闇夜、午前零時

ひらひらと
羽織っていた服を脱いで
部屋の中央に垂れた紐を引くと
パチンと音がして光が消えた
肢体を浮かべる闇は
今もどこかで葬式が執り行われている、
ということを連 ....
みずのね
さらさらとね
ながされる
ひとのシやセイが
たいがになって
いつかのよるの
うみみたいなばしょへ


みずのね
ちゃぷんとね
りゅっくのなかの
つつのなか
ゆれるた ....
痛みを
覚えている

気が遠くなるほどの
長くて短い
日々が流れても

夢で会いましょうの約束も
できないまま泣いてる男の子
いつだって逢えるでしょうと笑う
優しいひとの手を

 ....
確かその夢は
どの方法になさいます?
という女の声から始まった
何にもない病室のような
真っ白な部屋あるいは世界に居た
自殺するなら安楽に逝きたいと
私は服薬を選んだ

ではどちらのお ....

たしか、月という名だった。
名前とはたいていの場合
生まれた後付けられるのだろうが、
それは生まれる前から月として
ただ、そこに在ったのだと思う。



結婚式に参列している。 ....
千年の恋を織る
記憶の斑
泣いてこんにちは
そして笑い合って
「さようなら」

百年の愛を知る
秒単位の海馬
争い殺し奪ったあとで
守った者たちへ
「ただいま」

ねえ神様
 ....
物語を
知っているだろうか



おしゃべりなオオカミは言う
優しいでも強いでもなく
ボクはいいオオカミになりたい
その口元には
羊の肉片がついている

夕方に起きだして
い ....
なぐなみみつめ
なくあほうどり
あほうとひにくる
にんげんのみこころ

ときやほしや
ははなるばしょへとながれた
なゆたのかなしみ
とはことなる
かなしみのゆれ

とあるひひるさ ....
公園にひとり男の子
空を見上げたら
花びらが舞っていたから
これは夢なんだと気づく




くしゃみする間にも
悲しみは正しく生まれていて
目薬を注しても
溢れ出てくるものは止ま ....
誰もいない夜
深く青い闇を張って
微かな水音
澄ます心もないのに
曇り空の上の星を伝って
願いは まぶたの裏を駆け抜ける

あなたがいない日はいつも
いつも柔らかな雨が降って
か細い ....
冷たい月に
雨がふる
とても静かな
音をかなでて

さびしいうさぎは
ぬれてゆく
赤い雫がこぼれて落ちて
時間がゆっくりと
満ちてゆく

そよぐような
何かに揺れる
宇宙のす ....
「日食の朝」

太陽の闇に隠れる月明かり光と影と表と裏と
深海で気泡がひとつ
ゆらゆらと上昇してゆく
疑えばきりがないことばかりだ
海底に横たわる
屍が呟くから
ボクは
生まれてから今日までの
信じてきたものを
ひとつひとつ
数えてみる
記憶の外側で時は流れます
記憶の外側で時は回ります
記憶の内側にはない事なので
何が起こるか分かりません

記憶の外側で時は積もります
はらはらと
降る雪のように


記憶の内側で ....
ある日

少年は少女に
プロポーズした

少女は
照れながら
コクリとうなずいた

少年は困ってしまった
勇気を出して言ってはみたものの

けっこんするにはどうしたらいいの?
 ....
藍影に
月顔の城
黄か
枯れたヒヤシンス
重力に揺られ
片目で通す
針と糸は
鼻唄の彼方
指折り数える
次元の先に
とまる虫
4.51光年の旅を終え
安らかに
生きは途絶える ....
雨の日
少し肌寒い

MP3プレイヤーを聴きながら
古いレコードショップで
一枚CDを買う

ありがとう
と袋を受け取り店を出て
なぜ買ったのかを考える
音楽はすべてパソコンに入れ ....
私は無力です。
私は無意味です。
私は透明で空っぽです。
まるで生きていないみたいに。

― みんな、似たようなもんさ。





『ホイミ』






休日の ....
なつのおわりのはれたひに
むしゃりむしゃりと
なしをたべている

かわをむいて
じゅうにとうぶんにきりわけ
しんをとったきれいなかたちのなしが
あとじゅういっこ
おさらにわをつくってな ....
知らない事は多いけど解るのよ世界が悲しみだけでできていること。



母となり女を捨てた哀しみと 幸せそうなオルゴールメリー

泪眼の「生まれてくれてありがとう」、「産んでくれて」と返す気 ....
「明日も雨、降るのかな。」
「綺麗な月が出てたから、きっと晴れるわ。」




5.

