声が聞こえる
遠くに引いていった海のほうから
名前を忘れた街の小路を抜けて
僕に届いている声が ....
今、(遠い異国の空の下で、産声が上がった)
今、(夜の踏切で急ブレーキの悲鳴が、夜空を割った) ....
一
趣味を語ればわたし自身のことを語ることになると思います。
わたしはけっこう多趣 ....
ひとつ風吹けばひと恋し
ふたつ風吹けど文も見ず
みっつ泡花おみなえし
よっつ夢路に宵を待つ
....
今夜、遠い空の下の鳥羽で、一人の詩人の通夜が行われた。その時僕は、旅先の秩父から、地元の鎌倉へ戻っ ....
誰彼の感傷ばかり閉じ込めて落葉にねむる二人のベンチ
ストロベリージャム 夜明けが来るから
カーテンを黒に染めなきゃね
アイスクリームコーン ....
あんたには悪いが出て行ってくれと
言った叔父が先に死に
出て行きますと言った私はまだここにいる
....
わたしのなかの毒を 冷たい指先から
触れるものにすべてなすりつけた
その先にあるのは無機質な 温 ....
何かを欲しがったり手放したりする
背負える荷物の量は決まっている
用意された荷物は尽きない、神様 ....
ぼろぼろ
ぐずぐず
もさもさ
私の作業は
すべて
いつも
こんな感じ
なのかな
....
足もとのカラスは飛び去らなかった
朝のホテル街をふたりで歩いた
いいのに、でも、ありがと ....
丸い鈴の葉と
赤いリボンを生やした大きなポプラの木に
いつからかカメレオンが一匹棲みついた
....
排煙を吸い込んだら空は少しむらさき
雨粒が落ちてきて
埋め立て地をバスは大きく旋回する
木場を ....
すごくあおく剥き取られていて
わたしがむかしみたまっすぐな、通路の、みどりなんかがとてもとても上手 ....
杉の梢のうえに
あなたの声を聞いた気がしたのです
…枝の間に、冬の鳥のさえずりの中に、
....
卵の殻でおおわれても
素足だけは、隠さない
飽和/撹拌/Repeatされるセカイ
名前はまだな ....
僕のやる気。
外見は鉄ようで。
でも、中身はただのガラスのようで。
強度なんてものは皆 ....
全てが崩れ落ちた世界。
命有るものも、命無いものも。
形有るものも、形無いものも。
色 ....
ぬめぬめとした
自分を抱き締めた。
皮膚呼吸をしているはずなのだが、
何かを塗りたくてたま ....
雨の目の見た風景を
ひとつの声がすぎてゆく
虹降らす曇
血のにおいの指 ....
夜明けの蒼い薄雲へ吸い込まれていくタバコの煙
煙の粒子はどれだけの細かいのだろう
ど ....
{引用=
赤錆びた鉄くずに
音ばかりがしてきそうで、
枝の間にのぞく空の端に
来るはずも ....
{ルビ埋=うず}もれて天地山河の広けれどこの身の{ルビ外=ほか}に往くあてもなし
死ぬ迄はスワ ....
だれの書き置きすら
ないものなのに だれかとしての姿は
言葉の中のだれかではなくさせられた
....
冬だ
風が頬に当たるとピリリと痛み
後に唇までピリッと割れて痛む
それが冬だ
外壁をピカピカ ....
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