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いま どらびだの駅だ
むかし おなじ名まえのくにを紀行したが
もうずいぶん前だったので
ぼうぼうとした
かぜの中あたりで 周囲を見まわす
駅舎があるとは知らなかった
いや
とうの ....
ガラス窓の向こうで
風が吹いている
木々の梢は風になびき
空を掃いて 葉が{ルビ細々=こまごま}と翻る
くろく空裂く鳥の群れか
とおい湖の 波間の影かの ごとく
音は聞こえない
あ ....
柔らかく 昏い光が
ひっそりと漏れだしたように
わずかに傾斜した平坦な地の
襞に、影
鉦がきこえて
列がゆく野は
さびしい海にむかって開けていった
或るひとつの手の
美しい ....