黒い服
白い首飾り
海底バスに乗って街を行く
灰色の上空には
ゆっくりと沈み来る夕日がな ....
溶けてしまいそう
暑さのせいではない

時々空を見上げる
曇っていると泣きたくなる

今日はよく喋った
昨日は一言も声を発しなかった

電話をかける
最近どう?

暑いね
溶 ....
着信音
淡いブルーの光
点灯

はい、もしもし。






駅前の大通りで
時差式の交差点で
地下街へと降りる階段で
すれ違う
たくさんの人たちは知らない

私がこ ....
斜光に詠う
蝉の時雨
蚊帳越しの庭
縁側の隅に
境界線を引いて
あの頃は
まだ色鮮やかに

幼い君を
母の振りして
よちよちと歩かせた
差し延べた手の
焦げた肌に伝う
ひとす ....
朝を彩って間もない星たちが
一枚また一枚と
淡い光を重ねる空へ
微笑みながらゆっくりと溶けてゆく

あの頃は楽しかったねと
懐かしい唄で
結んだ小指ほどいたら

まだ始まったばかりの ....
五七五で開く小指は守れない約束に似て 一字字あまり

七七で括る言葉が見当たらず 無言のままで永久のさよなら
急いでって君の手をとって
駅の階段を駆け上る
発車のベルは鳴り止まない
このままこの階段で
いつか波音を聴きながら二人で眺めた丸い月まで
登って行くことは出来ないだろうか



お別 ....
蹴っ飛ばすには丁度良い間合いだと思うと
ふいにジェットバスが画で思い浮かんで我に返って
蹴っ飛ばすのは南無阿弥陀仏の意味を調べてからにしようと考えた

部屋を振り返ると
小日向さんのようだと ....
お面屋さんを通り過ぎた

額の左側にドラえもんをつけた真っ赤な頬のアンパンマンは

ひょっとこみたいな顔で

指をくわえて林檎飴に見とれている


 +


浴衣については一言 ....
あの日 あの時まで 生きていた人がいる

朝は新聞を読んで
トーストを食べたのかもしれない
ランチは簡単にコンビニで
カロリーの少ない弁当を選んで買ったかもしれない

あの日 あの時 そ ....
村上 和(49)
タイトル カテゴリ Point 日付
闇夜、或いは月の朝自由詩116/5/31 5:06
水の音自由詩915/2/11 2:09
優しいひと自由詩514/3/16 17:16
蘇生自由詩213/7/13 13:39
月の力を信じている自由詩213/5/24 0:42
千年春自由詩313/4/23 2:53
ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法自由詩313/4/2 23:20
花びらの荷づくり自由詩413/3/27 3:04
うらら自由詩313/3/15 23:33
raining raining自由詩412/11/29 1:18
さよならうさぎ自由詩712/5/26 23:22
ムーンライトにサングラス短歌312/5/25 3:22
自由詩712/3/10 11:26
記憶のそとで自由詩312/2/7 23:29
求婚自由詩512/1/13 0:02
エコーズ自由詩211/10/14 10:27
悲しみは泣かない自由詩411/10/8 15:01
ホイミ自由詩211/9/11 15:15
静かな午前自由詩411/9/10 11:26
ぐんないべいべ短歌311/9/7 21:31
海底バス自由詩411/9/5 20:13
その嘘を信じさせて欲しいと思う自由詩411/8/22 19:17
言葉を、ありがとう。自由詩511/8/6 3:07
初夏凛々自由詩411/7/21 3:15
7月8日 夜明け自由詩311/7/9 20:57
矛盾なく日々に寄りそう ウソホント 哀れなだけの相思相愛短歌311/7/5 20:09
こいし自由詩311/7/2 21:25
このやろー自由詩311/6/30 12:51
祭り囃子自由詩811/6/26 13:10
黙祷自由詩411/6/19 18:17

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