生贄合評スレ[82]
2004 11/28 01:18
田代深子

 詩において自らポルノを名乗るからには、そこですでにひとつ歪
みを措定しており、かつロマンポルノとなれば「エロティシズム」
とは言いたくない自己の性欲に対する嘲笑と憐憫が露わである。こ
こでこんなことを書くのは当スレッド〈注1〉に抵触するかもしれ
ないが、かつて当方の作品について、この作品の著者が「そんなに
男性を抑圧したいのか」と述べたのを受け、「そんなに抑圧を感じ
ているのだろうか…」と思ったものだったが、抑圧を自覚的に苦し
むときには、(当方含め)そのことに被虐的ロマンティシズムを求
めてしまうのかもしれない。敢えて「ロマン」を言葉にすることも、
また自己懲罰的な振る舞いとは言えないか。
 さて、この作品にこの長さは必要か、と提起してみる。言葉の流
れに澱みはないが、やや冗長と感じる。しかし冗長さが、ねじれと
もどかしさを表現する大きな要素になっていることも確かだ。同語
を何度も繰り返すこともそうである。しかし変奏される反復の中に、
もう少し強烈な言葉が入ってきてほしい。過不足なくよく書けてお
り、だからこそ物足りない。
 たとえロマンであっても、ポルノには〈ポルノ性〉を志向する心
意気が必要なんじゃないのか、と言いたいのだ。哄笑と悲哀と切望
を灰汁のように浮かせて見せる、あのいじましい欲動の表現こそが。
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