01/31 16:57
佐々宝砂
>94
そういや私の専門は本来、虫でも詩でもなく実は民俗学だった、ということを憶えてらっしゃるかたはまだいるでしょうか・・・
国語学ではタブー視されてる語源研究ですが、民俗学じゃそれほどタブー視されてはおりません。国語学者と違って、民俗学者はけっこう乱暴な私説を発表してきました。きっと柳田国男が悪いのです(笑)。だって、柳田は、有名な『妖怪談義』に出てくる「モモンガ」語源説をはじめ、かなーり自由な語源説を発表しちゃってますからねー。
蛇=「カカ」説については、講談社学術文庫収録の『蛇 :日本の蛇信仰』(吉野裕子) という民俗学関連の本で読むことができます(もしかしてクリさんが読んだのと同じ本かもしれません、タイトルが違うだけで)。それによれば、蛇は「鏡」や「ほおずき」とも関連するそうなのです。鍛冶技術と民俗学については、おそらく内藤正敏が最初に提唱した「金属民俗学」というものがあって、内藤の著作ちくま文庫『遠野物語の原風景』で詳しく読めます。柳田国男が書かなかった(あるいは無視した)セクシュアルな民俗についても書かれていて、面白い本です。「斐伊川=ヤマタノオロチ」説についても、いとうさんがお書きになったこととほぼ同一な文章をどこかで読みました。『遠野物語の原風景』にあったと思うのですけど、もしかして荒俣宏御大が書いてたことかもしれません。だって、風水からみたら河はみんな龍ですから(笑
あとわりと最近の本では、六車由実の『神、人を食う』(新曜社)がすごくスリリングでした。これはいわゆる「人身御供」のことを書いた本です。ヤマタノオロチの話というと、怪物神であるヤマタノオロチと、英雄神スサノオと、草薙の剣のことばかりに目がゆくけれど、人身御供にされたクシナダ姫という存在があることもお忘れなく。「人身御供」というのはそれこそ民俗学ではある意味タブー視されてきたテーマでして、あえてそれを研究してる六車さんはすごいなと思います。六車由美さんはHPを持っていて、いくらかの論文はそこで読むことができます。興味があったら読んでみて。面白いです。ちなみに六車女史は、今は東北にお住まいですが、出身はわたくしと同じ静岡県でありまする。
六車由美さんのページはこちら
http://muguyumi.hp.infoseek.co.jp/
そうそう、関係ないけど私のHN「佐々」はスサ系の名前なんですよん。スサノオというのは、まあいちばんふつーに考えれば「スサのオトコ」という意味ですから、さしずめ私は「スサノメ」? なんかウオノメみたい・・・