読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
春が
わたしの中に入ると
増えます
やがて溢れ出して
玄関では靴が
遊びたそうにしています
あなたは
とてもかなしく
笑う。
こすもすの
ひろがりのように
笑う。
いきものの
さがをいとおしむように
笑う。
ずいぶん
ながいときがすぎたが
きょう、やっと
ふたりは
わずか五ミリほどの
ラビリンスを
うんだ。
ちいさな
コンクリートのすいそうで
ちゅうにうきながら
まようことしかしら ....
哀しみが
哀しみの
首を絞めている
絞められた哀しみは
椅子に座ったまま
うなだれ
絞めた哀しみは
ぽっかりあいた空洞を
もてあまし
ただ
じっと
人である哀しみに
....
うすっぺらな
かさぶたを
かさねすぎて
海をわすれた。
くされかけた
霧のなかを
影のない魚たちが
歩んでいった。
矢のように駆ける
雲の彼方に
涙をたたえた
光の鳥を見 ....
たとえば
紫陽花のころ
ぼくは
かかえきれない想いを抱いて
佇んでいる
ふりつづく
やさしい雨は
すべての景色を溶かし
なおも
ぼくの扉をたたく
願わくば 雨よ
ウテ ....
シャラシャラと
シャラシャラと
それはおちてゆくのです。
シャラシャラ
シャラシャラ
うす水色に。
うずたかくつまれた
はかばから
それはおちてゆくのです。
それぞれのお ....
名前は?
いちおうクサノダイゴという記号はある。
どこから来た?
あの空のむこう。
歳は?
知らない。
仕事は?
ささくれ屋本舗
具体的には?
心 ....
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