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 擬態

わずかに残された木々のふゆの葉を北風がこきざみにゆらすとき
それは小鳥のはばたきになる

 家出

街角のメリーゴーランドは天使をのせてくるくるまわる
色とりどりに着飾った馬 ....
闇に沈んだ森に
すみきって硬質な音がひびいている
呼び出しのベル
からすの巣にかかげられた黒電話
ひなはとうに巣だっていって

せつな、
忘れていった羽毛がおどる
とても軽いから
命 ....
凍ったフロントガラス
朝日が少しづつ彼らを懐柔すれば
やがてそこは完璧な薔薇園になる
回旋塔のはがれかかった塗装から
こぼれ落ちるドライフラワー
校舎の壁にはヒビの花が
鉄屑には錆の花が
 ....
小さな小さなキミは
迷路遊びが好きだった
渦巻きの道を
ぐるぐる進む
勇敢な旅人
お気に入りの小さな雨靴で
ずんずん歩く
僻地で
草も花もない道だったけれど
ときおりバタークッキーの ....
誰かに教わったわけでもなく
ひれもないのに
泳ぐ術を知っていた
不思議
暗闇の水は透明なはずなのに
烏賊墨いろ
触れる
包まれる
抱きしめられる
身ひとつだけの
図式
へその緒が ....
大寒の朝
フロントガラスにいくつもの
小さな雨粒たちが
縦に並んでいる
球体の接地面で
ふるふると
ふるえてる
ああ、ここにあったのだ
糸から外れても
ばらばらにならないで
ここに ....
朝、いつものようにキッチンに向かう
痛っ、イタタ
キッチンの入り口にぶら下がっているのれんに頭をぶつけた
昨日まで柔らかい麻布だったはずだったのれんが
硬い板状の物体と化していた

一体こ ....
小さな庭の忘れ柚子
採ってみれば中がブカブカしています
ちょっと前まであんなに固かったのにどうしたことでしょう
果汁を絞ってみたところで焼き魚の足しにはならないでしょうね
この数ヵ月ですっかり ....
{ルビ冬の雷=ふゆのらい}マクドナルドは混んでおり

紙の白寒しインクは北斎の藍

餅の黴削ぐ母在りて台所

冬苺 逢いたい、だなんて今さら

倒れこむ人の音かと しずり雪

空咳 ....
ちいさな灯りを枕元に遺しておこう
キミが真っ暗闇でも
夢を掘り起こせるように

閉じられたまぶたの下で
かすかに動く気配みせる眼球

昼間の世界とは別に
もうひとつの世界があると知った ....
亡くなった犬が鏡の中から
わたしを見ている
わたしの手のひらに隠している
おいしいものを知っているのだろうか

名前を呼ぶと返事のように尻尾を揺らす
黒い鼻はしっとりと濡れ
いかにも健康 ....
義母が黒豆を煮ている

石油ストーブの火を小さくして
その上に置いた大きな鍋から湯気と香りが立ち上っている
こういうのをコトコト煮るっていうんだろうな、と
一歳になったばかりの子を抱っこして ....
 もやぐ朝 

夜が朽ちて
朝が生まれる
霧に覆われた街は
港へと変わる
赤い太陽は
無音の出港の合図

けれど想い出は
いつでも切ない
胸に
錨をおろしたまま


 さ ....
ボーカルのテンコは機嫌が悪い。
向かい合わせの椅子に座った彼女はだんまりを決め込み、ウミネコみたいな目つきでひたすらもつ鍋を食っている。
今日のライブで声の調子が今ひとつだったこととか
取材にや ....
朝は曇っていたけれど
天気予報を信じて洗濯した
どうせ一日では乾かない
束の間の外干し

冬生まれの子はよくミルクを吐いて
深夜に洗濯機を回したものだった
洗濯物はいつでもエアコンで部屋 ....
寒さと賑やかさが混然とした師走だった
子どもたちは家の手伝いを請け負う
障子に貼られた紙をビリビリに破ることほど
心躍るものはなかった
 平素子どもたちは無自覚に平凡で暇だったから
洗われて ....
「明日は黄砂が降るでしょう」
天気予報の声はAI

曇りマークのない混じりけなしの晴れマークなのに
洗車したばかりなのに
布団は干せないなあ
とか 少しばかり
黄砂のことを恨んでみる
 ....
そう悪くないは案外いいことそう思ったら夕暮れている

