の毒だから
ケチャップの夜は
泣き止まず
ただだらしない雨を
ひそかに運ぶ
可愛いひとを
手品の箱に
詰め ....
魚津の水族館で
イシダイの一尾が輪っかを
するりと抜ける
そのとき
古い学習図鑑の白黒ページのイラスト
を思い出した
それが
かげろう
{引用=
蜃気楼の街
....
ぎぃころぎぃころ
ぱたんぱたん
ぎいぃころぎいこ
ぱとたたん
ふいの夜風に あらぬ匂い
むせるほどの 肉の香り
ぎぃころぎいぃころ
ぱたんぱたん
そこまで来てい ....
「さけのみ」
さけのみは うわばみ
ぐいのみで がぶのみ
なみなみと さけくみ
おつまみは しおのみ
さけのみは ひとりみ
かたすみで たたずみ
こめかみの しわもみ
....
「俺って結構まじめなんだよ」
っていう男は多い
ほんとに多い
いったい何が言いたいのか
さっぱりわからない
心の中では
「へえー」と答えてるけど
別に言わない
繁華街のホテルを出た
....
陽射しがシャワーの音
蝉
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている
父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
熱を嫌う
冬の午前十時
錆びた手すりに
もたれて
こめかみを撃ち抜く
動物園に火をつける
噴水は枯れた
飼育員の首吊り死体
食らいつく ....
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