雨がアパートの一室の屋根を叩く
時刻は午前零時を回っても
眠れなかった
天井からぶら下がってる電球は裸
彼女の想いは天井を突き抜けて空を飛んでいる
飛んでいると言うよりは
雨のなか ....
天気予報の外れた日は
良くてもわるくても
一度は恨めしげに
空を仰ぎ見てしまう
人の都合と心の空模様は
予測が付かない
時には
期待していた雨を裏切られたり
晴れた空に
胸の ....
五番街に家が欲しくなった
だけど
この国の五番街が何処にあるかを
私は知らない
五番街に棲みたくなった
ボロいアパートでもかまわない
愛しい人と二人だけで棲みたくなった
五番街へ ....
殺してはならない
し
殺されたくもない
なのにさ
ゴキブリは平気で叩き殺せるし
殺さずにはおれない
たぶん神様も咎めないだろう
拍手喝采するかもしれない
戦争では
戦場で ....
骨の回りに肉が付いて、肉の内部に張り巡らせた管を血が巡る
それらを皮膚が袋になって包む
Jr線の駅の構内
自動券売機の上の路線図
を
見上げる度に私は連想してしまう
地下に埋まる水 ....
市営公園の駐車場に停めた車の中、運転席で仮眠までにも至ってもいなかった。意識が散らかってまとまりがついていない。が、疲労感は限界に近づいていて体は熟睡を求めているに違いなかったが、さすがに車の中では眠 ....
彼はアナログの世界に産まれた
自我に目覚めて初めて眠りから冷めた朝のこと
家のなかはがらんとして静まりかえっていた
人は誰もいなくて 気配さえ感じられなかった
まだ幼い彼は泣き出した
....
牛と豚の合挽き肉に玉葱の微塵切り
塩とブラックペッパーを適量 それにナツメックも適量
トマトケチャップと鶏卵を加えパン粉を入れる
それらの食材を手で混ぜて捏ねる
そのなかにどうやったら
....
餓鬼の頃
俺んちは貧乏で大家族だった
家はあばら家で年中すきま風が入ってきた
破れ障子とぼろぼろの木戸は閉めてもあまり意味がなかった
防犯の役目はしていなかった
もし夜中に何者かに襲われ ....
今ここにあることが
偶然の連鎖なのか
必然のなせる結果なのか
解らない
今朝も菜も刻み
鍋に水を張って
瓦斯の炎にのせた
沸騰したら
適量の味噌をいれる
味噌汁ができ ....
腕に時計したことがない
ダイナマイトの束、体に巻き付けたことがない
腕に時計をするなんて
それに等しいと思ってしまった
放課後の学校の屋上
飛んだことがない
放課後の黄昏は寂しすぎ ....
否応なく
孤独にならざる得ない暮らしのなかでも
悲しいのは
孤独に慣れてしまう事
そんな風に書かれた本を読んだ事がある
あれはたしか
孤独に暮らしていた
アパートの夜
完璧に幸 ....
あたしの体をはんぶんこにして
あんたにあげるから
あんたもあたしに
体をはんぶんこにして頂戴
あんたと体をひとつに
かさねる度に切ないくらいに
そう思ってしまうよ
あたしの心はん ....
死ぬくらい
体は酷く疲れていた
のに
神経はやたら昂っていた
午前二時を過ぎていた
市営公園の駐車場に停めた車の運転席で
うつらうつらしていた
明日も仕事だ
工場で働く
....
お酒の怖さしってます
賭け事の怖さしってしまいました
女の人の怖さ
それはお互いさまでしょう
住み慣れた土地です
住み慣れた家屋です
吸いなれた空気でした
慣れた水でした
....
ザザザザザァ
心に降る雨はそんな風に哭いている
ザラザラに渇いてしまった
私の心だったから
恵みの雨
湿っていく
塗れていく
恥ずかしいくらい
ヒリヒリ痛んでいた
私の体 ....
日々が明けては暮れる
おそらく
日々が明けて暮れなくなる
その日までの間
出生から今日まで
自分に良くしてくれた人
自分に普通にしてくれた人
自分になにかと辛く当たってきた人
....
極めて良質で純度の高いLOVEと
そうでもないLOVEの度合いを計測する有向なキカイがあらわれたら
世界は大きく揺らぐだろう
もし
そんなキカイがあらわれたら
相当
世界は混乱するだろ ....
口で言うほど幸福にこだわってないよ
とりあえず眼に見えるものしか欲しくないからさ
振り返ればけっこう酷い目に会ってきたな
いちいちそれを文字にしたらきりがないし
思い出したくはないし
....
お金がいちばんよ
手っ取り早くハッピーな気分にさせてくれるもの
食べたい物食べられるし
流行りの洋服とっかえひっかえできるし
素敵なオウチにも住めるんだから
他に眼に見える幸せってあ ....
ある朝
父親と母親にむかって
二十歳過ぎた上の娘が言ってきた
お父さんとお母さん
夜中にうるさいよ
うるさくて眠れないよ
気になって眠れないよ
年頃の娘がいるんだから
いい加減 ....
けして
ヨーイどん
からは始まらなかった
人生のコース
なのにどうして
競争しだすんだろうな
人間って生き物は
て言うか
何かと人と自分を比較して
差が開いていると
....
鎖に繋がれたオスの犬
どこからかあらわれたメスの犬
二匹は発情していた
日は山の向こう側に沈んで
家もその周辺も黄昏ていた
小学校の終わる頃だったか
中学校に入った頃だったか
....
めらめらと陽炎揺れる繁華街欲望勝手に走り出す
黒和服凛々しき姿は美しく遺影を抱いて霊柩車
眼を病んで片方失う人からの電話着信明るいメロディ
黒髪が老いて衰え真っ白に姉の青春今何処なり ....
似非俳句詠んでこの世に唾を吐く
冬枯れに空は哭かないカラス鳴く
渡らない鳥が飛んでる俺阿呆
耳鳴りは老化の証し蝉がなく
軟骨が擦れて痛むよ朝夕に
老化した心と体湯に沈め
....
知らない誰かが亡くなったから
道端の電柱に黒枠のお知らせが貼ってある
そんなの見るたびに
自分の生存をあらためて
認識するんだ
今日の朝食は何を食べたんだっけ
そんなの直ぐに思い出 ....
水に浮かぶから舟なのさ
砂に打ち上げられて
歳月に干からびてしまったら
死骸の類いになっちまうだろ
水に泳ぐから魚なのさ
網に引っかけられて
市場で売られたら
人の胃液で溶か ....
愛と信頼のステッカー
はらせてくださいね
一途にあなたを思う私ですから
でもね
あなたと私の隙間から風が吹いたら
ステッカーはいとも簡単に剥がれ
涙に濡れたりしたら
破れてしまう ....
真っ青な大空
太陽がかんかんと燃えてやがる
やたら眩しいから
ためしにこの手でえぐり抜いてやりたい気分さ
この世界はあらかた人で埋まってしまったけど
人間って奴は息づかいが荒いよ
....
旅は
どこまでもいつまでも
途中でした
いく先々で
四苦八苦が犇めいていました
喜怒哀楽も有りました
旅は途中でした
風光明媚は見当たらなくて
路上には
残酷や悲惨が転がって ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37
0.2sec.