磁石が壊れて
引き合わなくなる
背中を向けた
人たちのように
どうしてと何故を
繰り返す前に
プツリと切れた
空の糸が伸びて
雨が降り
石が錆びて
許さない
....
鉛筆が折れて
分かったことは
書き出した言葉じゃ
使えないのよ
僕たちが
会話をする間に
目の前で生まれる
仕草や歌が
スパイスになって
今を生きている
みんな思い出せ
....
肩に置いた手は
音を立てない
悲しみに向き合う
人のために
言葉よりも深い
場所に立って
良くやったんだ
もう休んでね
震えるくらいに
伝わってくる
硬い体が
....
哀しみが蓋を
閉じて転がる
苦い言葉を
胸に張りつけて
風は吹かない
光は裂けてく
汚れたTシャツが
邪魔だと怒鳴る
ここは真っ暗な
洗濯機の中
乱れた心が
....
つま先で立つと地面が揺れて
あらゆる命が追い越してゆく
足音や虫の音が触れる場所で
上を向いたら広い空の端に
糸口があって傷を縫えるまで
花が咲いてると訊いてみたくなる
お願いだか ....
モミの木が寂しい緑のまま
明日を指差す生き物だったら
お願いしますと配ったティッシュに
どんな息を包めばいいのかな
雪のコートが似合う夜だった
人々が持ち寄ったプレゼントと
ティッ ....
薄いところから
濃いところまで
グラデーションは
絶えず動いている
置いてきてしまえ
その寂しさを
色の境界で
心を抜かれて
ひとりになるから
空は自由だ
連れてき ....
狭い喉に光を乗せる時は
ふるいにかける前の言葉でも
ガラスの内側で温めるから
飴玉みたいに転がっていく
痛くはないかいただ信じている
胸の高さに集まる思いが
アスファルトの道を ....
負けちゃった
あの人はいつも
自分でいられる
何を言っても
誰を選んでも
どうしたらいい
比べるたびに
笑顔が減っていく
何を忘れても
誰を憎んでも
今日は許して
....
長押しを続けるスペースキーが
溜め息の後で増えていくんだ
口を開けている白いノートに
イルミネーションが反射した夜
果物で手を汚すのが嫌で
透明な椅子に座らなかった
苦手なことが多 ....
冬の始まり秋の忘れ物
真っ赤な紅葉が
地面に寝そべり
手袋と間違われて
拾われる
掌に乗せる小さな芸術
手を温めるには
物足りないけど
目を休めるには
十分すぎる
....
何もなかったと思うその場所に
横たわってる小さな虫歯が
少しの不安でぐらつくような
明日をまたいでどこへ行くのか
街は代謝する人は感謝する
この胸の中をバスが通るたび
眩しく光るラ ....
感性が自由に手足を伸ばし
咲かない花の隣で添い寝する
この体温をどうか受け取って
有り余るエネルギーの宛て先に
誰を選んでも返事を待ってる
自分中心に回る世界を
少しだけ止めて ....
時計の針が
五時を指している
終わらない仕事
いくつあるのかな
みんな動いてる
何かを信じて
絶え間なく続く
空の変化を
塗り絵にしたら
黒しか選ばない
呼吸が ....
傾けた心に
足りない言葉
底が抜けてる
ガラスのコップで
何をすくっても
こぼれしまう
ゼロに戻って
喉が渇いたな
きっと欲しいものが
あったはずだ
縁をなぞるだけ ....
この世界は
美しく弾ける
数秒後に
カケラを残すまで
消えない魔法の
笑顔を探した
あの人もこの人も
違うのかな
シャボンの玉が
ストロボみたいに
誰かと目が合 ....
忘れるという草を踏みながら
掻き分けていく貧しかった頃へ
新聞配達のアルバイトで
何日目か分からないセーターを
夜空の色と比べて笑った
同じ青だからまだ大丈夫
空に抱いた憧れや ....
内側に包み
外側へ発す
光のような
明るさと優しさ
こんなに正直で
みんなに好かれ
結婚しない
理由を知りたい
大丈夫
その後に続く
言葉のことだけ
今は ....
リボンを結べる
相手がいなくて
透き通るだけの
水は混ざらない
遠くに見えてる
夜景の真ん中は
光をくれたのに
返すものがなく
ホットミルクの
柔らかい湯気で
あなたを丸ご ....
夜と朝の間に
あるものは
青いマニキュアを
剥がす時の色
雨みたいに
除光液を垂らし
ピンクの爪と
混ざり合うような
マーブル模様の
夜を離れると
体温が下がる
目覚 ....
頭上に残る星の足跡は
私がここで咲いてる証を
誰かが踏まないようにするための
クッションを並べた部屋みたいだね
ガラスの窓や扉はないけれど
空があるからみんなに手を振り
首を傾 ....
しわくちゃの
ハンカチに
包んだまま
洗濯物の中から
出てくる
最後に
拭き取ったものは
汗だったのか
涙だったのか
もはや私の
知るところではない
アルペジオの
階段を探して
一本のギターが
僕を立たせる
ざわめくノイズが
傷口を開けて
剥き出しの肌に
残響を乗せた
空気が割れて
破片を集める
この世界で
光を放 ....
海は大きな口を開けてるけど
吐き出せずにいる心を見せて
行ったり来たりする波のように
永遠の中をこだまするもの
近づいて見えすぎる現実や
遠去かり見えにくくなる未来を
真ん中で教える距 ....
少し長めのマフラーを
砂漠の上で
引きずり汚した
誰かの踵だったかも
知れない
何かの予兆なのかも
知れない
ぐるりと見渡す
景色の中に
あなたを置いて
行ってもい ....
青い毛糸は丸い地球のよう
途中で絡まりケンカもするけど
国境という線を守りながら
たまに出かけて色を貰ってくる
ざっくりとした編み目の中には
どんなプレゼントも隠せないまま
爪に引っか ....
誰かの心で
咲いて欲しいから
お花の代わりに
交換するもの
そこには無いのに
手触りや匂い
遠く離れても
しっかり伝わる
髪の毛が透ける光の中を
くぐり抜ける間に出会えたら
天使の輪を指にはめようとして
背負った鞄が翼になるよ
もう届かないと気づいたところで
有刺鉄線が爪を立てるから
その棘で破れた心 ....
抜け出したいこの単純な庭で
光を集める瞳を閉じても
草を刈り指を切る
それだけで
音もなく血が流れていくのは
ジオラマのように生まれ変わるから
心の中で作られた理想を
ユニッ ....
玉ねぎの
みじん切りの一片が
集団の中から
はみ出しても
肉が加わり
卵を被った
ハンバーグの中で
光って見える
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