ほしぼしが受肉される了解を得て、ぼくらは彗星のパラグラフをひもとくまでの一刹那を、あやめいた海の凪ぎにまかされ集中する夜光と砂浜を、待っているだろう。
彗
星はお
ち
ここは ....
きみを発する度にぼくはそれが焼けていくのを感じかなしまれたかなしみに対して粘りけのある声を、声を、声を
数年前の廃屋でぼくらは惑星として完遂した。
喉の機関だけを有する迦陵頻伽の群れだ。
き ....
粒立ちのしない肉のゆらぎをしがんで
ぼくたちはそっと三角に座る
あるいは車座、巨大な塔を見る目は乾いている
たおやかにたましいがふるえ、る(降っている)
かつて地面だったかの女の喪を服すの ....
水性絵の具みたいな夜、アパートの窓に猿の顔が立ち上がってきて男の顔になったり女の顔になったり女の子の顔になったり好きだったユミちゃんの顔になったりオカンやオトンやオトウトやしまいに俺の顔になったままピ ....
1
やがて堪えきれなくなって、場所を求めて彷徨し始めることにした。立ち退きを余儀なくされたのだ。河岸の沿いを進む。うららかな午後の、ちいさい淀みを掻き分けながら、光に透けている、光そのものであ ....
しびれるくらいの夕立を浴びせられながら、緑のカラコンを落としたと言ってうずくまる彼女のふくら脛を見ている。膚は湿ってはいるのだが水滴がそのまま伝って靴の中に入っていくのが見える。おれは傘を差し ....
光の死体に囲繞されている中心部が電車のなかでは反転する。濃い色の髪の毛が重いと呼ばれるのは必ずしもその色だけではなくて、そのものの重力を指し示している。深刻さ。彼女の髪は星星の重さを持っていて、ある ....
柱の、柱の、柱の、のびて、ゆ、き、
くだりざか
水?喋り声、
手、のほほろぐ、パンプ
ス?ヒール?
スニーク、セカンド、火は消え、
祈られる(誰に?)煙と響き。
{引用=
ころろき ....
わっか付きのちぎった羽の訪れ
骨を噛む眩んだ羊の群れ
瀞の辺りでまどろんでいる都市と
数々の海に影が落ちる
彼女の小さい舌
ミルクを舐めるときのように
チーフの端を燃やす
彼女のその ....
土の間に爪が入るうごめきを感じるモーターの音と起動音
からなる空回り空回りと言うべきざわめき、木々でなくて
ぼくはかいつまんでいる、概略であって略歴であってそれ
は食物の腐る早さ、食物の腐る早さ ....
歯の抜けた老婆が電車の中でなにか言った。わからなかった。雨が降っていた。合成革のシートから、湿気が尻にズボンを張り付かせた。切符の行き先を覚えていなかったので、取り出そうとしたらどこにもなかった。見 ....
と、と、と!
アイスクリーム状の蛇を指輪にすることはたやすい
安物のロザリオを幾千の薔薇を花花の干し首を
粉々に切りきざむためだけに
秒針は締結されふるえている
焼き場にはた ....
大きく伸び縮みする時間、とポプラのあの不穏さ
を 考えているときに隣で編み
込む 糸を巻き付けて束ねて吸い込んだ製糸工場の裏
で
中心部分の球体をゆっくりゆっくりなぞりあげる
指の先 ....
鳥の腿肉が宙に浮いたままで歩いてるパンプスめがけて
時速455で垂直落下する縦糸のみグラフ
骨盤を露出した骸骨の群群をいくつもの過去という風が
泥舟の中に置かれたそぶりで追いかける
が、ゼンマ ....
血色の悪い炎の連れ子に
躄りながら引かれ
生肉のいくつかの部位を教えられて
馬が
かれの針葉樹のような脚は
コンパスと弓のかたちをして
根性焼きの地面をかたどる
猛々 ....
(鼓膜裂ける、言っ笑った違う、切れ切れぬ)
境界湾曲だと言われた
蝶は鳴いている
処女の亡霊が止まり木にたばこ
ハートなものかしましい
ラッキーストライク!
ヘッドフォンスピー ....
穢衣
白んだ爪の月を眺めていると隕石が降ってきてクレーターが隆起した。庭のカテドラルは健全。おれはくたばる。スルメイカをかじりながら時計に暗唱する名前なまえそれだけを繰り返していることの意味、 ....
缶の中身をすべてひっくり返して
その目が見えるようにした
盲いた彼女の口紅を代わりに塗って
嫉妬されるために
白線は死骸だった
共通的な瞼を埋め立てて
その上をランナーの汗が踏みつ ....
大地に降り頻る金色の毛はブロンド女の陰毛でそれを知らないから食べたりできるのだとチュパカブラがフェイクファーのマフラーを抱き締めながら言った。そいつのしているのもやはり金色でおれはゴールデンバットを吸 ....
目からたばこが生えた
煙がおれの目だ
「人を愛せ」の「人」という字が
燃え盛っている
灰皿が
重油とタンカー
ガソリンは蒸気が燃える
トイレの個室と遠く離れた
廊下であったり
....
チョークの粉を床に撒き散らして、線だと言った。冬だった。空襲の雲が押し寄せてくる。たまらない。教室はがらんどうで、さざめくのに姿が見えない。ただ音だけがそこにいるような、ジュークボックスのような、色 ....
飛行機の音だけ寒空、トレンチコートダッフルコートの幽霊は、互いを見ている、あとはなくて、陽炎でもない、季節外れだ。だから管制塔よ調律を合わせろ、螺子巻いてみた、螺子巻いてみるけど切れて、螺子巻いてみ ....
噴水の枯れた公園の溝で交換している。へばりついたしじまで億劫になっていく。
チョコの食べ過ぎで、覚えたての関係代名詞をすれ違いざまに渡されて。
誰もいなくても跳ねたがるバスケット・ボール
....
回るマカロニの胡椒が経文になって
そこに並んだ
こどものあつめた花束を
しどろもどろに殺し続ける
ミイラへ
鍵穴に差したままのそれは捨てて
もう花を言わないで
黒い花の睦む森 ....
吐き戻したばかりの吐瀉物を横目に笑われた。じとじとした夜だ。安酒、いるはずもないような女だの友達だので囲まれている。中学生のころだっけ。わからない。どいつもこいつもペッティングしている、たいした面で ....
カウンターで、痰が絡まって、「キャラメルマキアートください」がひっついてキャラメルマリアが顔を出した。舌打ちは案外たやすい、三頭身のキャラクターと店員の笑わない目、おれの小さい欲望と自尊心。上を向く ....
視界が視界が縮める午後のきらいな音楽の、リフレクトの信号が鳴り止まない鳴り止まない鳴り止んだ気もするかもしれない、鳥、鳩の声、何百万もの星が過ぎるように車がインクをぶら下げて裂罅を集めていておれは、喉 ....
{引用=
メーター単位分断系列の根性焼き配置
恒星が腕の節々でひかる
目玉を抜かれた十字架
スカートの皺がちらちら
いつも心には心なんて置いてない
}
ブルーベ ....
いつかプロトコルを委譲する伝達飼育員が
アバラをひっくり返して心臓を剥き出す
なみなみと湛えられた
骨はつぶれて
内臓も空っぽで
血管と皮だけが残った
血はなくてもあ ....
麒麟を飲みながら、もうすぐ上京するともだちとグラウンド付きの河原でバーベキューをしていると、目の端に虫が集るのが感じられた。においがきつくなっている。ともだちはゲラゲラ笑いでもって幽霊の話をしている ....
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