死が怖い訳では無い
死の後に残さざるを得ない
あらゆるもののことを考えると
怖くて仕方ないのだ
ザ・ロードの主人公は
息子を残して亡くなったけれど
人類の希望を託すように奇跡が
息子 ....
花形新次論
――自称詩とメタポエジー
Ⅰ. 「自称詩」という詩的発明
花形新次の詩的発明の核心は、「自称詩」という自己規定にある。
これは単なる自己卑下でも、風刺でもない。
むし ....
土埃でぼやけた景色しか
記憶になかったのは
遠い昔のことで
今では高層ビルが建ち並び
リニア新幹線の工事をしている
朧げながら
僕にも未来があった
孤独であっても
それが支えだった ....
山菜採りに出かけた人が
自称詩人に襲われるという事件が
多発している
自称詩人に襲われた人は
みんな両手両足を縛られた状態で
一昼夜自作の自称詩を
耳元で聴かせ続けられるため
精神がおか ....
時計の針を巻き戻して
やるべきことを
やり直してみる
いないはずのきみが
隣でコルトレーンを聴きながら
うつらうつらしている
頬にそっと手を寄せ
温もりを確かめる
どうして ....
中途半端な感情が
肝心なものを置き去りにして
通り過ぎて行く
ほんの数年の間だけ訪れる
黄金の日々に
大抵の人は気付かない
あの頃は
と懐かしがっても
もうきらびやかな皮膚も髪 ....
手のシミを数えることで
長く生きすぎたと知る
いつの間にか
私たちの頭上には
私たちが吐き捨てた言葉が
行き場を失って漂っていて
それが何を意味したのかさえ
もう分からなくなってしま ....
明日は
明日の風が吹く
と先送りしていたことが
目の前に迫って来ていることに
唖然として身動きが取れない
いつかなんて
やって来ることはなかった
俺にはビンセントの才能も
テオのような ....
古いアルバムに
残った記憶は
ただ懐かしいだけでなく
どこかしら痛みを感じる
あの時は良かったと
無条件で微笑むことは出来ない
いつだってそうだ
生きて来たこと
それこそが後悔の集 ....
クスリと酒の力を借りて
夢現になることで
今日を先送りして
明日を忘れる
幻の中では
あの人は
あの人のまま
涼しく美しい横顔で
微笑んでいる
俺は呼びかけるが
声にならない
....
私は最近になって
自分を17歳の女子高生だと
思うようになったので
最寄りの女子高校に行って
私は舞という名の17歳の女子高生なので
明日からこの学校に通いますと言ったら
警察を呼ばれた
....
環境保護とか
ヴィーガンとか
トランスジェンダーとか
みんな
行場を失った
スターリニスト
でなきゃ
精神病患者だ
精神病患者の考えを
尊重しなくてはならない
なんて世 ....
このまま静かに
フェードアウトしたい
晩年の
セロニアス・モンクのように
ベッドに横たわって
静かに
ただ静かに
過ごしたい
誰に知られるでもなく
家族だけに見守られて
最 ....
死ぬのは怖くない
それは生まれる前に
戻ることだから
ただ、死んだ後も
生き続けなければならない
人のことを思うと
湿っぽい悲しみが
薄膜のように全身を包む
「何も悪いことはし ....
海辺の公園にあるカフェで
静かなスムースジャズに
耳を傾けながら
小林秀雄のモオツァルトを読む
休日の朝
一日の予定など組まずに
ただゆっくりと過ごす
面倒なことはすべて
黴臭い古いデ ....
すぐそばに居ても
昔すれ違っただけの
他の誰かを思っている
罪に苛まれて
不意に口づけをすることで
更に罪を重ねる
おまえが愛だと信じて
疑わないものを
俺は背負いきれなくなっている
....
私はいつも
世界と向き合うと
身構えてしまい
端から太刀打ちできないと
首をすぼめていたけれど
今の若い人達は
臆することなく
自分の生活の延長線上で
世界を捉えているのではないか
....
悲しい声がする
悲しい、悲しいと
言っている
誰の声かと
あたりを見回しても
いるのはこの私だけ
ひょっとしたらと
胸に手を当ててみたら
心臓の鼓動が
悲しいと泣いていた
....
最近気に入った歌が
十年も前に
流行ったことを知って
俺はその頃
一体何をやっていたのだと
愕然とする
記憶には薄っすらと
霞がかかり
もうはっきりとした輪郭では
捉えられない
....
明日は
今日と何もかも違い
こびりついた
不安も消え
地底から這い出て
陽の光をたっぷりと
浴びることが出来たなら
まだ何とか
やって行けそうだと思うけれど
夜、無造作に
左半 ....
別に何も言うことはない
ただ、こうして黙って
耳を澄ましていると
自然に聴こえてくる
このメロディは
実際に鳴っているのか
それともクスリと酒に酔った
俺の頭に響く幻聴か
生き ....
私小学6年から
やっていました
オナニーを
スケベなことを
考えて
擦るチンポの
あどけなさ
最初浮かべた
イメージは
浅野ゆう子の
裸体です
誰に知られる
こともなく
....
数年前に流行った
うろ覚えの歌が
頭の中で
鳴り続けている
同じフレーズを
何度も繰り返す
しかし、俺は
否応なしに
別のことを考えている
少し先の未来は
いつも嫌な予 ....
全身に陽の光を浴びて
浅黒く焼けた
おまえの肌に
舌を這わせてみる
薄く塩の味を感じると
俺のイチモツは
俄に屹立する
おまえを味わうことで
俺はおまえを
掌握した気になって ....
自称詩人もさあ
子供の頃に親から受けた
虐待のせいで
グレた結果
知り合った
反社の男の情婦となり
その男とのキメセクにのめり込んで
精神崩壊して
収容された精神病院の窓から
飛び降 ....
もしこの両目が
光を失ったとしても
あの日撮った
あなたの写真を
内ポケットに入れて
心であなたを
見つめていたい
もし今日世界が終わろうとも
例え明日が来なかろうとも
あなたの ....
自称詩が紙になったら
紙が可哀想だ
ウンコみたいな自称詩を
塗りつけられて
トイレットペーパーなら
ウンコが終われば
誰の目にも触れられずに
流されて綺麗さっぱり
なくなるけれど
....
クソ言葉羅列ゴッコ
続けたとして
生きてることに
意味なんかあるか
価値なんかねえぞ
分かってんのか
この自称詩人野郎
お前にあるのは
薄汚い承認欲求だけ
誰かに認められるなら
....
閉め切った灼熱の部屋で
自称詩人が腐臭を放って
最後の近所迷惑をしでかした
死因は自称詩に当たったことによる
自称詩中毒だと検屍官は言った
死体の横には
ヨレヨレのノートが
主人 ....
カーテンを閉め切った
黴臭い部屋の中で
俺は自分の人生を
振り返っている
あの頃思い描いていた未来は
そんなに輝かしいものでは
なかったけれど
まさかこんなに侘しいものだとも
思っ ....
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