冬の日にふくらんでいる子雀の友だちらしい人間の子
 
ペチュニアの開花最長記録なり師走はやっとそれらしき風

幼子は空を指を差す飛行機 ....
写真の坂本龍馬の右手は
着物の中に入っている
「何か隠し持ってると思う?」とキミは訊く
ピストルとか? 物騒な時代だったから。
物騒な時代が終わったというわけでもないけれど

だけどもう誰 ....
一日がこぼれゆこうとしている
どこへ
だれの手によって
疑問符は
フェイクファーのふかふかの中で
あくびを噛み殺して
目を閉じる
ここはやがて誰の手も届かない場所になる

別府湾を切 ....
もうあとは寝るだけ、という段になって
三日月を見つけた
三日月もわたしを見つけた
他者のさみしさに触れると
自分もさみしいということに気づき
それはことばにしてみたら
手にありあまるくらい ....
冬を編む音が聴こえてくると
祈りが近い
夕暮れが愛おしい
(行かないで)
熊ノ森のはずれにあった
馴染みの毛糸屋は
廃業してしまったらしい
けれど
絶望するにはまだ早い

めぐりめ ....
もうひとつの夜の街が動き出す
灯火はみな偽蛍
背筋を伸ばした猫は
糸を池に垂らしてザリガニを釣り
夢遊病者たちは公園に集い
おとがいを比べ合う
看板描きの落としていった
無邪気な絵筆は
 ....
自分のために、自分のためだけに
この海を行け
その声をよすがに航海に出た
凪いでいる海は退屈でしかなく
荒れ狂う海に対峙している季節こそ
わたしの命は踊っていた

そうやっていくつもの年 ....
庭のウッドデッキに
細長い枯れ枝が落ちていた
薄いカーテン越しに見ていると
その先端が微かに動いている

枯れ枝ではない何者か

無機質だと思っていたものが
実は違っていて
ぬめった ....
夜に
優しく撃たれて
ひとり、またひとり
人は
優しく死んでいく
夜に
まだちゃんと慣れてないから
きみは泣く
これからはじまる長い旅路の
最初に出会った
得体の知れないその不安は ....
秋の風は寄せては返す波
蝉は近くてどこか遠い
空洞に宿った声もまたよそよそしい
蝶のかたはね、
蜘蛛のひとあし、
うすい影をまとって
手のひらにのせれば
軽くて重い
この夏を生き延びた ....
ダイヤモンドの針をそっと置く

行っておいで

想い出は遠くなるばかりで
美化されたがっているのはなぜだろうか
この溝は
なぞられれば現れる道だ
ふたたび
さみしさの琴線に音を咲かせ ....
小さな手花火
火をつけられたら 
そこからはじまる
儀式
一瞬燃えたあと
丸く赤い心臓が生まれ
酸素を吸って
チカチカと
この世ではじける
火の花
いっときの命
えいえんには続か ....
夏の雨が降るとやってくるシロイルカ
冷蔵庫から勝手にサーモンなんか出して盗み食いしてる
(いいけど、いいんだけどね。そのために買っといたんだけどね。柿の種もあるよ)
腹が満ちたら、さてっと、やる ....
リリーさんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(188)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬のストーブは熱い魂- そらの珊 ...自由詩7*24-2-4
夜のこずえ- そらの珊 ...自由詩6*24-2-2
常設展- そらの珊 ...自由詩5*24-1-28
渦巻き迷路- そらの珊 ...自由詩8*24-1-26
対岸まで- そらの珊 ...自由詩12*24-1-22
邂逅- そらの珊 ...自由詩8*24-1-20
のれん- そらの珊 ...自由詩7*24-1-18
柚子湯- そらの珊 ...自由詩4*24-1-16
冬の雷- そらの珊 ...俳句3*24-1-15
眠りに埋もれた夢のいくつか- そらの珊 ...自由詩5*24-1-15
鏡よ、鏡- そらの珊 ...自由詩12*24-1-2
大つごもり- そらの珊 ...自由詩4*23-12-31
この世に錨をおろしたまま- そらの珊 ...自由詩15*23-12-29
いつか星になるまで- そらの珊 ...自由詩5*23-12-23
冬日のこころ- そらの珊 ...自由詩7*23-12-20
師走雑感- そらの珊 ...自由詩9*23-12-16
黄色い砂たち- そらの珊 ...自由詩8*23-12-9
夕暮れが早くなる頃- そらの珊 ...短歌5*23-12-3
龍馬の右手- そらの珊 ...自由詩10*23-12-3
まがいもの_やがて夜にのまれる- そらの珊 ...自由詩11*23-11-30
さみしい夜のぷちぷち- そらの珊 ...自由詩10*23-11-19
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線香花火- そらの珊 ...自由詩13*23-8-14
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