君よ ひつぎに爪をお立てなさい
嗚呼 なんといびつに枯ればむ狂騒よ
爪音に滲む土のにおいよ
かなで落つるすべての草花と樹木の根のねいろよ
毟れたその爪よ 寂びた血で凝固したその爪よ
君よ ひ ....
重く重くぶれた日の或るひかり
カーテンのない窓辺には
マークと名づけた鉄線の花が一鉢
そのひかりを啄ばんでいる
今日お母さんの夢をみた
あたしを掬いあげてほほ笑んでいた
ああ、あたしは ....
逆巻いてゆく梅の旋毛の音
毛羽立ってゆく空の繊毛の音
双生の呼吸は必然と呼応し震えあって
楽想となりまだ鋭い風に乗る
独り春の闇を知らない
その冬化粧がだいぶ薄れた君の横顔
ふいに孤を ....
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