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上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる
太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている
....
私の小鳥が死んだ
何度か獣医さんに診てもらったりしたけど
これが胸騒ぎなのだろうか
部屋の錠を開けるのももどかしく逆光に沈む鳥かごへ駆け寄れば
初夏の陽射しのなかで彼は小さな亡骸と化していた
....
太陽が燃え尽きて 辺り一面闇に覆われて
手の平の中の明かりを自ら消してしまったんだ
遠い空に祈りを込めて 流れ星は砕け散って
涙が育てた優しさの花を自ら摘み取ってしまったんだ
平和な世 ....
090430
ギョッとして振り返ると
魚の目をした人たちが
疲れた顔をして
ロムを焼いたり
ICを差し込んだり
コネクターを差したり
抜 ....
風のはじまりは
海の青を透明にしてのぼってゆく
高く 高く 舞い上がった小さなものたちの
無邪気にかけおりてくる足音と
弄ばれる髪の乱れ
平らな大地に住む僕も
できることな ....
その掌は
緩慢に
闇を
押し拡げる
最後の
夜明けのための
祈り
を捧げる
祭壇には
いつのまにか
わたしがいて
わたしを見ている
ぽんぽん
前に歩いている人が花を落とす
私はそれを拾うのは癪なので踏み潰して進む
ああ夏が来てしまうんですね
となりにいる人にそう言うと
その人は
この世の終わりという顔をして
爆発して ....
これ以上哀しいことを言わないでいいように
これ以上醜い言葉を吐かずにすむように
硝子の石を頬ばった
口いっぱいに 頬張った
鋭く尖ったそれらは
僕の口いっぱいに血を溜めるだろう
脈打つ ....
この国ではだれも好きなことを言えない
七つの会話は検閲にかけられ
八つの集会は監視されている
若者は万里の瓦礫を隠匿し
絶え間なく幼児化する
アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン
新しき ....
君の青白い肌に
珠のような汗が浮かぶとき
毒を飲み干しているのだと 思う
世界中の美しい色は君の中にある
僕はそれに触れて 飲まれて
侵されていく自分を 知る
青い血が焼かれ
夜が訪れると
失った
命の部品を探しに
空が朝を追いかけていく
僕は君を追いかけていく
君がかつてあった時を
空とは反対の方へ
君の赤い血が流れてい ....
ざわめきが形を成してゆく
宇宙のものまねは
不安のものまねに似ている
さくらはこの世を化粧する
そこかしこに銀河
そこかしこで爆発している
この世を歩いているの ....
わたしは、ここ
あなたは、そこ
この距離は因果律
決して縮まることはない
時間はいつも嫌になるくらい前向きで
振り返ってはくれないから
誰もが桜の空を仰いでいる ....
三日月型の星に腰掛け
釣り糸を垂らす少女の
シルエットは明るい
リールもないのに糸は地球の深海まで届き
砂にまぎれた平目の目の前で針を泳がす
夜は ....
{引用=
リボンを結んだ箱の中
スカート脱いで眠ってたの
雨の日 染み出た水滴に
混じっていたのはアイラブユー
それは秘密
甘噛みして
すこしだけ涙が出たり
熱い吐息が漏れ出たり
....
T+74.130
Last radio signal from orbiter.{注*=Challenger timeline(UPI)}
切断された管をたなびかせながら
放物線を描いて ....
この星系のどこか
色でけずったメタンガスにちかいどこか
バスの墓場がある
何億台もかさなりあって絶命している
すすけた錫がキーンと光っている
純粋だと主張する天頂方向に
....
箱にはたくさんの
記憶の残骸や
体の部品などが納められていて
私もいつか配達される
何が入ってるかは
その時にならなければわからない
きっと箱の中には
懐かしくて
壊 ....
勝手に逃げたひとのせいで
今日も電車は来ない
向こう側のホームから
数日前に死んだであろう
女の嬌声が響く
もうすぐここも
ひとで溢れ返りそうだ
後ろのベンチからは
少女の ....
雨の日は 蛍光灯の白がよく映えて
あの花は いつにも増して色鮮やかで
世界が色で溢れている
みんなが空を見上げ
上の方の何かに祈りを捧げている最中
あたしたち ....
骨は砕け割れて
君をますます遠ざける
微粒子になった君は
いつか混ざり合えるのだろうか
置いてきぼりの愛情
喉は渇ききって
それでも唄える歌があったなら
君の面影を追い求めた ....
そうゆうんじゃない
肌に頬を押しあてて
脈打つ血の
ほんとうの色が浮き出すのを待ちながら
したい理由をききたい
耳もとで
吐く息にまぎれ込ませて
「どうして…?」とききたい
衝動にもゆ ....
世界の秘密
そんなものが本当にあるのかは分からないけれど
それはあるとき確かに僕を迷わせ、惑わせ、道を踏み外させた
陽に照らされて虹色に染まる冬の雲や、
轟々と響く生温い春の風、
ひぐら ....
平行線の夜
交わることのない
夢と夢
眠りは静かに
明け方にたどり着くまで
光の速度で
目覚めると
あなたがそこにいる
朝日を浴びる
わたしのように
二億光 ....
悲しい流れ星はただひたすらに
空を駆けては消える
初恋なんて基本的に細胞戦争
港で起きる波は
一定の旋律を奏でながら波をうつ
彼岸花が咲く季節に人は死ぬと
....
私の口から吐き出された
原色の雲が、
部屋の中を漂っている
これは煙ではないのである
その証拠に
部屋の中には雨が降っている
これは涙ではないのである
その証拠に
私は悲しくなんてない ....
ヘミングウェイじゃないけれど
何を見ても何かを思う
この街は体に毒だ
記憶の濁流に押し流されて
立ち尽くしたまま泣きそうになる
冷たい風が刺す中で
涙だけが生温かった
....
氾濫する
春の本流を立ち泳ぐ
辺りには甘い毒素が満ちていて
脳から先に侵されてゆく
あらゆる感情の結び目は解けて
それがいいことなのか
悪いことなのか
判断さえおぼつかないまま
い ....
裏庭に透明の象がいる
ばあちゃんはそれを知っている
他は誰も信じてくれない
夜、布団に身体を任せて
僕は透明になる
(つまり僕は僕を抜け出すんだ)
そして象に会いに行く
暗闇の中 ....
光と影の間を
スルスルと潜って
逃げ出した
緑と風が
そよそよと呼ぶ
鬼さんこちら
尖った角を
清らかな川で洗えば
解けて流れ
両手を広げて
迎えてくれる青い空へ
飛 ....
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